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人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第二章 弾丸の魔女
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第16話 埠頭での戦い1

…………あれ?

私たしか……歩道橋でリンゴ拾ってて………それから…………。


目が覚めた私は周りを見渡すとそこはコンテナが積まてれいて、多分大型動物の檻の中に私は入れられていて……………え? なんで私檻に入れられてるの!?


少し状況が飲み込めず混乱している。

辺りをもう1回見渡した。


……………やっぱり周りはコンテナしかない。

そして多分倉庫の中。

室内だということだけは分かった。


で、一体私は何時いつここに……?


今ある私の近々の記憶を必死になって思い出す。


歩道橋でリンゴ拾ってて、たしか誰かがリンゴを拾うのを手伝ってくれて…………………!!!!


思い出した!

たしかいきなり私の名前を呼ばれて驚いて…………それからの記憶がない。


一緒にリンゴを拾ってくれた人は………たしか赤い長い髪の女の人だった。

それから多分カラコンだと思うけど綺麗な青い目のボーイッシュな……


「目が覚めたか」


記憶を掘り起こしてると、正面から声をかけられた。


その人物は、今さっき私が思い出した特徴ピッタリの女性が目の前にいた。


赤く長い髪、青い目、ボーイッシュな服装。

その女性は腰にぶら下げた赤い缶から茶色いシミのついたタバコを取り出して火を着けて、パチパチと火花を散らしながら独特の香りを発しながら私を見た。


何このニオイ……?


嗅いだことのないニオイが私の鼻をつき、私は一瞬危ないハーブか麻薬のたぐいかと思い口をハンカチでおおった。


タバコの副流煙の要領で、もしかしたら害があるかと頭によぎったが、その行動を見て女性は少し笑顔見せながら「安心しろ、コレはただのタバコだ」と火花を散らしながら言った。


………いや、あんなパチパチ火花を散らすタバコなんて聞いたことないんだけど?


「コイツはガラムスーリヤって高級タバコだ」

「………聞いたことないんだけど?」

「なんだ知らないのか?コイツは香辛料のクローブの油が染みたクレテックシガレットってヤツだ。結構高いんだぞ?」


聞いたこともない銘柄のタバコの名前を答えながら、赤い髪の女性はタバコを吸い、一拍置いて再び私に質問してきた。


「で、アンタは栗原佳鈴(くりはら かりん)で間違いないな?」


赤い髪の女性の目を見ながら、私は少し間をおいてから首を縦に振った。


栗原龍太郎くりはら りょうたろうを誘き寄せるために、アンタを拉致らせてもらった」

「!? 龍太郎を?」

「少し間悪いが、奴がが来るまで大人しくしてもらうぞ?」


タバコの灰を落としながら赤い髪の女性は言うことだけ言うと、私に背を向けて倉庫の入口方面へと歩き出した。

私は考えるよりも先に彼女に「待って!アナタいったい……」と言いかけるが、私の声をドウンっと低く鈍い音がさえぎった。

私のこめかみから数ミリくらいのところを何かが通り過ぎ、檻の鉄柱の一つが火花を散らして凹んだ。


私は目を見開いた。


赤い髪の女性が私に向けて大きな拳銃を向けていた………。


「悪いが、大人しくしといてくれ」


銃口から硝煙を立ち上らせ、タバコを咥えたまま、まるで能面の様な表情で私の目を見ながら言葉を言う赤い髪の女性に、私は頷くことしか出来なかった。


「良い子だ」


そう言うと彼女は、私をそのままにして入口へと姿を消した……。


赤い髪の女性の姿が見えなくなると、私の身体が突然震え始めた……。

それはそうだ。

初めて銃を向けられ、そして撃たれた。

日本に住んでいて銃で撃たれることなど無い。

さらには威嚇の為に撃ったのだろうが、私に当てることなく、加えて檻の鉄柱に弾丸をめり込ませている時点で彼女の技量の高さがうかがえた。


檻の鉄柱は円柱。


少しでも中心から外れると、弾は円の形に沿って弾道がズレて跳ねてしまう。


私は檻の中で座り込み、膝を抱えるしか出来なかった。


「助けて…龍太郎………」


================================


倉庫から出たセツは、入口付近の壁にもたれながらタバコを吸っていた。


「やっちまったなぁ〜……やり過ぎたか?」


無抵抗の女の子に向けて銃を撃ってしまった事にちょっと後悔していた。


何故かは知らないが、セツは佳鈴に対して少し威圧するような何かを感じ取り、気が付いたら銃を撃ってしまっていた。


ただの普通の人間の女子高生のはずなのに……。


チラっと倉庫の中を見てみると、檻の中で膝を抱えてうずうまっている佳鈴。


…………トラウマになってなきゃ良いのだが…とセツは気にしながら倉庫から離れた。


ここは依頼主に指定された場所。


おそらく依頼主は何処からかここで始まる戦いを観ているはず。

そのためにご丁寧に人払いの結界まで張り巡らされ、さらにはこの埠頭の上空には複数機のドローンまで飛んでおり、あらゆる角度から観られていた。


正直良い気分じゃない。


こういう事は暗殺という仕事をしているとよくある。

暗殺対象の死を間近でこの眼で見ようしてくるバカはあとを絶たない。

しかもコレから戦う相手は未成年、ましてや17歳だ。

いくら鬼の血を引いていようと、かの少年に何をする気なのか…………。


セツはタバコを吸いながら対象である龍太郎を待ち続けた。


そして30分後、人払いの結界に反応があった。


「来たか……」


セツの視界に眼を赤く光らせた鬼、龍太郎が姿を現した。

左手には鞘に収まった刀を持ち、かたわらには妖精ピクシーと同じサイズの巫女服の様な服を着た女の子が飛んでいた。


「アンタが、栗原龍太郎くりはら りょうたろうだな?」

「…………佳鈴は何処どこだ?」


不躾ぶしつけに聞いてくる龍太郎に、セツはあごで倉庫の方へ指して「あの中だ」と言うと、龍太郎はかたわらの巫女服の女の子に指示して倉庫の方へと向かわせた。


「人払いの結界まで張って用意周到だな、お前何が目的だ?」

「ここは依頼主が用意した場所なんだ。私はただ、アンタと戦う事を依頼されただけ」


龍太郎の質問に対して、セツはタバコを吸いながらとりあえず答えた。


「とりあえず、お互い自己紹介でもしておくか?」

「……………」

「寡黙な奴だな。私はセツ、アンタと戦うことになった不幸な女だ」


タバコの灰を落としながら、セツは自身の簡単な自己紹介をしてポケットから携帯灰皿を取り出してタバコの火を消して吸い殻をしまってポケットへと戻すと、腰に両手を回して大型拳銃(グリズリー)を取り出す。


龍太郎も鞘から刀を抜いて正眼に構えた。


「そして、弾丸の魔女(ブレッド・ウィッチ)とも呼ばれてる」


そう言うとセツの空気が一変した。


表情はまるで能面の様になり、セツは躊躇ちゅうちょなく龍太郎に向けて大型拳銃(グリズリー)の引き金を引いた!


撃った弾丸は真っ直ぐ龍太郎へと向かい、何もしなければ龍太郎の頭を貫く殺意の込もった弾丸。

龍太郎はその弾丸を苦も無く刀で斬った。


斬られた45口径ACP弾が龍太郎のこめかみ付近を通り過ぎ、後にあるコンテナ着弾して火花を散らした。


その音がこの戦いのゴングとなり、龍太郎はセツに向かって走り始めた。


銃VS刀!

やっぱりロマンやわᕙ(@°▽°@)ᕗ

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