20.二人の距離
ずっと更新できずにすみません!!!!
思いっきりプライベートでゲームに嵌ってしまい遊び呆けてました^^;
これからこまめに更新して行きます!!\(^o^)/
「ミリーは優しくていつも笑顔で…。俺はその笑顔を見るだけで力が湧いてくる気がするんです」
祖父が家に遊びに来た時に彼が言ってくれた言葉だった。
意外だった。
シリウスの口から私の人となりを褒めてくれるようなセリフが出てくるなんて…。
私はテラスで紅茶を飲みながら先日の事を思い返していた。
もしかして…だけど、私ってかなりシリウスに気に入ってもらてるのかしら?
大切にしてもらっていると感じるし、守ってくれるとも言われた。
これがただの契約している相手にすることだろうか?
最初、シリウスにあった印象は淡々としていてあまり感情を出さず
何を考えているのか分かりづらかった。
別にそれに対して不満を抱いたことはなかった。
彼が私のことをどう思っていようと関係なかったからだ。
契約結婚。
それが私とシリウスを繋いでいるものだった。
契約さえあれば相手が私を嫌いでも構わない。信頼も愛情も不要だ。
書類で交わしたお互いの条件を満たしていれば問題ないのだから…。
「でも…今の感じだと本当の夫婦みたいよね~」
私はポツリと呟いた。
でも…仲が悪いパートナーよりも仲が良いほうが楽しくていいか!
と私は楽観的に捉えた。
今日はどうも朝から体が重い。そろそろ月ものがくるタイミングだった。
『ミリー…大丈夫?そろそろあの時期でしょ?』
心配そうにシリが私の顔を覗き込んで訪ねてくれた。
『そうなの…。今日くらいに来そうだわ…シリウスと約束があるのに…』
『無理しちゃ駄目よ…。あなたの場合重いんだから』
『そうね…。毎月のことながらこの時期だけは辛いわ…』
『人間の…特に女性は大変ね…』
シリがそばに来て優しく頭をなでてくれる。小さい頃からの習慣だった。
『仕方ないわ…。子供を産むには必要なことだもの』
『神秘的よね~』
子供を自分の体で育み産むという概念がない精霊とっては不思議な現象だろう。
でもこれは前世で何度も体験してきたことだ。
ひたすら耐えるしかない…。こればかりは魔法でも治せないのだ。
『ふうちゃん…お願いしたいことがあるのだけれど』
『どうした?ミリー元気がないぞ…』
ふうちゃんも心配そうに私のそばに寄ってきた。
『ありがとう。ふうちゃん…私は大丈夫。シリウスに今日の約束は行けないって伝えてくれる?』
『分かった!確か…シリウスの仕事終わりに二人で食事に行く約束だったよな?』
『ええ…。今日は早番だから仕事帰りに夕食を食べる予定だったのだけれど…ちょっとこの体調じゃあ難しいわ』
そう言って私は楓ちゃんを見送ってから、ゆっくりと立ち上がり部屋に戻って行った。
それから、マーサを呼んでいつものように準備をしてもらった。
体が重くお腹が鉛を置かれたような鈍痛がする。いよいよ始まってしまったようだ。
ふう…。ちょっと横になろう…。
「シリウスに悪いことしちゃったな…」
今朝見送ったときの彼の顔を思い出した。
とても楽しみにしていると言っていたっけ…。
いつも以上ににこやかな笑顔で手を降ってでかけていったシリウス。
ふうちゃんから聞いたらきっとがっかりしてしまうだろう。
そんな事を考えながら私はそっと目を閉じた。
「ミリー!!」
「シリウス?!」
しばらく横になっていたら、勤務中であるシリウスが部屋に飛び込んできた。
ものすごい勢いで。しかもかなり息を切らしながら。
何かあったのかしら?
