第34話 はじめての……
これで、キメる!
連続投稿2回目!!!(「・ω・)「ガオー
『………つぅ…』
悪魔の力を使ったドムは尻から崩れ落ち、全身から滝のような汗を流して肩で息をしてた。
悪魔の力は精神を削る。
『やったな』
『あぁ』
『アァ〜つかれた〜』
腕を押さえながらベアードがドムを労い、マリアは大の字になって寝っ転がる。
『にしても珍しかったな? お前が魔術を使うなんて』
『ああ?植物系統の魔物とかしつこいだろ?とくにコイツは雑草よりもシブとかったぞ?』
『あ〜、たしかにそうだったなぁ。昔アリアドネと遭遇して、たしか媚薬成分のある匂い撒き散らして……焼くのに苦労したなぁ』
『マリアなんかとくに吸い込んじまって暴走して、お前押し倒されてたな』
『話振らなきゃ良かった…』
過去に戦ったことのある魔物を思い出しながら、目の前で燃えてる変態神父がどれだけヤバかった再認識した。
いや十分媚薬でもヤバいけど…。
『ベアード〜、つかれたからおぶって〜』
『ハイハイったく』
この中で一番動いたマリアがベアードに甘える様にオンブを要求し、ベアードはやれやれっと言った感じで彼女を背負う。何度も味わったマリアの爆乳を背中で感じていつもの役得を得ようとしたら、マリアがだいしゅきホールドをかましてきた。
普通そんなことされたら戸惑いながら歩き難いとか言うんだろうけど、マリアの場合だとちょっと違う。
ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリっ
『え…ちょっマリア……?』
『ベアード〜、アタシのお酒、使ったの?』
いつも飲んでる自分の所有物を勝手に使われた事にちょっと怒ってた。
『ね〜ぇ〜? な〜んで使ったの〜??』
『イヤ、…だってアイツの花粉を利用するのにどうしても必要だっただけで…』
『ワ〜タ〜シ〜の〜コ〜コ〜ロ〜の〜あ〜ん〜て〜い〜ざ〜い〜』
更に力を込めてギリギリだいしゅきホールドをキメるマリア。
ベアードの顔がだんだん青くなっていった……。
疲れてるはずなのに………飲み物の恨みは恐ろしい。
『おい、イチャイチャしたいんならベッドでやれ、俺は寝るぞ』
『コレがイチャイチャしてるように見えるか!!ってマリア、くるし……』
『ワ〜タ〜シ〜の〜〜〜〜!!』
このグダグタな感じ……死ぬかもしれない戦いをした後とは到底思えないユルさだったけど、この時ばかりは私はホッ胸を撫で下ろした。
でも、それと同時に沢山の人が死んだ………。
「……………………」
寝ていて気付かなかったとはいえ、どうしてこの人達はドム達と戦って死んだのか……。
子供の頃で……しかも言葉も分からないまま見知らぬ人が死ぬ。
戦争で常に死と隣り合わせだったとはいえ、私の人生経験上、荼毘に付す………簡素にではあるが火葬するのだが、ドムの魔術に使われた遺体達は、皆肉体が砂や炭の様に崩れ、骨はアッという間に風化して塵芥と化し、アメリカの風に舞い上がって逝った………。
「………………」
自然と手を合わせてしまう。
もし、来世と言うものがあるのなら、次はちゃんと天寿を全うして欲しいと心の底から思った。
いつ見ても、人の死と言うものには慣れない……。
『サッサと来い2人とも』
『ちょっ………ギブ…………ギブっ………!』
『か〜え〜せ〜!』
手を合わせ終わると、私はドム達の無事を確認しに彼等の方に歩み寄ろうとした………時だった。
ゴッ!!!
『『ッッッ!!!!』』
『ッ!?』
「え…?」
突然、ベアードとマリアが地面から打ち上げれた。
物凄い鈍い音が響き、2人を数メートル高くから自由落下して地面に叩き付けられた!
『ベアードっ!マリアっ!』
心臓から血の気が大量に引いていき、私は吐きそうな程に嗚咽しそうになりながら、視界の奥で燃えているアレがゆっくりと上半身だけを起き上がらせたのを見てしまった………。
『ヒュー……ヒュー……』
激しく燃え続けて、最早その姿は組織液や血が滲み出ている、筋繊維が丸見えなズルズルの人体模型みたいな見た目になっていた。
『なっ!?テメ………がっ!!』
変態神父がまだ生きていた事に気付いたドムが銃口を奴に向けようとするが、奴は空いた左眼からアザミの針を飛ばし、それがドムの右瞼に突き刺さった。
さらに足下から形を保てていないズルズルで砂まみれのアザミの茎が飛び出してドムのアゴに見事に入り、脳が揺らされて一瞬意識が飛んでしまった!!
