第35話 夢と自由の国
お疲れ様ですよ〜∠(`・ω・´)
今回からセツがどうやって悪魔の力をドムから継いだを書いていきます!
さっ、頑張るぞ〜!(∩´∀`)∩ワーイ
1955年 8月
アメリカ東海岸の小さな漁船に、漁師に紛れて寿司詰め状態の密航者達の中に紛れていた私は、仕事からアメリカに戻って来ていた。
魚臭い船内で船に揺られて結構な日数経って、それなりに身体が臭う……。
リスク回避の為だとしても、流石に髪も肌もベタベタになって少しイライラする。
「おい、着いたぞ」
船室の扉が開かれて、密航者達が次々と漁村に降り立つ。
私も一緒に船から降りようとしたら、ガタイの大きい男3人に囲まれた。
「おっと、アンタはまだだ」
「お前さ〜、俺達にまだ払うもん払ってねぇよなぁ?」
ニヤニヤしたガタイの良い男達が、私の他の密航者の女性達にも絡んでいる。
まぁこういう事してるとこんな虫は沸いて出てくるわな。
「金ならちゃんと払ったが?」
「金じゃねぇんだよ姉ちゃ〜んw」
「俺達みんな溜まっててさぁ、わかるだろ〜?」
………ハァ、ホントに夢も自由もねぇなぁ。
戦争から10年経過して、やれ「アメリカンドリーム!」と謳われて、企業文化やマスメディアが標準化されたライフスタイルを推奨していた最中、それに伴って不法移民も数多く流入していた。
私はその中に紛れ込んでアメリカに帰国しただけだっていうのに…。
「ほら、コッチ来いよ」
「………っ」
「お母さん、どこいくの?」
親子連れでも容赦無しかよ、胸糞悪い。
「どけ、アンタ達みたいなのに連れてかれる言われはない」
5,000ドルも貰っておいてまだ欲張るとか、どれだけ面の皮が厚いのか。
私は男の腕を叩いて、軽快に船から岸へ飛び移ってサッサと去ろうとしたが、男の一人が逆ギレして私の腕を掴もうとしてきた。
「おい待てこのアマ…ブっ!?」
腕を掴まれる前に、バカな男は私に顎を蹴り抜かれた。
モロに入った為に男はフラつき、足を踏み外して海に落っこちる。
そしたらまぁ、あとはお約束な展開。
「おいコラテメェ!!」
「なに俺達に手ぇ出してんだゴラァ!!」
激情に駆られて男達が一斉に襲い掛かってくるが、動きが丸見えだ。
持っていた荷物を放り投げて、私は突っ込まずにその場に立ったまま男達の相手をした。
相手にする際に、男達のパンチを見切った時に被っていたフードが外れて、闇夜に私の長い黒髪が棚引く。
ただのテレフォンパンチやトゥーキックを繰り出してくるだけで捻りも無い。
こんなのマリアの散歩と比べたら全然だ。
隙だらけで簡単にコメカミに蹴りの爪先が入る。
「かっ…!!」
正中線もガラ空き。
苦労も無く襲って来た男達は地に伏した。
「チッ、こんなもんかよ」
威勢良く襲ってきた割には大したこと無かったなぁ。
放り投げた荷物を拾って踵を返そうとしたが、こういう時に限ってこういうのはシブとい。
案の定、倒れた男の1人が銃を取り出した。
「へっ、形勢逆転だな?」
「……………」
「ビビって声も出ねえか? 撃たれたく無かったら大人しく俺に抱かれろジャップがw」
…………ハァ、ただ銃を出しただけでもう勝ったつもりでいるようだが、私から見れば隙だらけだぞ?
ニヤけてるところ悪いが、そっちが先に銃を取ったんだ。なら、撃たれる覚悟があると思っても良いよな?
私の早撃ちはドム仕込みだ!
パンッッッ!!!
私の銃、Walther PP, .32 ACPが火を吹いた!
1発にしか聞こえない銃声だが、男に弾は3発命中。
銃を持ってた手の小指、肩、膝に弾はめり込み、男は悲鳴を上げてその場に倒れ込んだ。
男は何故撃たれた!?っと頭の中で理解出来ておらず、なんか私をバケモノでも見るような目で見上げてきた。
かなり失礼な奴だな?
頭を撃ち抜かれなかっただけでもありがたく思えよ。
「こんな所で俺の部下に何撃ってんだ?」
…………密航現場で銃声を聞けばそりゃそうだよな?
