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人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第二章 弾丸の魔女
33/85

第32話 アザミの棘

お疲れ様ですよ〜∠(`・ω・´)


さて、今回はどうなるかな?

では、続きをどうぞ!

マリアはアタッシュケース(爆弾)を上空に蹴り上げ、ベアードは大盾おおだてで防いでいたが、ドムだけは、アタシの方に飛んでいった爆弾の起爆雷管を正確に撃ち抜いて不発にした。


だがその代償だいしょうに、彼だけが爆発に巻き込まれ、爆傷ばくしょうって、吹っ飛ばされて地面の上を転がされた。


銃声は家の壁で、ある程度さえぎられて起きなかったが、戦争で爆弾の爆発の音には敏感になってた私は、一瞬で目が覚めた。




「お母さん!? シゲちゃん!?」




また空襲が始まったと勘違いして飛び起き、お母さんと弟の名前を叫んでキョロキョロと周りを見渡して、アタシは今、日本じゃない所に居ることを少し遅れて思い出した。


さらに遅れて外からすごい音が響いてくるのに気付いて、アタシはおそおそる、玄関まで出てしまった。




「!?」




あの時はホントに驚いたもんだ。


ベアードは見たこともない大盾おおだてに、デカい鉄の塊(戦鎚)を振り回して、マリアはなんかよく分からん金色の動物の耳と尻尾生やして、メチャクチャ早く動きまわっていて、ドムにいたっては血塗ちまみれで倒れていた。



『えっ!?セツ!!?』

『なっ!ダメだ!来るなセツ!!』



アタシの目には、この場が空襲でグチャグチャになってた近所の惨状さんじょう彷彿ほうふつとさせて、心の中に勝手に封印してた、あの時の感情がよみがえり始めてた。




「あ……あぁ………………」




まだ初対面の間柄あいだがらだが、ドムが倒れてて、心臓が飛び出るくらいに驚いて嗚咽おえつしかかった。


が、その先にいる、()()()()、アタシは目を見開いた。



忘れもしない……。



あの時……あの船の中で、泣きながら抵抗するアタシを、力で無理矢理むりやり()さえんで……





「…………っ!!……あぁっ!!!」





気色悪い笑みの、あの変態神父……!!






「アアァァーーーーーーーーーーーーっ!!!」






見間違うことはなかった。


あの神父は、変態(グリムネスト)共の顧客こきゃくで、ベアードに依頼したのも、私を手に入れる為だった。


私と神父の目が合うと、あの変態神父は口元を大きくゆがませ、股間にテントを張った。

仮にも聖職者せいしょくしゃ司祭しさいが、見せて良いようなものではない笑顔と醜態しゅうたいだった。





『  ミ  ツ  ケ   タ   !!』





私は尻もちをついて、その場から動けなかった。


人ってのは、脳にこびれついた恐怖の前では、ホントに足がすくんで動けなくなる。


奴が一歩踏みしめると、奴の足下からトゲだらけの植物が生え出し、その植物がチンピラの死体を栄養源にして、トゲの生えた葉や茎が紫色の花を咲かせながら大きくなっていく。


"アメリカオニアザミ"と呼ばれる、キク科の多年草だ。


現代の日本では外来種として分布し、道端や空き地、牧草地などでよく見られ、生命力と繁殖力の強いとげのだらけの草花だ。



神父の持つ魔力によって、繊維せんいの強度とトゲのかたさを強化されて、さっきからマリアとベアードに襲い掛かっていたものの正体がソレだった。





『ミ  ツ ケ   タ   僕  ノ   あい がん   天 使   !!!』





アザミの攻撃が苛烈かれつになり、変態神父はアタシ目掛めがけて、アザミを生やして私を拘束こうそくしようと迫りくる!!


マリアとベアードの両名は、アザミの攻撃速度と手数で押され、間に合わない!


だが




『おいコラ』




爆傷ばくしょうを負って血を流していたドムが、能面のうめんの様な表情でアザミを早撃ち(クイックドロウ)で狙い撃った!


撃ち抜かれたアザミはドムの魔力によってくさり、腐蝕ふしょくはアッという間に根まで届いて土のやしにした。



『人を爆弾で吹っ飛ばして、子供(ガキ)に欲情するたぁ、テメェそんなに殺されたいのか?

