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人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第二章 弾丸の魔女
35/85

第34話 はじめての……

これで、キメる!

連続投稿2回目!!!(「・ω・)「ガオー

『………つぅ…』


悪魔の力を使ったドムは尻からくずち、全身から滝のような汗を流して肩で息をしてた。


悪魔の力は精神を削る。


『やったな』

『あぁ』

『アァ〜つかれた〜』


腕を押さえながらベアードがドムをねぎらい、マリアは大の字になって寝っ転がる。


『にしても珍しかったな? お前が魔術を使うなんて』

『ああ?植物系統しょくぶつけいとうの魔物とかしつこいだろ?とくにコイツは雑草よりもシブとかったぞ?』

『あ〜、たしかにそうだったなぁ。昔アリアドネと遭遇して、たしか媚薬成分びやくせいぶんのある匂いらして……焼くのに苦労したなぁ』

『マリアなんかとくに吸い込んじまって暴走して、お前押し倒されてたな』

『話振らなきゃ良かった…』


過去に戦ったことのある魔物を思い出しながら、目の前で燃えてる変態神父がどれだけヤバかった再認識した。

いや十分媚薬びやくでもヤバいけど…。


『ベアード〜、つかれたからおぶって〜』

『ハイハイったく』


この中で一番動いたマリアがベアードに甘える様にオンブを要求ようきゅうし、ベアードはやれやれっと言った感じで彼女を背負う。何度も味わったマリアの爆乳を背中で感じていつもの役得やくとくを得ようとしたら、マリアがだいしゅきホールドをかましてきた。


普通そんなことされたら戸惑いながらあるにくいとか言うんだろうけど、マリアの場合だとちょっと違う。



ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリっ



『え…ちょっマリア……?』

『ベアード〜、アタシのお酒、使ったの?』


いつも飲んでる自分の所有物しょゆうぶつ勝手かってに使われた事にちょっと怒ってた。


『ね〜ぇ〜? な〜んで使ったの〜??』

『イヤ、…だってアイツの花粉を利用するのにどうしても必要だっただけで…』

『ワ〜タ〜シ〜の〜コ〜コ〜ロ〜の〜あ〜ん〜て〜い〜ざ〜い〜』


さらちからめてギリギリだいしゅきホールドをキメるマリア。


ベアードの顔がだんだん青くなっていった……。

つかれてるはずなのに………飲み物のうらみは恐ろしい。


『おい、イチャイチャしたいんならベッドでやれ、俺は寝るぞ』

『コレがイチャイチャしてるように見えるか!!ってマリア、くるし……』

『ワ〜タ〜シ〜の〜〜〜〜!!』


このグダグタな感じ……死ぬかもしれない戦いをしたあととは到底とうてい思えないユルさだったけど、この時ばかりは私はホッ胸を撫で下ろした。


でも、それと同時に沢山の人が死んだ………。


「……………………」


寝ていて気付かなかったとはいえ、どうしてこの人達はドム達と戦って死んだのか……。

子供の頃で……しかも言葉も分からないまま見知らぬ人が死ぬ。

戦争で常に死と隣り合わせだったとはいえ、私の人生経験上、荼毘だびす………簡素かんそにではあるが火葬するのだが、ドムの魔術に使われた遺体達は、みな肉体が砂や炭の様に崩れ、骨はアッという間に風化して塵芥ちりあくたと化し、アメリカの風に舞い上がって逝った………。


「………………」


自然と手を合わせてしまう。


もし、来世と言うものがあるのなら、次はちゃんと天寿をまっとうして欲しいと心の底から思った。

いつ見ても、人の死と言うものには慣れない……。


『サッサと来い2人とも』

『ちょっ………ギブ…………ギブっ………!』

『か〜え〜せ〜!』


手を合わせ終わると、私はドム達の無事を確認しに彼等の方に歩み寄ろうとした………時だった。



ゴッ!!!



