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人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第二章 弾丸の魔女
22/85

第21話 名無し

今回は龍太郎での視点になります∠(`・ω・´)

龍太郎りょうたろうSide〜


渾身こんしんの力を込めた俺の一閃いっせんが、ついに奴を捉えた!


背骨を両断し、臓器にも致命的なダメージを負わせられた。

ギリギリ心臓は外してみせやがったが、肺を片方斬られて、口から血を吐いて仰向けに倒れる暗殺者(セツ)


俺は、ようやくまともに入った一撃に緊張の糸が切れ、眼が元の色に戻り、片膝を着いて息を切らした。



龍太郎りょうたろう!!」



佳鈴かりんが飛び出しそうになるも、一歩だけ踏み締めて、俺の名を叫んだ。


カマキリの時の二の舞を踏まないように、感情をグッと抑えてはいたが、人外の戦闘を目の当たりにして、気が気でなかったのは言うまでもない。


俺は刀に付いた血を払い落として、刀を鞘に納刀し、フラフラしながら立ち上がって、暗殺者(セツ)を見下ろした。


奴もおびただしい量の血を流してはいるが、息はしている。

背骨を断ち斬られているせいで、立ち上がれないではいるが、奴は笑っていた。



「ハハっ………やるなぁオマエ」



視線だけ向けて、血を吐きながら笑う奴に、俺は再び刀に手を掛けるが、奴は首を振って戦意がないことを告げた。



背骨を斬られて、下半身が動けないで状況で撃っても意味がない。



彼女は腰の赤い缶からタバコを取り出して、火をつけて喫煙しだす。

当然だが、肺を斬られているから、痛みでゲボってしまう。



「痛って〜……肺も斬られてたんだった……」



ついくせでタバコを吸ってしまった様子だが、それでも奴はニコやかにしていた。



「そんな状態でよく笑ってられるな? 俺達を殺しに来たクセに」

「あ?最初に言ったぞ。アタシは、お前と戦うよう依頼をされてたって。お前達を『殺せ』って依頼はされてない」



未だに警戒を解かない俺に、奴はそう釈明しゃくめいした。


最初に奴がそう言ってたのは覚えていたが、売り言葉に買い言葉だと思ってた。

が、それよりも佳鈴かりんを誘拐されていた事で、頭に血が上っていた俺は信用していなかった。



だが、俺の目の前で地に伏している赤い髪の暗殺者の目は、清々しいまでに澄んでいる様に見えた。

俺はこの魔女に、一体誰が俺達を狙ったのかを聞き出そうとした。


だが、奴もこの依頼が、前金を既に振り込み済みで、受けざる終えないものだったと伝えて、俺は「そうか……」と、一言(こぼ)しただけだった。



だが、奴は「ただ…」と、一言付け加えた。



「どうもこの依頼者(クライアント)は、お前が妖魔狩りをしている鬼だって事を知っていた。

たぶん、アンタの身近の人物じゃないか?ご丁寧に強力な人払いの結界に、この周辺をドローンで撮影もしてたしな。それに、アンタのカリンを誘拐する事になったのも、依頼主クライアントからの指示だったしな」

「…………」



俺は思考を巡らせた。


自分の事を……鬼と知っている身近な人物は少ない。


そしてどの人物も、わざわざこんな暗殺者(セツ)に頼んでまで成長をうながす為に、戦わせるような考えの者はいない。


それどころかする理由が無い。


いくら俺に封印があって、ソレを解き放つ為といえど、そんな考えを持つ奴は…………。




龍太郎りょうたろう……………」




二人で何を話しているのか気になったのか、佳鈴かりん朱里しゅりが歩み寄って来た。



「ねぇ、その人…大丈夫なの………?」



近くに来て最初に出た言葉が、暗殺者(セツ)を心配する言葉だった。


銃を撃たれはしたが、怪我という怪我は無かった。

そして近くに来て、奴の酷い傷口と出血量に気付いた佳鈴かりんは、奴を心配した。


奴はちょっと意外そうな顔をすると、タバコの灰がタイミング良くずり落ちた。



「ははっw なんだ?心配してくれるのか?アンタに向けて、銃を撃ったヤツだぞ?」



皮肉交じりに笑いながら返す暗殺者(セツ)だが、佳鈴かりんは自分の胸に両手を抑えて、あの時の恐怖を少し思い出した。


思い出したが………



「でも、殺すつもりなら……最初から、簡単に殺してますよね……?」

「…………………」

「だから、その………えっと…………」



佳鈴かりんは言葉が思い浮かばず詰まってしまって、どんな風に言って良いのか、分からない様子だった。

そんな佳鈴かりんに対して、奴はジッと彼女の眼を見つめていた。



(…………………………)