自殺志願者か?』



薬莢やっきょう排莢はいきょうしながら、変態神父をあおり、ヘイトを自分に向けさせようとした。


首をゴキッと鳴らして、銃口を変態神父に向けるドム。


変態神父はジッとドムの方へ目を向けると、何を思ったのか不敵な笑み浮かべ始めた。




『………フフ、アタナこそ、実はそこの天使セツに欲情しているのではないですか?』

『あ?』

『アナタ、その身に悪魔を複数宿していますね?

私の目は誤魔化されませんよ?』

『…………』

『悪魔は欲望に忠実だ。人を誘惑ゆうわくして、堕落だらくさせてその数を増やす。

そこの人狼とドワーフも、アナタが堕落おとした被害者なのでしょう?

ならば、私がアナタを浄化じょうかすれば、そこの2匹も、あの天使セツも救われる!

だから私が救おうと言うのです!

アナタも、その悪魔の呪縛から、救って差し上げますよ?』




独善的で、発する言葉の節々(ふしぶし)が、物凄ものすごく気持ち悪い…。


あの時は何を言っているのか分からなかったけど、アタシには、あの変態神父こそが、悪魔に憑かれているんじゃないかと思えるほどに気持ち悪かった。


それはマリアもベアードも同じだったみたいだ。


ドムや自分達のことをよく知りもせず、よくアレだけ侮辱的な言葉をスラスラ言えたもんだ。




だが、ドムは冷静だった。

彼は黙って変態神父へ、一発の銃弾を放った。




弾丸は変態神父の左眼を貫き、弾かれて背中を地面に………着かなかった。


ほぼブリッジの姿勢から、映像を逆再生したかのように起き上がり、変態神父は残った右眼で、ドムをジトッとした眼で睨みつけた。



『ヤッてくれたな?このニガーが』



左眼ごと脳を撃ち抜かれたはずなのに、奴は薬物中毒者(ラリった)ように怒りの表情で笑い出した。

空いた左眼からアザミの花を咲かせ、服のすそからアザミの葉とくきを複数伸ばして、ソレをムチのようにしならせた。


明らかにもう人間じゃない。



『神への祈りは済んだか?

ならサッサと魔界へと堕落()としてやるから、掛かってこいペイピスト』



互いに侮辱的ぶじょくてき蔑称べっしょうあおり、2人の間でバチバチっと電気のような弾ける音が響いた。

少し離れているだけでも肌がピリピリして、私は尻もちをいたまま固唾かたずんだ。



先に動いたのはドム。


正確なシングルショットで、弾丸を変態神父の右眼目掛けて撃つが、変態神父はアザミの茎と葉を振り回して弾丸を叩き落とし、反撃にアザミのとげを硬質化させて大量に飛ばしくる!


ドムは排莢はいきょうしながら動き回って、変態神父の攻撃をかわしつつ、攻撃の隙間すきまうようにして撃ち込んでいく。


変態神父は眼を撃たれた事を警戒して、ドムのM1917(リボルバー)の銃口を一際注視ひときわちゅうしし、アザミを触手しょくしゅのようにして振り、棘を飛ばす。


ドムの射撃能力は驚異だが、変態神父はチンピラ達がドムにせまって行った時の様子をしっかり見ていて、彼のもう一つの驚異である格闘術オキチタウを警戒していた。


アレを喰らってしまえば、肺を潰されかねない程に投げが強い。


弾丸はアザミの繊維せんいの強度を上げて防いでしまえる。


あとはチクチク中距離から叩き続けてしまえば…。


ガンマンのクセして、体術も使えるとかフザケてると内心憎悪するが、『所詮は悪魔だ』とタカをくくっていて、最終的には秘蔵の物を使って……と軽く考えていた。



だが人も人外も、生きているうちは思うようにいかない。



視界のすみから何かが飛んでくるのが見え、変態神父は大きくサイドステップしてかわす!


飛んできたのは巨大なアザミの棘葉。

と、口元が血塗ちまみれの怒れる金狼。





『オマエっ!!ウチのムスメにナニをしたーーーーつっ!!!』





すさまじい形相ぎょうそうのマリアが、ダブルナイフを変態神父に振りかざす!