『『ッッッ!!!!』』

『ッ!?』

「え…?」


突然、ベアードとマリアが地面から打ち上げれた。


物凄い鈍い音が響き、2人を数メートル高くから自由落下して地面に叩き付けられた!


『ベアードっ!マリアっ!』


心臓から血の気が大量に引いていき、私は吐きそうな程に嗚咽おえつしそうになりながら、視界の奥で燃えている()()がゆっくりと上半身だけを起き上がらせたのを見てしまった………。


『ヒュー……ヒュー……』


激しく燃え続けて、最早もはやその姿は組織液そしきえきや血がにじている、筋繊維きんせんいが丸見えなズルズルの人体模型じんたいもけいみたいな見た目になっていた。


『なっ!?テメ………がっ!!』


変態神父がまだ生きていた事に気付いたドムが銃口を奴に向けようとするが、ヤツは空いた左眼からアザミの針を飛ばし、それがドムの右瞼みぎまぶたに突き刺さった。

さらに足下から形を保てていないズルズルで砂まみれのアザミのくきが飛び出してドムのアゴに見事に入り、脳が揺らされて一瞬意識が飛んでしまった!!


頭から落ちたドムが脳震盪のうしんとうを起こし、彼の意識が闇の中に沈みかけた直後、変態神父の掌を突き破ってアザミの葉が伸びていき、私の足にガッチリとからき、私をいきいよくきずりせた!!


『逃さない………逃さないぞワタシの天使……!!』

「ヒッ…いやぁぁぁぁぁーーーーー!!」


どこまでも執拗しつように私に執着心しゅうちゃくしんあらわにし、恐怖した私は必死になって何かにつかまろうと藻掻もがくが、足掻あがけば足掻あがくほど地面をいてしまい、爪ががれかける。


「いやっ!!イヤイヤッッッ!!あぁぁーーーー!!!」


引き寄せられる度に泣き叫び、ドムの横を通り過ぎてしまう。

一瞬の差が開き、彼の意識が覚醒して目を見開いた。


舌打ちする音がゆっくりと響き、変態神父の顔が愉悦ゆえつゆがみ、ドムは動けずに私の手を取ることが出来なかった。


そして変態神父ヤツはギリギリの状態で生きていた。

実はヤツには心臓が2つあった。

疑似心臓ぎじしんぞうじゃない、もう一つの心臓。それは奴の脳の中にあった。

それも脳の中心である脳幹のうかんの中に小さな心臓があった。


通常、心臓しんぞう血液けつえきを全身にめぐらせる為に存在しているが、変態神父ヤツの頭の心臓は、ヤツが神父だからこそ考えで思い至ったもの、霊的エネルギー(エーテル)を全身に巡らせる為のもの。


コレが変態神父ヤツがギリギリ生きていられた理由だった。

そして今まさに、また疑似心臓ぎじしんぞうを作ろうと、ゆっくりとだが自身の身体に再びアザミの根を張り巡らせていた。


その為にも、私を連れ去って衰弱すいじゃくさせて楽しみながら、私を養分ようぶんにして己の傷をいやそう。そうすれば次がある。


変態神父ヤツあさましくも浅慮せんりょな考えで再起さいきはかろうとしていたが…………


「イヤッッッ!!たすけてっ!!たすけてっっ!!!!」


悪因悪果あくいんあっか


わるおこないは、かならわる結果けっかにしかならない。




「っ!?」




変態神父ヤツの神様は、ヤツを見限っていた。




『さぁ捕まえた、ワタシのてんし…………ハ?』




変態神父ヤツは目を見開いて驚いていた。


それも当然だった。


なにせ………



『な………!!』



引き寄せられて、ドムに手を伸ばし続けていたら手にしていた。


あごを打たれて、意識いしきが飛んだ時に手放してしまっていたドムのM1917(リボルバー)