私は慌ててベットから起き上がった。
「体調が悪いと聞いた。大丈夫か?」
「大丈夫よ。その…いつものことだから」
「どこが悪いんだ?医者は呼んだのか?薬は飲んだのか?」
血相を変えて矢継ぎ早に質問された。
こんなに慌てている彼を見たのは初めてだった。
いつも冷静なシリウスが…。オロオロしてるなんて。
「落ち着いて、シリウス。病気とかではないの」
「でも起き上がれないくらい体が悪いんだろう?病気じゃないなら何なんだ」
シリウスがベットの脇に腰掛けて優しく髪をなでてくれた。
その仕草はとても優しくて、大切なものに触れているような触り方だった。
やっぱり…シリウスは本気で心配してくれてる。
優しい人だな。
『シリウス、落ち着きなさいよ。病気じゃないって言ってるでしょ』
『だが…』
『女性が毎月子供を産むには必要なことよ。知らないの?』
『…子供を産むために必要なこと?』
首を傾げて不思議そうな表情をしている。
ちょっとおかしかった。まるで何を言われているのかわからない
犬のような仕草だったからだ。
『鈍いわね~!女の口から言わせる気!』
『あ…』
ようやく気がついたようで顔を真赤にして俯いてしまった。
やだ~!!何そのリアクション!!可愛すぎなんですけど~。
思わず私は心のなかでガッツポーズしてしまった。
『妻をもらったのだからその辺の知識も身につけなさいよね』
『すまない…。本当にその辺は疎くて』
『気にしないでシリウス。私は毎月この時期になるとお腹が痛くなるだけなの』
『そうか。何か緩和する方法はないのか?』
『うーん…。お腹を温めると少しは楽になるのだけれど…』
『なるほど…分かった』
そう言ってシリウスが何か呟いた。
すると彼の影からなにか丸いものが3つ飛び出してきた。
『呼ばれた!主様』
『久しぶり!外』
『嬉しい!嬉しい!』
よく見るとペンドラゴンを小さくして幼くしたような丸々とした
可愛らしいドラゴンだった。
『かわいい!!ミニペンドラゴン様ですね』
『ああ。ペンドラゴンの鱗から生まれた分身みたいなものだ』
『俺はペーン』
『僕はドラドラ』
『僕はゴンだよ!』
3匹の可愛らしいミニドラゴンはくるくる私の頭の上を飛び回って
それぞれ自分の名前を教えてくれた。
短い手足がぬいぐるみみたいで愛らしかった。
しかも…3匹合わせるとペンドラゴンになるのね…。かわいいわ。
『よろしくおねがいします。ペーン様、ドラドラ様、ゴン様』
『お前達、ミリーのお腹を温めてやってくれ』
『いいよ!』
『あっためる!』
『まっかせといて』
シリウスがそう告げると三匹のミニドラゴン達は私の上の乗って蹲った。
するとほんわか優しい温かさがお腹から伝わってきた。
まるで湯たんぽを抱いているような感覚だった。
『うわー!とっても温かくて気持ちがいいです』
『こいつ達はペンドラゴンの化身だからな。温めたり燃やしたりすることが得意なんだ』
『ありがとうございます。シリウス…とっても楽になりました』
『そうか。なら良かった』
ポンポンとシリウスが私の頭に手を置いて撫でてくれた。
思わず私はキュンとしてしまった。
イケメンに微笑まれながらポンポンとか…。
他の女性が見たら嫉妬されてしまうわね。
『そう言えばシリウス、仕事は?』
『丁度、市内を巡回していたから抜け出してきた』
『まぁ!そんな…すみません。私のせいで』
『いいんだ。俺が心配で居ても立っても居られなかっただけだ』
『ありがとうございます』
『ああ…。ミリーゆっくり休んでくれ。その3匹は置いていく』
『はい。本当に嬉しいです…シリウス。心配してくれてありがとう』
『他にも必要なものがあったら言ってくれ。すぐに手配させる』
『分かりました』
『じゃあ仕事に戻るよ』
『はい。いってらっしゃい』
シリウスは私の頬に軽く口づけして仕事に戻っていった。
まさか私のことで仕事を抜け出してくるなんて…。
やはり勘違いなどではなかった。私はシリウスに大切に想われている。
彼が残していった可愛らしいミニドラゴンを見つめながら私は確信した。
すやすや気持ちよさそうに私のお腹の上で眠っているミニドラゴンを撫でた。
ゴロゴロと猫のように喉を鳴らして気持ちよさそうにしている。
とってもあったかい…。
お腹だけじゃなくて心もポカポカするような感覚だった。
彼と過ごすうちに私もシリウスの事が好きになってるんだわ…。
その感情は恋などではないけれど、最初に会ったときとはまた違った気持ちだった。
私の事を本気で心配してくれて、大切な魔獣を貸してくれてる。
信頼されている証だと思った。
それがとても誇らしく感じ、それと同時に胸が踊り高鳴った。
彼との関係は淡白でいいと思っていたけど…。
こんなふうに少しずつ近づいていける関係も良いかもしれない。
私はペーン様、ドラドラ様、ゴン様を見つめてそんな事を考えていた。
最後までお読み頂きありがとうございます!
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