サイドステップした直後で、変態神父は即座に行動を起こそうにも回避は間に合わず、奴はマリアの斬撃を、左手を犠牲にして致命傷を避けようとした。


だが、マリアが狙ったのは…




『死ね!!この変態粗◯ンがっ!!!』




寸分すんぶんくるいも無く、変態神父のテントを張っていた、大切な股間の息子を縦一文字たていちもんじに切り裂れた。


さらに後からは、



『どりゃーーーーっ!!』



ベアードがかけ声とともに、戦鎚せんついを変態神父のケツに叩き込んだ!



「¿≠%ッ!!!」



その衝撃で、変態神父の尾骶骨びていこつ仙骨せんこつ、さらには寛骨かんこつが砕け、ゴキュっ!!という音が衝撃音に混じって、ケツの穴が思いっ切り締まるような感覚になったのを、今でも覚えてる。


ムスコを切り裂さかれて、ケツを打たれて、顔面から地面にバウンドして、その先にはドムが立ちはだかった。


トドメと言わんばかりに、ドムが変態神父の背中を踏んづけて、M1917(リボルバー)6発全弾心臓に叩き込んで顔面を蹴り上げた!


砕けた歯がちゅうい、追い打ちに変態神父の顔面を掴んで後頭部を地面に叩き付けて、奴は頭を半分、地面にメリ込ませて血に染まる。



一先ひとまず決着がついた様子になって、マリアが一目散いちもくさんにアタシに抱き着いて心配をしてくれたけど……



『セツーーー!!大丈夫!?ケガしてない!?怖かったよね!?もう大丈夫だからね!!』



アタシが恐怖とフラッシュバックで悲鳴を上げた事に、一番動揺パニクって抱き着いて背中をポンポンしたマリア。


獣耳と尻尾を生やしたままだったけど、それよりも口からダバダバと血をれ流して、身体の彼方此方あちこちに傷やトゲが刺さった姿でコッチを心配してきてくれてるが、そっちが大丈夫なのかと不安に駆られた……。



『ふぅ、ドム、大丈夫か?』

『あぁ、すぐに傷も塞がるだろ。それよりも…』



傷口を見ながら、ドムは頭をガシガシときながらM1917(リボルバー)仕舞しまって、ベアードも軽く安堵あんどした。


この中で怪我ケガひどいとしたら、おそらくマリアだろう。


アタシが変態神父を見て悲鳴を上げた時に、マリアはさらにスイッチが入ったかのようにスピードを上げて、トゲだらけのアザミの葉を切り裂き、しまいにはくき千切ちぎったりして口の中が切れ、その状態で暴れた為にあんな傷だらけに…。



『マリア、そろそろセツを離せ、服が血塗ちまみれなる』

『や!!』

『イヤじゃねぇんだよ、離してやれ』

『ヤーーーー!!』



これじゃどっちが子供なのか………。



しかし、少しホッとしたのつかだった。



あきれていると、マリアの耳がピクッと何かを感じ取った。



『っ!! 』



突如として戦闘態勢になり、尻尾の毛を逆立たせてうなごえを上げ始めるマリア。

ベアードもドムも、マリアの変化にいち早く察知さっちして、マリアの視線の先を見た。


視線の先は、倒れている変態神父。


心臓を撃たれたはずなのに、奴は不自然な動きで立ち上がり始めた。


動くたびに、ゴリッとかボキッとか骨の鳴る音や、肉が千切ちぎれるような音が響き渡り、その音に反応して、怖気おぞけが走った。



『…………ユルさネェぞ、このクソビッチどもが』



下半身を、アザミの葉とくきを大量に生やして、まるでタコやイカのような触腕しょくわんのようにして立ち上がり、撃たれた心臓に植物の根がからみついて、代用心臓となって脈動し始める。




『神に献身的な私を、ここまで冒涜ぼうとくしてくれた罪は、万死に値する!!』




変態神父の怒りの感情に呼応こおうするかのように、左眼の花から花粉をらし、甘ったるいにおいと、何かが焼けるようなにおいが混ざって気持ちが悪い。



『チっ、コレだから宗教しゅうきょうは嫌いなんだよ…』

『まぁね、「神の名のもとに!」っとか聞くととくになぁ』

『ガルルルっ!!』



ここからさらに、戦闘は激しくなっていく。


変態神父は怒髪天を衝いた状態で、両腕からアザミの鞭で私達に迫ってきた!!

この伏線に気付いてくれると嬉しい♪\(^ω^\)

さて、次!

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