そして今、私が手にしたM1917(リボルバー)の銃口は、変態神父ヤツ眉間みけんに偶然合わさっていた。



恐怖きょうふとトラウマが私の心をグチャグチャにして、そのまま突き動かされた私は……





「うわああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっっ!!」




M1917(リボルバー)の引き金を引いて、変態神父ヤツの頭に鉛玉を叩き込んでいた。




撃った衝撃は12歳の私の手にあまり、反動で跳ね上がる力(マズルジャンプ)えられず銃を手放してしまった。


そして撃った弾はあろうことにも、変態神父ヤツ脳幹のうかんにあった第二の心臓を綺麗に撃ち抜いていた。


変態神父ヤツあやついとの無くなったマリオネットの様に、力無く、私におおかぶさるようにして倒れ、私は巻き込まれて潰されかけた。


ズルズルの体液たいえきや血が身体にいてものすごく気持ち悪い。


恐怖とトラウマがその不快感ふかいかんを助長して、「イヤだ」「怖い」という感情が先走り、気持ち悪さから早く這い出ようとしたが……




ガッ!




「ヒッ!!?」



頭を撃たれたはずなのに、変態神父が私の足を力強く掴んだ!


すごく強くつかんできて痛い。


コッチに顔を上げずにうつむいたままつかんでいることがさらに私の恐怖をあおり、必死になって変態神父ヤツの頭を逆の足で蹴り続けた。


「はなせ!はなせ!はなせっ!はなせーーーーーっ!!」


一心不乱いっしんふらんに蹴り続けて、それでも離さない。


そしてついに私は………




「うああああぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」



手にした石で力強く変態神父ヤツの頭をなぐった。



「ああああぁぁぁーーーーーっっ!!!


あああァァァーーーーーっっ!!!


アアアァァァーーーーーーーーーーーーっっっ!!!


アアアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」



どれだけ石を打ち付けても、それでも離さない。


それどころか、さらに()()()()()()()()()()きた。



「はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせーーーっ!!」



まだ()()()()()


なんかいもなんかいもヤッているのに、まだ()()()()()()()()


いやだ!!


もうあんなおもいはいやだ!!


なんでわたしがこんなめに!?


なにかわたしわるいことしたの!?


かずこちゃんも、ほかのこたちも、みんなしんだ!!


しにたくない!!


あんなふうになりたくない!!


わたしにさわらないで!!!


かぞくのもとにかえして!!


わたしを、にほんにかえせーーーーーーっ!!!!






















Stop it!(よせ、止めろ!)

「ッッッ!!?」


うしろからつかまれた!!


あいつら、こんどはうしろから…………いやだ!!!


「うああぁぁーーーーっ!!


ごろじてやるーーーーーーーーっ!!!!」


あばれつづけて、もっているイシをふりあげて、うしろにいるヤツのあたまにイシでなぐって………



Calm(おち) down, (つけ) Setsu!!(セツ!!)

「っっ!?」



うしろからつかんできたおとこが、わたしとめをあわせた………。



そして私は……彼の顔と目を見て、動きが止まった。



「………Have you (落ち着い) calmed (たか?)down?」



右瞼みぎまぶたとコメカミから血を流しながら、私の目をジッと見て私を落ち着かせたのは、ドムだった。


「あ……血が……………!!」


つい反射的に着ていた服でのすそで彼の血をぬぐおうとして自分の手を見て………思考しこう停止ていしした。



なんで右手に………血塗ちまみれの石なんか…………………あ……あぁ…………ああああ……!!


だんだん……さっきまでの記憶がよみがえる…。


そうだ………わたし…………さっきまで………っ!!!



「うぷ………ヴォエェェェ」



さっきまで、変態神父ヤツにやっていた事を思い出して……私は後ろを振り向いて嘔吐おうとした。


変態神父ヤツは………頭を何度も石でなぐられて筋繊維きんせんいの向こう側が軽く見えて……細かな亀裂きれつからピンクがかった脳組織のうそしきがわずかにのぞいていた。


私の足を掴んでいた手に力は無く、変態神父ヤツは今度こそ息絶えていた………。


「わたし…………わたし……………」


今更いまさらになって、変態神父ヤツを石でなぐっていた感触かんしょくまでもが手のひらによみがえってくる。


わたし……………はじめて……ひとを…………………っ!!


