第28話 黒い猛獣
続きです。
思い出してゲロって大変です………(´;ω;`)
もし自分がこんな目に遭ったらと想像しながら書いているのでキチィ…
「う…………あぁ………………………」
頭が重い………。
ボーっとするなか、アタシは冷たい床の上で目を覚ました。
畑を荒らされて絶望していた時の記憶から先がない……。
アタシは頭を押さえて立ち上がろうとしたが、出来なかった。
両腕を、縄でキツく後ろ手に縛られていたからだ。
「なにこれ………なんで?………………!」
辺りを見渡して見ると、他にもアタシと同じように両腕を縛られて泣いている子達がいた。
それも全員、見る限りは女の子だった。
「なに?なになに??」
「……どこ?」
周りの子達もみんな目を覚ましはじめて、口々にそういう声が響いてきた。
みんな混乱していて、私も何が起こったのか分からなかった。
でもその中に、1人顔見知りが居た。
「! 和子ちゃん!?」
「えっ? もしかして、節子ちゃん!?」
中退した小学校で、可愛かったアタシの友達だった。
アタシは彼女の元に、どうにか立ち上がって駆け寄ろうとしたけど、どういう訳か足下がもつれて、上手く立ち上がれない。
それに、頭もボーっとして上手く働かない。
和子ちゃんも立ち上がれなかったが、アタシ達はなんとかして、お互いに距離を詰めて状況を確認し合った。
「大丈夫?」
「うん……でも、ここどこなんだろ?」
周りは同じように、縛られた同世代くらいの女の子か複数人。
見たこともない、冷たい床に寝転されていた以外、何一つ分からなかった。
部屋は薄暗く、たぶん扉らしいものがあったのは分かったが、この状態で扉を開けるのは不可能なのだという事だけは明確。
お腹も空いて空腹。
とりあえず、アタシ達は他に誰か居ないのか見渡して、なんとか扉の前まで行って、そこで誰か居ないか叫ぶしか出来なかった。
今だとコレは、明らかに悪い人に拉致誘拐された状況だとわかる。
戦争で生きるのに必死だったアタシ達は、暴力には曝されてはいたが、まさか拉致誘拐されるとは微塵にも思っていなかった……。
そして、アタシ達の声が聞こえたようで、外から人の歩く音が複数聞こえてきた。
重い鉄の扉が、音を立てて開かれる。
そこに立っていたのは………たぶん……………日本人の大人ともう1人、金髪碧眼の、太った大きい外国人だった。
たぶんと思ったのは、アタシは違和感を感じていたからだ。
アタシの知っていた周りの大人達とは、空気が明らかに違っていたからだった……。
それに…………明らかに日本語じゃない言葉で話していた…。
他のみんなも、目を丸く点にして何が起こっているのか分からなかった。
当然アタシも、和子ちゃんも………。
そして何か話し終わると、太った外国人は和子ちゃんを指差して、和子ちゃんを連れて行こうとした。
「待って!! ねぇ、和子ちゃんをどこに……ゴッ!!」
アタシの言葉に返ってきたのは、お腹を蹴るという暴力だった。
軽くふっ飛ばされて、アタシは最初に倒れていた位置とほぼ同じくらいの所で悶絶した。
蹴っ飛ばしてきた外国人が、何か大きい声でアタシを恫喝してくる。
何を言っているのか分からず、そして大きい声に私と周りの子達は萎縮した。
「節子ちゃん!!」
アタシの名前を呼ぶ和子ちゃんの声が、扉を閉めた先で微かに聞こえたが、大の大人に蹴られたお腹が酷く痛い……。
ジンジンとした痛みと、グルグルするような気持ち悪さが私を苦しめていた……その時だった。
「イヤーーーーっ!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!!!」
物凄い和子ちゃんの絶叫が響き渡った。
奴等は、ココだけに声が響くように、あえて壁を薄くしていた。
「やめてよやめてよ!!そんな汚いものやめてよーーーーっ!!!」
なにが………起こってるの……………?