男達の兄貴分らしき野郎が出てきやがったが、デカいなぁ。
裏社会の現場で長年人を殴り続けてきたであろう筋肉と眼力が圧力を強くしている。
「女、テメェ何者だ?」
……ドスの効いた声で尋ねてくるが、ハッキリ言って答える必要が無い。
黙って睨み返していると、撃たれた男が兄貴分の制止を無視して撃ってこようとし、私は躊躇無く頭に鉛玉を叩き込む。
「自分の子分くらい躾出来ねぇのか、お前等のファミリーは?」
「………………」
お互いに黙って睨み合い、兄貴分は私の顔と特徴を思い出した。
「日系人でその銃の技量………まさかお前、黒い猛獣の隠し玉か?」
ドムの二つ名を聞いて子分達がギョッとした顔で私を見てきた。
さっきから失礼だな。それに………その二つ名、嫌いなんだよ。
「ドムを、その名で呼ぶな」
自分の年齢とは裏腹な凄まじい威圧感の脅しに、兄貴分も子分共もたじろいで背中に嫌な汗をかいた。
暫し沈黙がこの場を支配し、考えていた兄貴分が子分に「この死体を始末しろ」と命じると、奴は私から早足で離れて行った。
やれやれ、弾の無駄になっちまたな、
銃を仕舞ってサッサと立ち去りたいけど、今度は密航者の子供が私の服の裾を掴んでくる。
今日はとことん人気者だな……。
「なんだ?」
「Ah, bueno……」
スペイン語で話す子供……そういえばこの密航者達はメキシコ人だったな。
「Gracias por cualquier ayuda」
ビビりながらではあったが、子供はそれだけをいうと直ぐに母親の所に走って行った。
………ありがとう、か
こんな仕事をしていて「ありがとう」なんて言われる事は正直無い。
まぁ状況にもよるが………子供に素直に言われるありがとうは、私の心を少し温かくしてくれる。
でも、コレから苦労するだろうな。
別に神様には祈らないが、あの親子達に少しでも神様のご加護があらんことをと、心の中で言っておこう。
それから多分2時間くらいか、ひたすらに道を歩き続けていると、後から聞き慣れた車のクラクションが鳴り、私は足を止めて後を振り向く。
中には私に銃器の扱いを徹底的に叩き込んだ張本人、ドムが迎えに来てくれた。
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「兄費、良いんですか?」
「何がだ?」
「あの女、黒い猛獣とか言ってましたけど、いったい何なんですか?」
子分の1人が、何故私が1人殺しても見逃されたのか納得がいかず、兄貴分に聞いてきた。
それを聞いて、そんな事もわかんねぇのかと兄貴分に暴力を受ける子分。理不尽に殴られ、鼻血を流しながらガンを付けられて、兄貴分は教育的指導をする。
「いいかよく覚えておけこのボケナス! 裏社会に踏み込んだのなら、ヤツらを知らない事は死ぬ事だと思え! それ程なまでにバケモノなんだよアイツらは!!」
ドムの二つ名「黒い猛獣」の由来は、私もかつて見たことのあるもの。
戦闘現場が、人でないナニかが暴れ回ったかのような凄惨過ぎる現場にドムが荒らした事でそう言われる様になった。そんなドムが育てた私も彼のように敵やターゲットには容赦無く殺している。
そんな私に付けられた二つ名は「死の神風」。
誰が付けたは知らねぇが、神風特攻隊みたいにノンストップで敵陣に突っ込んで行く様をそう呼んだらしい。
意味も分からずに神風を使わないでほしいもんだが…………。
「とにかく、黒い猛獣共には絶対に近付くな! 狙われたら1分も待たずに殺されるからな!!」
それ程なまでにドムと私の噂は一人歩きしていた。
ある程度事実とはいえど、マフィア一組織1分で潰せねぇよ。
私はドムの運転する車のラジオを聴きながら、アメリカの実家であるベアードの家に向かっている最中、インドネシアのお土産をドムに一つ渡した。
「ん?なんだコレ?」
「向こうのタバコだよ、面白い味だったからドムにも買ってきた。一本吸ってみな?」
タバコなんか全部同じだろ、と内心思いつつもドムは私のお土産のタバコに火を付けてみた。
すると、思っていた以上にスパイシーな強い香りと甘い味が口の中で広がり、肺にガツンとくる重さがきて吸いごたえを感じる。
ドムは思わず眉を上げ、煙を吐きながら「へえ、こいつは…」と呟いた。
それに吸う度にスパイスから出る油に火が届いてパチパチと弾ける。
「ドム、甘い味好きだろ?」
「思ってたよりも美味いなコレ」
「ドムならそう言うと思ってたよ」
買ってきたお土産がヒットして内心ガッツポーズを取った私は、タバコ缶ごとさっきのクレテックシガレットをドムに渡した。
あとはマリア達にも買ったお土産、喜んでもらえると嬉しいなぁ。
さて、最初からいろいろと人気なセツ(∩´∀`)∩ワーイ
次はベアードとマリア!
ちな、みんな知ってる某有名な泥棒三世さんの使うのがワルサーP38。
セツの使ってるワルサーPPとはまた違うよ〜∠(`・ω・´)