かつての記憶がよみがえる。


まだ奴が日本に居た時、気弱きよわではあったけど、芯が強い弟の事を。

何故(なぜ)今になって、そんな事を思い出したのかは分からないが、奴は佳鈴かりんと弟のことを重ねてしまっていた。


自然と笑みがこぼれた。




「悪かった。アンタを撃ったこと、謝るよ」

「……え?」




奴は自分の非を認めて、佳鈴かりんに謝罪した。




「……いくら仕事だろうと、依頼主クライアントの指示だろうと、蹴っておくべきだったな、この依頼」




撃たれて怖い思いをしたはずなのに、血を流して倒れ込んでる暗殺者(セツ)を見て、その心配をする佳鈴かりん


奴も日本人ではあるが、長い間、日本から離れてたせいか、それとも血生臭ちなまぐさい所にずっと居たせいかは知らないが、この魔女は、久し振りに、心が少しほころんだ。




「心配してくれて、ありがとな」




パチパチとタバコ(ガラム)の弾ける音が小さく響く中、口元だけ笑った弾丸の魔女。


まるで、奴の命の灯火が消えゆきそうに思えた佳鈴かりんは、奴を目の前で殺された幼馴染みと重ねて見てしまった。




「だめ………死なないで……」




不意にそんな言葉が、涙と共に漏れてしまっていた。



佳鈴かりんの中で、死は酷いトラウマになっていた。


目の前で親しい人が殺される。


そんな経験なんて、通常日本で起こり得る事はほとんど無い。

だが、佳鈴かりんの経験したアレは、立ち直るまでにかなりの時間を要した。



ゆえに、死に対してのトラウマが呼び起こされたんだ。



たとえ自分が撃たれたにしろ、佳鈴かりんにとっては、目の前で人が死ぬ事が、耐え難い苦痛となっていた。




「死んだら………何もできなくなっちゃう………だから…………」




その事に、本人は気付いてはいない。

ゆえに、言葉に詰まってしまう。



「………………」



俺もその辺りを理解している。

俺はただ黙って、佳鈴かりんの様子を見ていた。


そして奴は佳鈴かりんに対して、笑って「安心しな」と言う。



「魔女はちょっと斬られたくらいで、死にはしねぇよ」



時間さえ経てば、大凡おおよそ1日でこんな傷は回復する。

俺が同じ様にされても同様であり、人外の回復力は、人間よりズバ抜けている。


だから安心しろと、奴はタバコを吸いながら佳鈴かりんを安心させようもするが、血を流していることで説得力が皆無だ。


俺もかなりの血を流して、お互いに血塗ちまみれ。




「…………はぁ、アンタ達二人とも、血塗ちまみれなクセに、どこをどうしたら安心なんて言えるのよ」




( ´Д`)=3←こんな顔で、ヤレヤレと言った感じで、朱里しゅりが割って入ってきた。


チラッと、俺とアイコンタクトを取り合う。



「特別サービスよ、普段なら敵相手にこんな事しないんだから」

「良いのか?一応、まだ武器持ってるんだが?」

「こんな空気でアンタを放って置いたら、私はただの卑劣漢ひれつかんよ」



奴を警戒していて、ずっと佳鈴かりんの側で結界を張り続けていた朱里しゅりが、結界を解いて奴の側まで寄って、不服そうな顔をしながら、治療術をかけ始めようとした。






















「泣けるねぇ、ヒロインの気持ちをんで、敵だった相手を治療する。イイ話じゃないか!」



























「「「!!??」」」

「え……………?」



突然、()()()は現れた。


まるで幽霊の様に突然、佳鈴かりんの肩と腰に手を回して、まるで抱きしめて上げているかのように()()()は現れた。




誰も気付かなかった。



その男は、身なりはホストのようで、眼鏡をかけて知的でチャラついた雰囲気を出しながら、それでいて……それ以上に不気味だった。


キラキラしていて、だがどこまでも、人を奈落の底へと引きずり落とそうとする、危険極まりない空気が、佳鈴かりんを中心に、その場を包み込んだ。




「まずは、封印解除おめでとう龍太郎りょうたろうくん♪ キミが強くなってくれたおかげで、オレちゃん嬉しくて、涙がちょちょ切れちゃうw」




怖気おぞけが全身を包み、鳥肌が立って、佳鈴かりんは、息をすることすら忘れる程に恐怖した。


(なんだ……コイツ、いつ現れた? それになんだコイツの(いびつ)な力は!? なんなんだコイツの身体(からだ)は!?)


暗殺者(セツ)は魔眼で、その男の異常な()()()()だらけな人外の力に驚愕した。

身体からだの電気信号も異常過ぎる反応をしていて、背筋が凍るような感覚におちいった。




「それにしても、佳鈴かりんちゃんも大人の身体からだになってきたねぇ〜♡

いい具合に、おっぱいも実っててさ♪」




朱里しゅりは全身から冷や汗を流して、「なんでここにコイツが!?」と、心の中で危機感を抱くが、目の前の男が危険な存在だと知っているゆえに、下手に動くことが出来ず、置き物のように固まってしまっていた。




唯一(ゆいいつ)動けたのは………。



龍太郎りょうたろうくんは味わったのかな〜?w

んじゃどれどれ、オレちゃんも味わってみようかな〜♪」


肩と腰にまわした腕の間に挟まった佳鈴かりんの胸を、男は上下に揺らして楽しむ。

下卑げびた表情した男は、佳鈴かりんの肩から手を離して、アイツの胸に手を伸ばそうとした。



だが、その手が届くことは無かった。



紅い眼を光らせ、鬼の形相をした俺のするどい突きが、男のひたいに向かって放たれた!


男は俺の突きを、いとも簡単にけて、佳鈴かりんから消える様にして離れた。




「ぷはっ!!はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」




男が離れた直後、息を忘れる程に恐怖していた佳鈴かりんが息を吹き返し、その場に崩れ落ちる。



「おやおや〜? ずいぶんとするどいもんが飛んでくるねぇ?

もしかして、もうお年頃だから、カラダの関係でも出来てたかな?

だったら、ネトラレしようとしてゴメンね~w」



どこまでもフザケて、相手を嘲笑あざわらうかの様な言動をする男。




「ナナシーーーーーーっっ!!!!」




激情に駆られ、鬼の力を全解放して俺は、ナナシ(名無し)と叫んだ男に向かって突撃していった!

もうちょっとだけ、埠頭での戦いが続きます∠(`・ω・´)

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