当時のアタシ達では、和子ちゃんが何をされているのか分からなかった……。
「がっ!………あが…っっ!!」
ここで行われているのは、暴力であることは間違いない。
「やめへよ……歯…………抜かなひで………………」
ただこの暴力は…………
「んぐっ!!…………ぉえ」
アタシ達の人格や尊厳を、破壊し尽くす"性暴力"だった。
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そこから………どれだけの時間がたったのか、今ではもう覚えていない。
やめてと叫ぶほど、イヤだと泣くほど、アイツらはキモい笑みを浮かべて、涎を垂らして、アタシ達の身体を貪った。
何度も、何度も、何度も……………。
食事も水もほとんど口に出来ず、身体は弱っていく一方。
あまりにも乱暴にされて、アタシはこの時に、子供を産めない身体となってしまっていた。
覚えていることは、最初の時、和子ちゃんが連れて行かれそうになった時のアタシの反応で、和子ちゃんとアタシが知り合いか友達かと思ったあのデブは、後にアタシと和子ちゃんを一緒に、デブの部屋に入れられて、悍ましい鬼畜の所業を見せ付けられて、見せ付けた……。
アタシ達の神経は摩耗していった。
気が付いたら………和子ちゃんは物言わぬ屍と化してしまった………。
だが奴等は、和子ちゃんの死すら弄んだんだ。
死んだとみるや、奴等はそれでも和子ちゃんを貪りつくし、使い物にならなくなったら………奴等は…………和子ちゃんをミンチにした……………。
そしてアタシは………心を閉じた…………。
だが、この地獄が突然終わりを迎えた。
目の光が消えて、死ぬ寸前まで来ていた時だった。
乾いた「ドンッ」という音が響いてきた。
あのデブ達が声を荒げて騒ぎ始め、乾いた音が何度も響き、しばらくするとその音が消えた。
そして足音が近付いてきて、私の居る部屋の扉が開いた。
『チっ、胸くそ悪い』
扉を開けたのは、初めて見る風貌の男だった。
日焼け以上に黒い肌で、片手にはリボルバー。筋肉も凄くて、服の上からでもわかる程だった。
『………生きてるガキは居ねえか』
何か言うと、その男は踵を返して、開いた扉をそのままにして去っていこうとした。
いつもなら固く閉められている扉が開いていて、アタシはゆっくりと立ち上がり、あの黒い人の後を、無意識について行った。
ついて行くと、廊下には私の身体を貪ってきた連中が、死体になって血を流していた。
あまりにも多くの死を目の当たりにしてきた私は、何も感じず、ざまあみろという感情すらも湧かずに、その横を通り過ぎた。
そして血の匂いに混じって、塩の匂いがした。
いつぶりかの外。
どうやらアタシは、船に乗せられていたようだった。
夜で真っ暗、でも明らかに日本じゃなかった。
見たことのないレンガの建物が並んでいて、見たことのない文字が書かれていた。
外に出てちょっと歩くと、黒い人は変な建物に入って行った。
そこは古い酒場で、荒くれ者たちがポーカーやケンカなんかをしてる。
黒い人は、既にちょっと飲んでいた、少し無精髭を生やした金髪の男の人の隣の席に座った。
『お、戻ってきたな? どうだった?』
『生きてるガキは居なかった。全員死んでた』
『そうか………残念だ』
『たとえ生きてても、あの中じゃ精神が壊れてる。むしろ死んだ方が救いだったかもな』
『そう言うなよ』
『とにかく依頼は果たした、金を寄越せ』
『相変わらず無愛想だな』
無精髭の人が、ポケットからお金を取り出して、黒い人に手渡した。
黒い人はそのお金で、お店の人にウイスキーを瓶ごと頼んで、一気に飲み干した。
『ついでにコイツのメンテナンスも頼むぞ』
『………またずいぶん豪快にぶっ放したなぁ、台尻が歪んでるぞ? どんな力で殴ったんだよ?』
黒い人が銃を手渡し、無精髭の人が銃の状態を見てカウンターの上に置くと、二人で一緒にお酒を嗜んだ。
『ん?』
飲んでいると、カウンターに置いた銃が無くなっていた。
黒い人の視界の隅に、汚れた手が入り込んで振り向くと、そこには彼の銃を手にしていたアタシが居た。
汚いボロを着て、痩せ細ったアタシを見て、二人はハッとした表情で驚いていた。
『おい……まさか、生きてたヤツがいたのか!?』
驚いたのもつかの間、私は手にした銃の銃口を自分に向けて、引き金に指をかけて……
ドンッ!!
死のうとしたが、それを黒い人が止めた。
『何考えてんだテメェ!?』
彼はアタシに怒鳴ったが、言葉が違うから何を言っているのか分からなかった。
「………殺してよ」
『あ?』
「私を………殺してよ」
それは向こうも一緒で、突然自分の銃で自殺を図ろうとした少女が、泣きながら分からない言葉で返してきて、黒い人は頭の中に?が浮かんだ。
でも、幸いに無精髭の人が、アタシの正体に気付いた。
『ウソだろ? この子日本人か!?』
『あ?日本人だって? この間終戦したばっかりだろ!?』
『あの野郎、まさか終戦のゴタゴタに紛れて日本人を攫ってきたのか!?』
店内が少しザワつき始めた。
日本人と聞いて、この時はまだメディア等によって反日プロパガンダを流布されていた。
"日本人は、野蛮で危険"
そう捉える人は多かった。
でも彼らは、一様に動揺していた。
「ねぇ……殺してよ…………殺してよ……」
見た目も相まって、泣きながら自ら死を求めるその姿に、この少女が野蛮で危険?と頭を悩ませた。
『おい!コイツなんて言ってんだ!?』
『え〜っと〜、ちょっと待てよ、たしか日本語は…』
無精髭の人は、日本語を知っていた。
忘れかけていた日本語を思い出しながら、事情を聞こうとしてくれた。
当時では珍しく優しい人だったのは、私にとっても不幸中の幸いだった。
「あ〜、オレのコトバ、わかる?」
久しぶりに聞いた日本語に、私はハッとして無精髭の人を見て、私は頷いた。
「OK。キミ、ニホンジンよな? ナデ、ココにいる?」
カタコトの日本語だったけど、久しぶりに聞いた日本語に私はさらに涙を流した。
あわてて無精髭の人が、頭を撫でながら宥めてくれて、アタシは落ち着きを取り戻したが………
グ〜
お腹の音が鳴った。
『………悪いんだけど、オートミールあるかい?』
お店の人にご飯を頼んでくれた。
やっと陰鬱なお話終わった。
でももうちょっとだけ鬱な話が続きます(´;ω;`)
今回は以上です∠(`・ω・´)




