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17.夫婦演技、日々向上しております♪

最近、ウレタンの生地のマスクを購入しました。

耳も痛くなくて蒸れにくくて快適です(∩´∀`)∩

お爺様の誕生日まであと3日と迫った今日、シリウスと一緒に王都へ出かけていた。

今日は天気も良くて気温も温かい。歩きながら買い物するにはもってこいの日だった。

今日は朝を軽めに済ませてお昼を王都で食べることになっている。

シリウスが事前に調べてきてくれたお店に行く予定だった。


「ミリーのお爺様は何が好みなんだ?」


「そうですねぇ…。多趣味な方ですから割といろんなものが好きですね」


「例えば?」


「うーん…葉巻にお酒…それからゴルフに乗馬…あと読書もしますし」


「すごい色々とたしなんでるんだな」


「そうなんです。元々好奇心旺盛な方で一所にジッとしていられない方です」


「まるでミリーの様な人だな」


「そうですか?」


「ああ…」


二人で並んで歩きながら手を繋いで歩く。

以前と違って口数が多くなったシリウスとは会話が弾むようになった。

これもいい変化だと思っていた。

それにしても…さっきから歩くたびに女性が振り返ってシリウスを見てるのよね~。

なんだかちょっと…優越感。

こーんなイケメンと一緒に歩けるだなんて幸せ者だわ♪


「あ!シリウス団長だ!」


大通りを曲がったところで、騎士団の一行と出くわした。

綺麗な女性ばかりの集団だった。

うわ~。女性の騎士様…素敵だわ♡


「お前達…警護中か?」


「はい!王都の警護で見回りをしておりました」


「そうか」


「あの…そちらの方は…」


「申し遅れました。妻のミリアーティと申します」


「わぁ!団長の奥様」


名乗ったところでわらわらと麗しの騎士様に囲まれてしまった。

みんな若くて綺麗な子ばかりね~。

やっぱりこの国にはイケメンと美女しかいないのかしら…。

髪が短くて凛々しい女性もいれば、ロングヘアをひとまとめにした

可愛らしい女性もいた。皆赤い段服を着ていてとても華やかだった。


「とってもお綺麗な方ですね!」


「団長のどこが好きになって結婚したんですか?」


「プロポーズの言葉はなんだったんですか?」


「え…えーと」


「お前達…一度に尋ねるな。妻が困ってるだろう」


「団長が妻だって~!」


「キャー!!!」


矢つぎ早に質問されてタジタジになっていた所をシリウスが庇って止めてくれた。

まるでアイドルを見たファンのような反応ね…。

みんな初々しい反応で可愛いわ~。

シリウスが団員達に囲まれて質問攻めに合っているのを

私は少し離れたところで見守っていた。

すると髪の短い女性に話しかけられた。


「あの…ちょっといいですか」


「はい。私に何か?」


「シリウス団長をたぶらかすのは止めてください」


「え?」


「あなたと結婚してシリウス団長は変わってしまいました。前はもっと熱心に仕事をしていたのに」


「‥‥」


「最近では奥様の話ばかりしているし、稽古は全然見てくださらない…。何より定時で真っ先に帰ってしまうんですよ!」


「まぁ…」


まくしたてるように彼女に詰め寄られてしまった。

この子…シリウスのことが好きなのかしら?表情がとても真剣だった。

部下としてというよりかは…女性としてシリウスが変わったことに怒っているように見えた。

可愛いわ!!恋する乙女ね~。


「だから…って…わたしの話を聞いてますか?」


「はい勿論です。主人の事を大事に想って下さってありがとうございます♪」


「えっ?」


「これからも、シリウスの事をよろしくお願いしますね!」


「ちょっと…わたしの話を聞いていましたか?」


「聞いておりましたよ。仕事を疎かにしないように言っておきますね♪」


「…それならいいです」


それだけ言うと彼女は他の団員の所へ戻っていった。

シリウスも罪作りな人ね~。きっと無意識で優しくしてるんだわ。

でも…さっきのやりとり、ちょっと修羅場っぽくて面白かったわ!

