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第1話 道化の王子。(1)



わたし、杏藤すももは、臆病な人間だ。

いや。もっと具体的に言えば、“恋愛”に臆病な人間だ。


だから、いつも。





**********



「付き合ってくれないかな」


それはつい1分前。

廊下でたまたますれ違った男子生徒に呼び止められ、突然告げられた愛の告白。




「え、と……その……」


あまりにも急な出来事にわたしはどうすることも出来ず、

慌てて下を向いてしまった。



握られた手が熱くて、恥ずかしくなる。



それでも。




「ご、ごめんなさい!」


思い切ってそう告げると、

手を振りほどいて走り去った。




**********


そう。

わたしは恋愛に臆病な人間。


つまり、恋愛が怖い。





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