第33話 科学知識と黒魔術
お疲れ様ですよ〜∠(`・ω・´)
今回はお話が長いので2話連続です。
頑張って書きましたのでお願い致します∠(`・ω・´)
アザミの鞭を振り回して変態神父が迫ってきた!
最初に反応したのはマリア。
唸り声を上げながら凄いスピードで突っ込んでいき、アザミの鞭を縦横無尽に避けて変態神父を切り裂こうとするが、ヤツが腕を振るう度にアザミの鞭が増えていって思うように近付けない。
ベアードもドムも飛び出したマリアを援護しよう接近するが、地面から巨大なアザミの葉が生えて2人を分断し、大盾を構えたベアードはアザミの振りかざす速度についていけずに防戦一方になり、ドムはM1917に魔力を込めた弾丸を撃つも、対策されていたらしくアザミの葉は腐らずに繊維を強化して、逆に弾丸が潰されていた。
『無駄無駄無駄無駄! 悪魔の攻撃など私の戒めの花の前では無力!! 諦めて私に浄化されなさい!!』
調子に乗っているらしい変態神父はさらに乱雑に腕を振るってマリアの接近を許さず、そして執拗にドムに対して攻撃を苛烈にする。
左眼のアザミの花が僅かにプクッと膨らむと、そこから花粉を広範囲にバラ撒いた!
甘ったるい匂いがマリアの鼻を刺激し、咄嗟にマリアは距離をとった、その次の瞬間!
ジュワァッ!!
花粉がアスファルトに触れた瞬間に恐ろしい速度で溶け出した!
触れたら只では済まない!!
『おいおい!?濃硫酸か何かあの花粉はっ!?』
『っ!! おいベアード!!左だ!!』
溶け出すスピードに仰天してたベアードの左からアザミの鞭が降り注ぐ!
言われて気付いたベアードがギリギリ大盾を挟む事が出来たが、姿勢が悪く軽く飛ばされたが、踏ん張ろうと足に力を込めようとした瞬間、足裏に痛みが走った!
『っ!?』
足下を見てみると、地面からはアザミの棘がビッシリと飛び出しており、靴底を易々と貫いていた!
突然の痛み驚いたベアードは体勢を崩して転倒してさらに棘の餌食になろうとするが、彼は咄嗟に大盾を己と棘との間に挟んでどうにか串刺しは回避出来た。
だがそれは変態神父の本命の攻撃への布石だった。
『さっきはよくも人のケツを砕いてくれたなこのクラッカー野郎がっ!!』
お返しと言わんばかりに変態神父は、戦鎚を握っていたベアードの右腕をアザミの鞭で打った!!その瞬間っ!!
『ッッッ!!! あ、がああああぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!』
大の大人が悲鳴を上げる程の痛みがベアードを襲った!!
アザミの棘なんか比ではない激しい痛みが右腕に走り、ベアードは痛みのあまりにアザミの棘が突き出ている地面を転げ回ってさらに血を流して、打たれた個所を押さえた瞬間、左掌にも激痛が走ってさらに悲鳴を上げた。
それも当然だろう。
なにせ変態神父は、当時ではその分野の学会でしか知る事が出来ないとある最悪の毒植物の特徴とその毒をアザミの鞭に仕込んでいたんだ。
『おいベアード!!大丈夫か!?』
『オマエーーーー!!!』
たった一撃食らって戦闘不能にまで陥らせるほどの毒。
それは、2020年にようやくその毒の成分がある大学の研究機関で解明されて、名を「ギンピータイド」と名付けられた。
オーストラリア北東部の熱帯雨林に自生するイラクサ科の植物「ギンピ・ギンピ」。
原住民でさえ取り扱いには非常に気を付ける程に危険な植物で、オーストラリアでは別名「自殺植物」と呼ばれている。
通常植物毒はアルカロイド系…カフェインやタバコのニコチンやモルヒネ等が挙げられ、強力なものになるとテルペノイド系、トリカブトのアコニチン等が代表例だ。
だが物によって適切な処理を施せば食べられたり、摂取量を間違えなければ身体に害はなく、薬にも転用される。
だが、ギンピ・ギンピは今現在でも解毒剤は存在せず、対症療法や物理的処置しか出来ず、薬に転用するにしても毒が強力で安定性に欠けて、今現在でも研究が続けられている。