普通ならあんな風に言われたらムッとしてしまうところだろうけど、全然平気♪

むしろ小説のネタになりそうだからありがとうございます!!って感じ。

あとできちんとメモしておきましょう♪ホホホ~。

その後、彼女達は仕事に戻れとシリウスに怒られて名残惜しそうに去っていった。


「さっき…ナタリーと何を話していたんだ?」


「ナタリーというのですね…あの方は」


「最近入団してきた新人だ」


「そうなのですか。ふふふ。可愛らしい方でしたね」


「そうじゃなくて…何を話ししていたんだ」


「シリウスは本当にいい団長だと言ってましたよ♪」


「え…それはどういう…」


「ふふふ。上司思いの良い部下を持たれましたね」


「はぁ…そうか。ならもうこれ以上は聞かない事にするよ」


「はい!そうしてくださいませ」


私は苦笑いしているシリウスに手を差し伸べる。

シリウスは手を優しく握り締めてまた歩き出した。

さっきのやりとりは彼には言わない方が良いだろう。

それにしても…。

シリウスは本当に仕事人間だったのね~。

定時で帰ったくらいで変わったとか言われてるし。

そういえば…最初に会った時に、他に趣味とかないって言ってたっけ?

それならお爺様に会えばきっと他の事に興味を持つに違いないわ!

うんうん。きっとそうに違いないわ~。ふふふ。


「これなんかどうだ?」


「わぁ素敵な杖ですね」


たまたま見かけた紳士服店で物色していたらシリウスが品の良い杖を差し出してくれた。

木彫りで装飾品とかはないけど鷲の彫刻が丁寧にされていてとても使いやすそうだった。


「これならお爺様も喜んでくれそうです!」


「じゃあこれをプレゼントにしよう」


「はい!」


シリウスが杖を持って店主に包んでもうように頼んでくれた。

ああ。思ったよりも早く見つかって良かったな~。ふふふ。

お爺様…喜んでくれるかしら?

あ…あとお爺様の好きな苺のタルトも作ってあげようっと。

私が小さい頃から手作りのお菓子をよく食べたいと言って食べてくれいた。

久しぶりにふるまうのもいいだろう。


「何か嬉しい事でもあったのか?」


「え?」


「とてもいい表情をしていた」


「ふふふ。小さい頃の事を思い出してました」


「ミリーの小さい時か…ぜひ聞きたいな」


「じゃあ…昼食を取りながら話しますね」


「ああ。今日行きたい店はこの先すぐだ」


そう言ってシリウスに手を引かれて目的の店まで向かった。

ふと少し前を歩くシリウスを見た。

凛々しくて綺麗な顔立ちをしている横顔はとても見ごたえがあった。

初めは見るだけでも満足だったのに…。

女性嫌いと言われていたからきっと冷たく対応されるのだと思っていた。

でも実際はそんな事は全くなく、彼は温かく優しく私に接してくれている。

とても嬉しかった。大事にしてくれていると態度から分かったからだ。


私は本当に…幸せものね…。

しみじみと実感した。彼と出会えたことは幸運だったと。

それなら私も最大限…彼の良きパートナーでいれるよう努力しよう。

こんなに良くしてくれるんだもの。

この関係を壊さないよう、シリウスを大切にしよう。


彼の横を歩きながら私はそんな事を思っていた。



少し坂の上を上ったところにシリウスが言っていた店は会った。

赤い屋根に蓮が作りの可愛らしいお店だった。


「わぁ!素敵なお店ですね」


「そうだな。騎士団の友人に聞いてきたんだ」


「そうだったんですね」


こんな事を言ってはアレだけど…リゲルお兄様以外にもご友人がいたんだ…。

どんなご友人の方なのかしら?

シリウスが話しているのを私は聞いたことがない。


「この店はきのこをクリームソースで包んだパイとビーフシチューが美味しいらしい」


「じゃあそれにしましょう!楽しみですわ」


「ああ。デザートも沢山あるぞ」


シリウスがメニュを広げて見せてくれた。

チョコレートケーキに苺のジェラート…。

どれもこれも美味しそうなものばかりが並んでいた。


「ああ…目移りしちゃいますね」


「欲しければ好きなだけ頼めばいい」


「でも…全部食べきれるかどうか…」


「気にするな。俺も食べるし…もし無理ならペンドランにも食べさせるよ」


「ふふふ。じゃあ遠慮なく食べたい物を注文しますね♪」


「そうしろ」


ああ!なんていい旦那様なの~。

こんな時ケチケチしない人ってほんと素敵!!

ここはお言葉に甘えて、沢山選んじゃおっと♪


「美味しい!このパイもビーフシチューも…とっても美味しいです」


「そうか…ミリーが気に入ってくれて良かった」


にっこりと優しく微笑んでシリウスがそっと手を伸ばしてくる。

その手がほっぺに軽く触れた。


「ほっぺにパイ生地がついてる」


「わ…すみません」


「いい。気にするな」


そう言ってとったパイ生地をペロッとシリウスは食べてしまった。

まぁ!何だか恋人同士みたいね~。

こんな笑顔でこんな事されたら‥‥余の女性は皆シリウスが好きになるわね…。

しかも今の仕草…。最高にイケメンだったわ!!

