表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第二章 弾丸の魔女
30/85

第29話 ドミニクとベアードと酒カス

お疲れ様ですよ〜∠(`・ω・´)


ここは少し平穏かな?

出てきた物は美味しかった。


ご飯のようなもの(オートミール)を牛乳で柔らかく煮込んでメープルシロップがかけてあって甘くて、小さな干しブドウも混ざっていて、私は涙しながら必死になって食べた。


戦時中は何とかして食いつないではいられたが、この時はいつ食べたのなんか覚えていないほどに空腹だった。


今の時代になってつくづく思う。

食べ物が手に入りやすく、それが当たり前になってしまっている人も居るだろうが、私は今でも食べらることに感謝していた。



「ひっく……んぐ…はぐひっく……」

『食うのか泣くのか、どっちかにしたらどうなんだ…』

『そう言うなって、俺たちの想像を絶するほどに、腹減ってたってことだろ』



悪態あくたいをつく黒い人と、それをなだめる無精髭ぶしょうひげの人。



『それにしても驚いたなぁ、まさか奴等アジアにまで手を広げるなんて…』

『んで? このガキどうするつもりだ?』

『ん〜、クライアントは保護した子供全員引き渡すこと、とは言ってたけど………この子を見るに、それは止めておいた方が良いかもしれないなぁ』



私の様子をみながら、無精髭ぶしょうひげの人は頭を悩ませた。

酷い目に合って、命からがら窮地きゅうちを脱したと思えばそこは海外。


しかも日本と戦争で、敵対していたアメリカにやって来てしまった。


私の扱いに頭を悩ませている無精髭ぶしょうひげの人が、日本語を話せたのが幸いして、私はいったんは落ち着きを取り戻していた。



『なんでだ?』

『………この依頼してきた奴が少し違和感あったんだ』

『違和感? 』

『誠実そうには見えたんだけど、なんかどこか胡散臭うさんくさいというかね……』

『…………お前がそう言うってことはそうなんだろうな』



黒い人は、無精髭ぶしょうひげの人の話を聞いて、顔がけわしくなる……。

その横で私はご飯を食べ終えて「ごちそうさまでした」としっかり手を合わせると、黒い人の目には不思議に映ったようで…



『日本人でも神に祈るんだな……』



と、少し不快な様子でつぶやいた。


『あぁ違う違う。ソレは感謝してるんだよ』

『感謝?』

『そ、日本には神道しんとうていう文化が昔から根付いていてね、全てのものに命が宿ってるっていう考え方があるんだ』

『それのどこに感謝する必要があるんだ?』

『食べ物となった物にも命があって、その命を頂いてるから、食べる前には「いただきます」って感謝して、食べ終わったら「ごちそうさま」って手を合わせるんだってさ』

『………お前よくそんなマイナーな事知ってたな?』

『昔、日本人に助けてもらったからね、その時に』

『ほ〜ん?』



聞いておいて興味なさそうに、黒い人はウイスキーを喇叭飲らっぱのみする。


その後、食べ終えては落ち着いた私を見て、無精髭ぶしょうひげの人は私を一先ひとまず、少し心を許した私に、軽く自己紹介をしてもらった。



「オレなまえ、ベアード。コッチ、ドミニク」

「べあーどさんと……どみにく…さん?」

「ドミニクわ、ドムていうとイイよ」



慣れない日本語で、当時の私が理解出来る範囲はんいで教えてくれて、私も自己紹介をするとベアードは首をかしげた。




生島 節子(いくしま せつこ)です、12歳です」

「……What?」

「?…わっつ?」




目が点になってたベアードにドムが気付くと、彼は私が12歳の女の子だと聞かされて同じように目が点になった。



『……マジかよ』

『どうみても8歳にしか視えなかった………』



私の容姿と年齢が二人の目に釣り合ってなかったようで私が8歳の少女に見えたらしい…。

というのも、2人がそう思ったのには理由がいくつかあった。


まず一つは、私をさらって、地獄を見せた連中にあった。



奴等はそのほとんどが女児性愛者ペドフィリアで組織された連中で、名を「グリムネスト(童話の巣窟)」と呼ばれている。



さらった女児には恐ろしい場所という意味と、変態ペドフィリアにとっては居心地の良い家という意味があり、そいつらは今現在でも活動を続けている連中だ。


思春期に入る前の女児にしか興味が無く、思春期に入った女の子には見向きもしない変態どもの集団。



『これ奴等が知ったらこの子を殺しにくるかも……』

『ったく面倒くせぇな…』



1945年(この時)のアメリカの女の子の場合、戦時中でも第二次性徴期だいにじせいちょうきは平均的に10〜12歳頃に始まり、初経が12.5〜13.5歳頃に起こるのが一般的だった。

対して日本は、戦時中の女の子の第二次性徴期だいにじせいちょうきはアメリカよりも栄養状態が悪かった為に、大凡おおよその平均で 14~16歳 程度だったとされいる。(現代の日本では平均12~13歳)。