頭から落ちたドムが脳震盪を起こし、彼の意識が闇の中に沈みかけた直後、変態神父の掌を突き破ってアザミの葉が伸びていき、私の足にガッチリと絡み付き、私を勢いよく引きずり寄せた!!
『逃さない………逃さないぞワタシの天使……!!』
「ヒッ…いやぁぁぁぁぁーーーーー!!」
どこまでも執拗に私に執着心を露わにし、恐怖した私は必死になって何かに掴まろうと藻掻くが、足掻けば足掻くほど地面を掻いてしまい、爪が剥がれかける。
「いやっ!!イヤイヤッッッ!!あぁぁーーーー!!!」
引き寄せられる度に泣き叫び、ドムの横を通り過ぎてしまう。
一瞬の差が開き、彼の意識が覚醒して目を見開いた。
舌打ちする音がゆっくりと響き、変態神父の顔が愉悦に歪み、ドムは動けずに私の手を取ることが出来なかった。
そして変態神父はギリギリの状態で生きていた。
実はヤツには心臓が2つあった。
疑似心臓じゃない、もう一つの心臓。それは奴の脳の中にあった。
それも脳の中心である脳幹の中に小さな心臓があった。
通常、心臓は血液を全身に巡らせる為に存在しているが、変態神父の頭の心臓は、ヤツが神父だからこそ考えで思い至ったもの、霊的エネルギーを全身に巡らせる為のもの。
コレが変態神父がギリギリ生きていられた理由だった。
そして今まさに、また疑似心臓を作ろうと、ゆっくりとだが自身の身体に再びアザミの根を張り巡らせていた。
その為にも、私を連れ去って衰弱させて楽しみながら、私を養分にして己の傷を癒そう。そうすれば次がある。
変態神父は浅ましくも浅慮な考えで再起を図ろうとしていたが…………
「イヤッッッ!!たすけてっ!!たすけてっっ!!!!」
悪因悪果
悪い行いは、必ず悪い結果にしかならない。
「っ!?」
変態神父の神様は、奴を見限っていた。
『さぁ捕まえた、ワタシのてんし…………ハ?』
変態神父は目を見開いて驚いていた。
それも当然だった。
なにせ………
『な………!!』
引き寄せられて、ドムに手を伸ばし続けていたら手にしていた。
顎を打たれて、意識が飛んだ時に手放してしまっていたドムのM1917を
そして今、私が手にしたM1917の銃口は、変態神父の眉間に偶然合わさっていた。
恐怖とトラウマが私の心をグチャグチャにして、そのまま突き動かされた私は……
「うわああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっっ!!」
M1917の引き金を引いて、変態神父の頭に鉛玉を叩き込んでいた。
撃った衝撃は12歳の私の手にあまり、反動で跳ね上がる力に耐えられず銃を手放してしまった。
そして撃った弾はあろうことにも、変態神父の脳幹にあった第二の心臓を綺麗に撃ち抜いていた。
変態神父は操り糸の無くなったマリオネットの様に、力無く、私に覆い被さるようにして倒れ、私は巻き込まれて潰されかけた。
ズルズルの体液や血が身体に着いてものすごく気持ち悪い。
恐怖とトラウマがその不快感を助長して、「イヤだ」「怖い」という感情が先走り、気持ち悪さから早く這い出ようとしたが……
ガッ!
「ヒッ!!?」
頭を撃たれたはずなのに、変態神父が私の足を力強く掴んだ!
凄く強く掴んできて痛い。
コッチに顔を上げずに俯いたまま掴んでいることがさらに私の恐怖を煽り、必死になって変態神父の頭を逆の足で蹴り続けた。
「はなせ!はなせ!はなせっ!はなせーーーーーっ!!」
一心不乱に蹴り続けて、それでも離さない。
そして遂に私は………
「うああああぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」
手にした石で力強く変態神父の頭を撲った。
「ああああぁぁぁーーーーーっっ!!!
あああァァァーーーーーっっ!!!
アアアァァァーーーーーーーーーーーーっっっ!!!
アアアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」
どれだけ石を打ち付けても、それでも離さない。
それどころか、さらにちからづよくつかんできた。
「はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせっ!!はなせーーーっ!!」
まだはなさない。
なんかいもなんかいもヤッているのに、まだはなしてくれない。
いやだ!!
もうあんなおもいはいやだ!!
なんでわたしがこんなめに!?
なにかわたしわるいことしたの!?
かずこちゃんも、ほかのこたちも、みんなしんだ!!
しにたくない!!
あんなふうになりたくない!!
わたしにさわらないで!!!
かぞくのもとにかえして!!
わたしを、にほんにかえせーーーーーーっ!!!!
「Stop it!」
「ッッッ!!?」
うしろからつかまれた!!
あいつら、こんどはうしろから…………いやだ!!!
「うああぁぁーーーーっ!!