これも後でメモしなくては!


「それで…さっき言っていた、君の小さい時の話を聞かせてくれ」


「ああ…そうでしたね」


私はお水を一口飲んで、さっき思い出した小さい頃の話をした。


「私が小さい時、祖父はこの国に滞在していたのでしょっちゅう遊びに来てくれてたんです」


「そうか…いいお爺様だな」


「ええとっても。その度に私はお爺様が好きな苺のタルトを作ってたんです」


「すごいな…そんな小さな頃からお菓子を作ってたのか」


「はい。自分の食べたいお菓子をどうしても再現したくて…沢山勉強して作ってました」


実際は前世の記憶がほとんどなんだけどね~。ホホホ。

それに、精霊と沢山契約していたから作らざるおえなかったという理由もある。

対価が必要なため必然的にお菓子を沢山作るようになっていたのだ。


「よくお爺様の膝い上に乗ってお菓子を食べてました…それが懐かしくて」


「そうか…本当にお爺様が好きなんだな」


「はい!大好きです」


「‥‥」


シリウスはちょっと驚いた顔をして不意に私の頬を撫でた。

すごい…優しい手つき。

やっぱりシリウスの愛妻家の演技はどんどんレベルアップしているわ!

せっかく沢山の人が見ていることだし…私も答えなくては!!


私は触れられていた手に自分の手を重ねた。

すると少しびくっとして、シリウスはまた驚いた顔をしていた。

ふふふ。ちょっと可愛い。


「勿論…今大好きなのはシリウスですよ…」


「ミリー…」


「私…シリウスと結婚出来て本当に幸せです」


「俺もだ…ミリーと一緒にいれて幸せだ」


「ひゅー!!お熱いね~二人とも」


そう言って店主がデザートを沢山運んできてくれた。

シリウスは驚いて手を放してしまった。

もったない~。滅多にないくらいいい雰囲気だったのに…。


「デザートのチョコレートケーキと苺のジェラート!それにマスカットのタルトだよ」


わー!!どれも本当に美味しそうだわ~。

それに、いい感じに周りの人に見られて作戦成功ね♪

これでまた、私達がラブラブ夫婦だという事が世間に広まるだろう。

私は嬉しくなって、パクっとケーキを口に運んだ。


「んー!!!美味しいです~」


「それは良かった。これも美味しいぞ」


そう言ってシリウスがマスカットの載ったタルトを差し出してくれた。

ツヤツヤのマスカットが沢山乗っていてこれまた美味しそう~。


「じゃあ…シリウスが食べさせてください」


「えっ?俺が」


「はい!あーん」


「‥‥」


私は口を開けて彼が食べさせてくれるのを待った。

これぞ…ラブラブカップルの極意!!「はい。あーん」よ!!

新婚さんなんだからこれくらいやるわよね!!

さぁ!シリウス。私の本気の演技よ!どうかしら?


「いや…ちょっとそれは…」


「どうしたの?」


急にシリウスが顔を隠して横を向いてしまった。

よく見ると耳まで真っ赤になって照れていた。

うそ!?いや~ん!!可愛い~!!!


「ふふふ。照れちゃって…シリウスは本当に純粋ですね」


「からかわないでくれ…本当はこういうのは慣れてない…」


「じゃあ。私が食べさせてあげますね!あーん…」


「‥‥分かった」


そう言って、真っ赤な顔のままおずおずと口を開けてタルトを頬張るシリウス。

くぅ~!!あああ…何という…何という…。

悦!!!極上の至福!!!

ありがとうございます。シリウス。

照れてるイケメンに食べさせるなんて…。贅沢過ぎるわ!

前世の頃ならホストクラブにでも行かない限り無理だったわ。


「美味しいですか?」


「あ…ああ」


「ふふふ。良かった」


「ミリーには…ほんとに敵わない…」


「あら?そうですか?」


「ああ…勝てる気がしないよ」


そう言いながら私はもう一切れシリウスに食べさせた。

それを素直にモグモグと食べるシリウス。

可愛すぎる!!!これなら毎日食べさせてあげたい!!

何とも言えない快感ね~。初めて知ったわ…こんな感覚。


ふっふっふっ…。

これで私の夫婦の演技もレベルアップしたわ!

間違いなく誰が見てもラブラブ夫婦ね。

それからしばらくの間、私とシリウスはラブラブ夫婦を演じていたのだった。

最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

ブックマークしてくださった方ありがとうございます!!

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