しかもギンピ・ギンピの持つ毒は植物由来ではあるが、その毒は一時日本を騒がせたセアカコケグモの毒とよく似ている故に即効性が高い。
さらには全体を刺毛というガラス繊維のようにとても折れやすく刺さりやすい針がビッシリと生えている。
刺されば今のベアードのように、即座に痛みのピーク来て「熱した油をかけられながら高圧電流に感電した」かのような激烈な痛みに襲われ、刺毛が刺さった患部はすごく腫れ上がって時折チクチクする痛みにも襲われる。
重度になれば小さな水疱や発疹が形成されることだってあるほどに強力で、いくら時間が経っても刺毛が刺さってる限り痛みが引くこと無く毒が流れ込み続ける為に、この刺毛をいち早く取り除くことが重要だった。
『どうだ痛いか!?私の奥の手だ!!もっと苦しんで痛がれ!!!』
しかも変態神父はギンピ・ギンピのこれらの特性をさら強化している。
人間よりも遥かに高い能力を秘めている人外の子孫であるベアードでもこうなる程だから、普通の人間ならものの5分で狂死するだろう。
マリアも激昂しながらではあったが、迂闊に近付いたらマズいと本能で理解した為に、積極的に切り掛かってはいたが回避を優先させる動きに移行していた。
そのマリアを援護するドムも、マリアの回避が間に合わない攻撃を狙い撃ったりしながら倒れたベアードを救出して私の所まで運び込み、右腕の状態を見た。
だが痛みが激し過ぎる為に、私の見ていた前でももがき苦しむベアードを見て血の気が引いたのは今でも覚えてる。
『おいベアード!動くな!』
『ぐうぅぅっ!い……があぁ…………!!』
『チっ、あとで文句聞いてやるから少しガマンしろよ!』
このまま暴れられ続けたら何も出来ないと感じたドムは、私の見ている目の前でベアードの両肩を無理矢理外して馬乗りになって、のたうち回るベアードを抑えに掛かりながら患部を千里眼で視える倍率を上げて見た。
微細なガラス状の針が皮膚に突き刺さっていて、周囲に軽い炎症や赤みが確認される。刺毛は鋭く、皮膚表面に小さな穿刺痕が見て取れた。
ドムはコレが痛みの原因と直感し、腰に挿していたナイフで皮膚を真皮(皮膚の下の白い部分)ごと削ぎ剥がした!
剥がす際に血や組織液が滲み、刺毛のガラス質な輝きが露出した真皮に残る様子が今でも思い出すと生々しくて恐ろしい。
『おいベアード、どうだ?』
『…………腕と手がジンジン痛むけど、さっきよりマシ』
『そんだけ軽口叩けるなら大丈夫だな』
目の前で繰り広げられた荒療治にドン引きしてしまってたが、それが済むとベアードを襲っていた痛みが消えていたが、それでもまだ少し灼熱感とチクチクした痛みはまだ残ってしまっていた。
外した両肩もハメ治した。
『盾は構えられるか?』
『大丈夫だ、でも……』
毒のせいで長くは続けられないのは明らかだった。
『………行ってくれ、マリアを頼む』
『ああ、少し休んでろ』
ドムはベアードを置いていく時に、私に一瞬目線を合わせてから、また変態神父の方へとM1917を撃ちながら走って行く。
ドムの背中を見送るしか出来なかったは私は、まだ痛みで少し苦しんでいるベアードに何か出来ないかと思い、風呂場からキレイなタオルを持ってきて、傷口をタオルで頑張って縛って止血する。
戦時中にお母さんの包帯を替えたり、空襲後に怪我をした人達を簡素ながら応急処置を施したりしてた経験が役に立った。
「だ、大丈夫ですか?」
助けてくれた恩人の1人がこんな事になるなんて夢にも思わなかったし、なによりも人間でない……妖怪と呼ばれるような存在がいた事を初めて知って怖かったけど………。
「心配かてて、ありあと」
外国人にとって日本語はメチャクチャ難しいのに、私に合わせてくれる目の前の人は感謝の言葉を私に伝えると、少しフラつきながら家の中に隠してあった地下への扉に手を掛けて降りていく。
日本では地下室自体が稀だったから驚いた記憶もあり、地下に電気が通っていたのにも驚いたが、尚且つそこは武器庫兼作業場だった。
ベアードは作業台の引き出しからショットガンの薬莢と弾頭を取り出すと急いで作業を開始した。
