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人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第一章 人外の存在
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第一話 普段の光景

画像はイラストレーターの木乃国かなさんに依頼しました∠(`・ω・´)

挿絵(By みてみん)


不思議な夢を見た。。。。

なんか私、お婆さんになってて……それから……………思い出せない。


少し寝惚けた頭を少し振ってベッドから起き上がった。

窓を開けて部屋の空気の入れ替えて大きく息を吸い込むとみそ汁の匂いがした。

今日は何の具かな?

そう思いながら、ゆっくりとリビングに向かう。


「おはよ~」

「おぅ、起きたか?」


台所では同い年の弟、栗原龍太郎(くりはら りょうたろう)がテキパキと私の前にご飯を並べる。

あ、今日はあおさのみそ汁だ。


「はぁ~、五臓六腑(ごぞうろっぷ)に染みわたる~」

「酒じゃねえぞ」


いつもの会話をしながらモグモグと朝食を食べる。

私はしっかり朝は食べる派なのだ!


「ゆっくりしてるのは良いが、今日日直じゃなかったか?」

「あっ!!」


うっかりしてた。

私は残りのおかずを口に入れてお茶で飲み込んで、少し急いで着替えて準備する。


「弁当あとで渡すから、早く行ってこい」

「うん!あとでね!」


龍太郎りょうたろうにそう言うと、靴を履きながらお母さんの仏壇に「行って来ます」と言って学校に向かった。


マンションを降りると、幼馴染みの月見里莉桜やまなし りおちゃんが私を待っていた。

彼女は私を見付けると、緑色の眼を輝かせた笑顔を見せながら挨拶をして、私も挨拶を交わす。


龍太郎りょうたろうくんは?」

「お弁当作ってから来るって」


そう言うと莉桜りおちゃんは少し残念そうに笑った。

(龍太郎りょうたろうのこと好きだもんね~)


幼稚園の頃からの付き合いで、莉桜りおちゃんの緑色の眼、グリーンアイを揶揄(からか)われて泣いているところを、私と龍太郎りょうたろうが止めて、その後揶揄あとからかってた子達と龍太郎りょうたろうとがケンカになって大問題を起こして怒られた。


それから小中高とずっと一緒。


莉桜りおちゃん」

「ん?」

「明日泊まりに来る?」


私の言いたい事を察して、莉桜りおちゃんは顔を赤くして「うん」と肯いた。


「じゃ、明日帰りに買い物していこ!」


明日が楽しみになり、会話が弾んだところで通学路にある七つの道祖神どうそしんに着くと、私と莉桜ちゃんは途中で立ち寄ったコンビニで買ったチョコとクッキーをお供えして手を合わした。

高校生になってからの私たちの日課。


(今日も一日、平穏に過ごせますように)


天国に行ったお母さんが、お地蔵様を見付けるとよく手を合わせていたから、私も影響を受けてやるようになっていた。


軽いお参りを済ませて通学路に戻って歩く。

そしてまた莉桜りおちゃんと会話を楽しみながら歩く。


きっとこの先、高校を卒業して就職しても、結婚して家庭を持っても仲良くしていける。

この時まではそう思っていた。


それが今日………まさかあんなことになるなんて………………………。

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― 新着の感想 ―
不思議な夢から始まる日常の描写が、穏やかで温かい雰囲気を醸し出していますね。姉弟の何気ない会話や、幼馴染との変わらない関係性が丁寧に描かれており、読者も自然と二人の世界に入り込めます。特に、朝食の味噌…
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