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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

虚ろぐ景色

作者: 旭 八雲

初投稿です。

遅筆のためご容赦ください。

 ある朝の駅のホーム

昼を過ぎれば快晴だという予報が疑わしいほどに雲は厚く、雨さえ降りだしそうな空の下

ホームの屋根を隔てて列車を待つ人々。

 スーツ姿の会社員や部活道具と思われる大きなカバンを担いだ学生、少し離れたところでは若者数人がまだ残っているアルコールに引きずられながらフラフラとフワフワと佇んでおり、老若男女…とまではいかないが様々な男女が目線をそれぞれ手元の携帯端末に落とし、その場と時間を共にしていた。

 まもなく~番線に列車が通過しますー…そんなアナウンスとともに自分たちとは無関係な列車がホームへと迫ってきていた。

 この駅には停車することなく、どこかへと急行する列車を一瞬目やり、再び目線を外そうとした瞬間であった。

吸い込まれるように線路へ飛び込む人影。外しそびれた目線は線路へと釘付けにされたまま、その人影が霧散するのを見届けることなった。

 曇天のもとに降り注ぐ赤い小雨。

直後にあがった悲鳴は列車から響き渡る、断末魔を代弁するが如き、とうに手遅れな金切ったキキィィィッーという急ブレーキの音だけだった。


「…チッ」どこからか舌を打つ音が聞こえ、「ハァー…」とそれにかぶさるようにため息がもれる音。

線路に転がる先ほど人影だったモノへ視線の代わりに向けられたものが憐みの類を一切含まない嫌悪や苛立ちの感情だということは明白であった。

 悪態をつきながらどこかへ連絡する者、自分の衣服の汚れを気にする者、まるで義務のように無表情で線路を写真や映像に収めようとする者。

 …予報外れの雨に当たるほうがよほど珍しいのかもしれない。この国ではソレは日常的だったといっても過言ではないだろう。

 この国は確実に病んでいて人々は完全に麻痺していた。

そして、末期とも思われるこの国から、世界は急速に終わりへと近づくことなった。




 その日、そのホームに居合わせた10代から40代の男女、あわせて13名すべての死亡が数日後確認された…。


 

 





 

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