You're not(お前は) to blame.(悪くない)

「!!」


ドムが私を抱きしめた。


自責じせきねんられて、心が折れかかった私を……ドムは…私を安心させる様に、力強くも優しく抱きしめた。


It's (悪く……)not bad(ないんだ)………」

「…………!」


…………言葉は分からなかった。


分からなかったけど……


「う………うぅ………」


自然と涙があふてきた……。




「うあぁーーーーーーーーー!!」




助かったとか……怖かったとか……殺したとか………そういう感情がグチャグチャになって、私はドムの胸の中で大泣きした。


そんな私の泣き声で、気を失っていたベアードとマリアが目を覚ました。


頭を強く打っていて私の声で少しガンガンするみたいだったが、ドムの胸の中で泣きじゃくる私を見て、2人は駆け寄って来て一緒に私をなぐさめてくれた。


===================================


しばらくして、私は再びベッドの上で寝息を立てていた。


あの後、ひたすらに泣きじゃくって、泣き疲れて私はドムにしがみついたまま寝てしまっていた。


しがみつい離さなかった為に、ドムは着ている服を脱いで私をはがしてからベッドに寝かせ、今はソファにて上裸でウイスキーを喇叭飲らっぱのみしてタバコをくゆらせていた。


『そうか、そんなことに…』

『セツ……』


こと経緯けいいを話して、まさかの出来事に2人は沈黙ちんもくしていた。

とくにマリアは自分が気を失ってしまっていた時に、私が銃を撃った事にショックを受けて泣いていた。


何かのはずみだろうと、子供が銃の引き金を引いてしまう事は複雑な問題だった。


現代ほど銃の安全管理が強く求められていなかった事をふくめても、銃が「保護の道具」であると同時に「破壊の道具」でもあることを強く意識していた時代でもあった。


ましてやその銃を撃ったのが日本人の私と来たものだから、なおことどうすれば良いかを考えていた……。


『………コレから、どうしようか』


ベアードが思わずそんな事を呟いてしまった。


だが、ベアードの言葉に対してドムはアメリカ人らしい選択をし、そして覚悟した。


『セツに銃の扱いを叩き込む』


ドムの言葉に2人は驚きを隠せずドムに詰め寄るが、私が銃を撃つ事態を引き起こしたのは自分のせいだと2人に釈明しゃくめいするドム。


あの時、一瞬意識を失わなければ、しっかりと変態神父ヤツにトドメを刺していれば、あんな事にはならなかった。

だから、私が銃を撃ったのは、自分のせいだと。



『なら、その責任として、子供にしっかりと銃の扱いを教えるのが教育ってもんじゃねえのか?』



どんな数奇すうきな運命を辿たどればこんな事になるのか……w


私の人生は、この時にこうなる事が確定していたみたいだった。

ベアードとマリアに優しく介抱かいほうされながら、ドムにきびしく指導しどうされて、私はこのアメリカで日系人にっけいじんのセツとして生きていくことになった。


トラウマに悩まされて、そのたびに私がパニックを起こして泣き止むまで待ってくれたドム。


いつまでも言葉がわからないことに不便を感じて英会話も追加されて、ベアードのおかげで今では結構な数の言語げんごまで話せるようにもなった。


あの時、私を保護してくれたのがドム達じゃなかったら、多分私はもう既に死んでいただろう。

私がこの事に感謝するのはもう少し先の話だが、それでも、コレが私の生きていくための力になったのは間違いない。


そんな日々を過ごして、10年が経過した。



セツの子供の頃のお話、やっと終わった!

次は、セツがどうやってドムから悪魔の力を受け継いだかを書く!!

ご期待下さいませ!∠(`・ω・´)


今回は以上です。

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