グリムネストの連中は、女の子の第二次性徴期だいにじせいちょうきが始まる"12歳"には手を出さないというルールがあった。



変態(ペドフィリア)達のこだわりらしく、女児達の反応だからこその興奮があるとか…。


コレを知った時はドン引きしたし、絶対に絶滅させる

と誓ったのは言うまでもない。



ドムとベアードは話し合った末に、一端私を自宅まで連れて帰って、後日じっくり話し合って日本にどうにかして私を帰す方法を考える事にした。


『早いとこアジトに戻るとするか』

『アジトって……俺の家なんだけど?』


少し騒ぎ起こした私達は店員に文句を言われながら、代金を少し多めに渡して酒場をあとにして、近くに停めてあった車に乗り込んで、ベアードの家へと車を走らせた。




車の中から見るアメリカは、私にとっては未知で溢れていた。



日本とは違う文化の未知(ゆえ)に、この時の私にはアメリカという国の一端を垣間見て凄く怖かった記憶がある………。


何もかもが違くて、家族も居ない………。


まるで私だけ…1人、別の世界に取り残されたよう恐怖を感じてしまっていた。


今考えると無理もない話だ……。

親しい家族が死に、弟と生き別れ、いきなり知らない土地で………しかも戦争で日本と戦っていた敵国アメリカに迷い込んだんだ。


それに、日本でもアメリカへのプロパガンダが流布るふされていた事に、私も少しは影響を受けていたと思う。



小学校に通っていた頃は、アメリカを「物質主義的ぶっしつしゅぎてき堕落だらくした国」と教えられ、反米意識を植え付けてた。

軍国主義教育ぐんこくしゅぎきょういく一環いっかんとして、私たちは「米英打倒べいえいだとう」をスローガンに掲げて戦闘訓練や防空訓練にも参加した。


英語の授業もありはしたが、「敵国語」として使用が制限され、英語教育は縮小し、私は受けたことが無い。代わりに日本語や軍事教練ぐんじきょうれん重視じゅうしされてたんだ。


街頭や公共施設にも、アメリカ兵を怪物や悪魔として描いたポスターが貼られてたし…。

これらは国民わたしたちに、恐怖と憎しみをあおって戦う決意をうながすもので、今でも思い出すとゾッとする……。


おもにアメリカ兵が日本人を虐待するイラストや、「本土決戦」の準備を呼びかけるスローガンが一般的でだったから、その時のイメージがいくらか残っていてもおかしくはなかった……。



『…………』



車の後部座席で小さくなっている私を、ドムのその大きな手が私の頭の上に置いてきた。


ビクッとしてしまったが、ドムは私の方を向かずに、仏頂面だったが、幼児をあやすかのようにポンポンと優しく撫でてくれた。



「………………」



お母さんとも、お父さんとも違う、黒くてゴツゴツした硬くて大きな手。


だけど、久しぶりに頭を優しく撫でられて心僅こころわずかにだったが、私の不安は彼の大きな手で薄れたのはハッキリと覚えている。


そんななんとも言えない不思議な空気間を、ベアードはバックミラーから覗いて口元を緩ませていた。



=======================================



しばらく車を走らせて、ようやく目的地に到着した。


周りには他の家は建っておらず、まさにポツンと一軒家、という感じの……なんというか、田舎のおばあちゃんの家に着いたようなそんな雰囲気を感じた。


「さ、つタよ」


運転席から出て、私を後部座席から降ろしてくれたベアードは、ここがボクの家さ!といった感じで胸を張った。

この時代でマイホームを持っていることは珍しく、彼はコレを自慢にしていたのだが……………


鼻高々にドアノブに手を掛けようしたその時だった。



ドタドタドタドタっ!!っと家の中から人が走ってくる音が響き渡った。



『チっ!』

「えっ!?」



ドムが突然私をかかえて、バックステップして扉から遠退とおのいた。


そして………



「Welcome back!♡ I love you Baird!!♡♡」



長い金髪をなびかせて、大きなおっぱいをバルンバルンに揺らしながら、扉を物凄ものすごいきおいの体当たりでいてきた女性がベアード抱き着いてきた。



「Ouch!!」



いきおいに任せてふっ飛ばされて、アスファルトに頭を思いっ切り打ち付けて2、3回バウンドしたベアード。


『……ま〜たコイツは………………………』

「っ!? !? !??」


呆れ顔で頭をガシガシいて少しイラついたドムと、何が起こっているのか分からずドムにしがみつく私………。


ベアードに抱き着いた女性は彼の胸板に顔をうずめて、スーハースーハーと彼の汗の臭いを嗅いでデレデレ顔に…………女性がしたらいけないような、ダラしない恍惚こうこつな表情をしていた…………。




『マリア……またお前酒飲んでるのか!?』

『うへ〜??のんでなひよ〜♡』

『ウソつけ!どっからどう見ても飲んで…っつか酒臭!!』

『だ〜か〜ら〜♡ のんでなひんだっへば〜♡』




飲んでないと言いながら、彼女は右手にもった瓶の中身をゴクゴクと喇叭飲らっぱのみして、今度はいきなりベアードに飲んだモノを口移しで飲ませ始めた……。


ベアードは顔を真っ赤にして、口に入れられたモノをつい飲んでしまったが、それはガッツリお酒だった。


しかも違法な密造酒ムーンシャイン




『………ウプ』




で、口移したら急に酔いが回り…………




『%#$≠¥>€¿=≠©$%#$=€€¥©#%%≠!!!!!』




キスしたまま、ベアードの口の中に大量リバースした。



その後はとんでもなくヒドかった………。



リバースされたモノがベアードの気管に入って窒息しかけ、白目を剥いたベアードにマリアと呼ばれた女性がなんかわめいて、ベアードに腹パンして、その衝撃で気管に入ったモノが逆流。


ものの見事に口と鼻から物体Xが大量噴射した………。



で、その物体Xを見て女性がもらいリバース。



ベアードは頭からソレをモロに被って………………


私はカルチャーショックを受けた。

今にして思う。

なんだよこの状況………。


私が幼稚園児の時に曾祖父さんの葬式の時に、葬式で気分が悪くなってお焼香を上げようとした時にお坊さんの頭にゲ〜したのは今でも思い出です……(遠い目)


もちろん、葬式が中断されたのは言うまでもない∠(`・ω・´)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