ごろじてやるーーーーーーーーっ!!!!」
あばれつづけて、もっているイシをふりあげて、うしろにいるヤツのあたまにイシでなぐって………
「Calm down, Setsu!!」
「っっ!?」
うしろからつかんできたおとこが、わたしとめをあわせた………。
そして私は……彼の顔と目を見て、動きが止まった。
「………Have you calmed down?」
右瞼とコメカミから血を流しながら、私の目をジッと見て私を落ち着かせたのは、ドムだった。
「あ……血が……………!!」
つい反射的に着ていた服での裾で彼の血を拭おうとして自分の手を見て………思考が停止した。
なんで右手に………血塗れの石なんか…………………あ……あぁ…………ああああ……!!
だんだん……さっきまでの記憶が甦る…。
そうだ………わたし…………さっきまで………っ!!!
「うぷ………ヴォエェェェ」
さっきまで、変態神父にやっていた事を思い出して……私は後ろを振り向いて嘔吐した。
変態神父は………頭を何度も石で撲られて筋繊維の向こう側が軽く見えて……細かな亀裂からピンクがかった脳組織がわずかに覗いていた。
私の足を掴んでいた手に力は無く、変態神父は今度こそ息絶えていた………。
「わたし…………わたし……………」
今更になって、変態神父を石で撲っていた感触までもが手のひらに蘇ってくる。
わたし……………はじめて……ひとを…………………っ!!
「You're not to blame.」
「!!」
ドムが私を抱きしめた。
自責の念に駆られて、心が折れかかった私を……ドムは…私を安心させる様に、力強くも優しく抱きしめた。
「It's not bad………」
「…………!」
…………言葉は分からなかった。
分からなかったけど……
「う………うぅ………」
自然と涙が溢れ出てきた……。
「うあぁーーーーーーーーー!!」
助かったとか……怖かったとか……殺したとか………そういう感情がグチャグチャになって、私はドムの胸の中で大泣きした。
そんな私の泣き声で、気を失っていたベアードとマリアが目を覚ました。
頭を強く打っていて私の声で少しガンガンするみたいだったが、ドムの胸の中で泣きじゃくる私を見て、2人は駆け寄って来て一緒に私を慰めてくれた。
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しばらくして、私は再びベッドの上で寝息を立てていた。
あの後、ひたすらに泣きじゃくって、泣き疲れて私はドムにしがみついたまま寝てしまっていた。
しがみつい離さなかった為に、ドムは着ている服を脱いで私をはがしてからベッドに寝かせ、今はソファにて上裸でウイスキーを喇叭飲みしてタバコを燻らせていた。
『そうか、そんなことに…』
『セツ……』
事の経緯を話して、まさかの出来事に2人は沈黙していた。
とくにマリアは自分が気を失ってしまっていた時に、私が銃を撃った事にショックを受けて泣いていた。
何かの弾みだろうと、子供が銃の引き金を引いてしまう事は複雑な問題だった。
現代ほど銃の安全管理が強く求められていなかった事を含めても、銃が「保護の道具」であると同時に「破壊の道具」でもあることを強く意識していた時代でもあった。
ましてやその銃を撃ったのが日本人の私と来たものだから、尚の事どうすれば良いかを考えていた……。
『………コレから、どうしようか』
ベアードが思わずそんな事を呟いてしまった。
だが、ベアードの言葉に対してドムはアメリカ人らしい選択をし、そして覚悟した。
『セツに銃の扱いを叩き込む』
ドムの言葉に2人は驚きを隠せずドムに詰め寄るが、私が銃を撃つ事態を引き起こしたのは自分のせいだと2人に釈明するドム。
あの時、一瞬意識を失わなければ、しっかりと変態神父にトドメを刺していれば、あんな事にはならなかった。
だから、私が銃を撃ったのは、自分のせいだと。
『なら、その責任として、子供にしっかりと銃の扱いを教えるのが教育ってもんじゃねえのか?』
どんな数奇な運命を辿ればこんな事になるのか……w
私の人生は、この時にこうなる事が確定していたみたいだった。
ベアードとマリアに優しく介抱されながら、ドムに厳しく指導されて、私はこのアメリカで日系人のセツとして生きていくことになった。
トラウマに悩まされて、その度に私がパニックを起こして泣き止むまで待ってくれたドム。
いつまでも言葉が解らないことに不便を感じて英会話も追加されて、ベアードのおかげで今では結構な数の言語まで話せるようにもなった。
あの時、私を保護してくれたのがドム達じゃなかったら、多分私はもう既に死んでいただろう。
私がこの事に感謝するのはもう少し先の話だが、それでも、コレが私の生きていくための力になったのは間違いない。
そんな日々を過ごして、10年が経過した。
セツの子供の頃のお話、やっと終わった!
次は、セツがどうやってドムから悪魔の力を受け継いだかを書く!!
ご期待下さいませ!∠(`・ω・´)
今回は以上です。