彼の頭の中ではあの変態神父を倒す道筋をいくつか立てていて、その1つとしてドムに即興ではあるが特殊弾を作ることにした。
扱いを間違えれば撃つ側のドムにも被害がでるが、彼ならやってくれるという長年の信頼がある。
「あぶなから、さかてて」
私が後ろから見守るなか、ベアードは作業を開始した。
その間、マリアとドムは変態神父相手に奮闘するが、生命力と繁殖能力の高いアザミの性質故のしぶとさに、逆に2人の体力が削られて肩で息をしていた。
同じように変態神父も自分の攻撃を尽くマリアに躱され、ドムの射撃にチャンスを潰されて苛立ちがピークに達していた。
マリアのスピードは目視では最早視認出来ない程に速く、そして確実に自身の疑似心臓を狙い続けて来ていて、彼女を援護する為にドムが撃ってくる度に最短ルートを導き出されてマリアが突っ込んでくる。
アザミの鞭を振るっても、濃硫酸花粉をバラ撒いても、地中からアザミを生やして奇襲しても、棘を飛ばしても、全ての攻撃を捌かれていた。
『クソ!クソクソクソクソクソクソクソッッッ!!!!』
いくら生命力が強くても、ドムとマリアは戦闘経験の差で現状を拮抗させていた。
ドムはドムでこのムカつく変態神父を始末する為の道筋を独自に見出していてた。
彼の中の悪魔の知識と知恵を使っての方法になるが、ソレを実行に移すためには変態神父の動きを長く止める必要があったが、植物魔人と化している変態神父の生命力と再生能力をどうするかが課題だった。
決め手に欠けて時間だけが過ぎ、そろそろ魔力の出力を上げようした時、特殊弾を作り上げたベアードが家から飛び出した!
『ドム!受け取れーー!!』
投げられた特殊弾を受け取ると、ドムは特殊弾がら漏れるある香りを感じ取り、変態神父へを目を移す。
『なるほど、そういうことか!』
ベアードの作った特殊弾に何を詰めているか分かったドムはM1917を仕舞ってソードオフに持ち替え、特殊弾を装填。
あとは変態神父のある攻撃を誘発させる!
その為にまずはマリアのナイフを変態神父の疑似心臓に届かせる必要がある。
たがこれはさっきからずっとやってる事を繰り返すだけ。
そう、マリアの攻撃を届かせる為の最短ルートを作る!!
まずは乱雑に振るうアザミの鞭をマリアが躱しやすくするために変態神父の肘と肩を重点的に狙い撃つ。
変態神父の身体は今アザミと融合しているような状態で、筋繊維と食物繊維の特徴を併せ持った強靭な肉体をしていて、普通に撃っても効果は薄い。
だがそれでも、私も使っている45ACP弾はストッピングパワー…命中した際にどれだけ効果的に相手の動きを止めたり、無力化したりする能力が優れている弾丸を使っている為に、人外相手でも効果がある。
単に弾の大きさもあるが、普通の弾…9ミリパラベラム弾は人間相手に貫通力が強く出るように作られているが威力は低く、人外相手ではその頑丈な表皮に遮られてしまう。
だが45ACP弾は構造上、弾頭が命中するとキノコ状に広がる設計で、これにより体内でより大きな傷口を作り、貫通しすぎずにエネルギーを効率的に伝える。
例えるなら、9ミリ弾が槍で刺すイメージで、ACP弾はハンマーで殴るイメージだな。
現代では9ミリ弾でもホローポイント弾と呼ばれるACP弾と同じようにストッピングパワーの優れた弾丸が開発されているが、当時では人外にとっては最も効果がある弾丸としてドムは使っていた。
『いい加減チマチマ撃ってくるな鬱陶しい!!』
貫通しないものの、その衝撃力はバカにはできない。
しかもドムの魔力によって威力も強化しているから、変態神父はドムが撃ってくる度に凄まじく痛い思いをしていた。
痛い思いをすれば当然動きは制限されて隙も生まれる。
その隙をマリアに突かれて切り刻まれる。
そしてついに、待っていたその攻撃が来た!!
『このっ!離れろーーーー!!』
左眼のアザミの花が少し膨らみ、そこから大量の濃硫酸の花粉を噴射した!!
マリアは花粉の甘い匂いを感知すると直ぐ様バックステップ。
入れ替わるようにドムが突っ込んできた!
マリアの安全を目視で確認すると、彼は左手のソードオフを、花粉をバラ撒いている変態神父の左眼に向けて1発撃った!!
そしてもう1発、変態神父がバラ撒いて宙を舞ってる花粉の塊に特殊弾とM1917の弾を交差させる様に同時に撃った!!
『ッッッ!!!』
左眼に特殊弾が当たった瞬間、高濃度のアルコールの匂いがした。瞬間、濃硫酸花粉と特殊弾の中身が接触し、小さな爆発が変態神父を吹き飛ばした!!
それと同時に2発目の特殊弾がM1917の弾丸と接触し、特殊弾の中身の高濃度アルコールが花粉に触れて熱が発生。
反応剤が混ざるとさらなる熱と酸素が生み出され燃焼を助長する。
最後に点火剤が熱に反応して激しい炎を作り出し、変態神父は焼かれた!!
『ぎゃあああぁぁーーーーーーーーーーっっ!!!』
悲鳴を上げながら転げ回って火を消そうと試みるも、アルコール引火した火は水を掛けても酸素供給が続く限り燃え続ける。
実はあの特殊弾には、普段マリアが飲んでいる密造酒が使われていた。
高濃度なアルコールな為に燃焼力は高い。
『さっきのお返しだクソ野郎』
ベアードの科学知識による意趣返しにまんまとハマった変態神父。
そしてこの隙をドムは逃さない。
『神様の為に働いてたんだったよな? ならいっそそのカミサマの所に逝って来い!ペイピスト冥利に尽きるだろ!』
皮肉を交えたドムが己の中に居る悪魔の一体を呼び醒ます。
彼の眼が青く光出し、私は感じたことの無い何かを感じ取って恐怖したのは覚えている。
魔力とは違う悪魔の力を込められた弾丸を、ドムはアザミの養分と化していたチンピラ達の死体に撃ち込み、聞き慣れない言葉………と言っていいのか分からないが、耳鳴りのようなキーンという声を発して呪文を唱え始め、彼の足下と死体に禍々しい魔法陣が浮かび上がった。
『闇の淵に沈む亡魂よ、
怨嗟の叫びを響かせ、血と涙の鎖を解き、
贄の嘆きを天に届け。
深淵の底、
黒き霧の彼方より、
悪魔の王、その爪牙を振りかざし現れよ。
枯れ果てた魂の慟哭をその顎に喰らい、
憎しみの残響を炎の炉に投じよ。
地を裂く呻き、夜を切り裂く咆哮よ、
怨念の奔流を悪魔の業火に捧げ、
その灰より新たな力を紡ぎ出せ。
聞け、深淵の鼓動、
血の脈動を。
贄の魂よ、朽ちた骸を脱ぎ捨て、
悪魔の息吹に浴し、
焔と化して昇れ。
星を喰らう闇の意志よ、力を束ね、
怨嗟の海を燃やし尽くし、
光を奪え。
我が手にその力を宿し、
天と地を焦がす焔を呼び起こせ。
贄怨の枯魂、
永遠の闇にその名を刻め!』
暗く重い空気がチンピラの死体に集まり、銃弾を受けた死体から黒いモヤの様なものが次々とドムの真上に集まり始め、人一人を潰せる大きさの球体の形を作り出す。
球体からはチンピラ達の怨嗟の声が響き渡り、不協和音の旋律残響を奏で、その悪意の遺産と呼ぶに相応しい球体、「贄怨の枯魂」をドムは躊躇無く、火ダルマになって転げ回る変態神父にブチかました!!
『がぁ……っ!かっ……………こぉあぁ…………………』
贄怨の枯魂をくらった変態神父の水分と栄養がゴッソリと奪われ、保湿を保っていた肌がカピカピに為っていって燃えやすい様になって更に焼かれた。
アザミの葉も茎も枯れ果て、細胞組織を保つことが出来なくなり、触れば枯れ葉の様にパリパリになって崩れいく。
そしてトドメに、ドムは狙撃銃に切り替えて、奴の疑似心臓に向けて「悪夢狂狙撃砲」を叩き込み、疑似心臓を完全破壊した!
クラッカーは黒人奴隷さんを鞭で打つ白人さんに対して使われた差別用語になります。
ペイピストも神父さんへのスラング……差別別称となります。
日本人へはジャップとも言われたりします。
皆さんは使わない様にして下さいね!
では次です∠(`・ω・´)




