12.おかずパン
私はコーンマヨネーズのおかずパンが好きです。惣菜パンともいうのでしょうか?(∩´∀`)∩
パン屋さんに行くとついつい買ってしまいます笑
「今度の休日、オルキス陛下を我が家に招待した」
「あら。そうなんですね」
「どうしても君に会って謝罪がしたいそうだ」
「謝罪?」
「ああ。この間の件だ」
「まぁ…わざわざ来て頂けるだなんて…大変!おもてなしの準備をしないとですね」
「宜しく頼む」
「分かりましたわ」
国王陛下が我が家にくるのという…。
朝食をとっている時にシリウスにそう告げられた。
これは前の話をしに来るのね…きっと。シリウスもなんだかピリピリしてるし。
ペンドラゴン様の怒りを買ってしまったお詫びに直接謝り来たい。
というのが国王陛下の言い分だった。
「国王陛下の嫌いな食べ物とかあるかしら?」
「無いと思う。それに個人的に尋ねてこられるから、そんなに仰々しくしなくていい」
「そうですか。ではまったり構えることにしますわ」
「ああ。…それから君の手作り菓子は出さなくていいぞ」
「あら?どうしてです?」
「万が一の為だ。君の手作り菓子にかこつけて因縁をつかれても困るからな」
「なるほど…。ではマーサに頼んで何か買ってきてもらいますね」
「ああ。そうしてくれ」
シリウスはよっぽど国王陛下が嫌いなのね~。
言葉がツンツンとげとげしているわ。そんなシリウスも可愛いのだけれど。
でも、この前の件もあるし怒っているのも当然よね。
ここは何も言わずシリウスに従う事にしましょう。
シリウスの次のお休みは5日後。それまでに色々準備をしないといけないわ。
あとでマーサに相談しないとね~。
とはいえお客様が来てくれるのは嬉しいものだ。
どんな風にもてなそうと考えている時はワクワクする。
国王陛下は結構砕けた感じの人だから、皆が食べているようなお菓子の方が
喜ばれるかもしれないわ。
私はシリウスを見送った後、マーサに国王陛下が来ることを伝えて
準備を進めてもらうようにお願いした。
マーサはとても張り切っていた。鼻息を荒くして準備に取り掛かってくれた。
『ミリー』
『シリ。どうしたの?』
『今度…国王陛下がくるんですってね』
『ええ。私に直接会って謝罪したいそうよ』
『ふーん…。なんだか狐っぽいよねあのオルキスってやつ』
『そうね~。やっていることは突拍子もないけど…悪い人ではないと思うのよね』
『またミリーはすぐ人を信じる』
『疑うよりはいいわ。疑っていたらきりがないもの』
そう…きりがない。疑う心はどこまで深く際限がない。
だから私はあまり疑うようなことはしたくない。
騙されたとしてもそれはいい経験ってね♪
『ミリーらしいわ…。まぁ何かあっても私が手だしさせないけどね』
『ありがとう。シリ』
『あと。例の件もうすぐできそうよ!』
『ほんとう?』
『ええ。さっき子供達から連絡があったわ。そろそろできそうって』
『まぁ!思ったよりも早かったのね~。嬉しいわ♪』
『ミリーのお願いだからね。だからお菓子が沢山いるしあとミリーのマナも少し頂くわ』
『ええ。勿論よ!日持ちのいいお菓子を沢山作っておくわ!』
『ありがとう。よろしくね』
そう言ってシリは消えていった。
ああ!例の件がもうすぐ実現するのか~。
ううう!楽しみ!今から考えるだけでドキドキするわ♪
お菓子は何を作ろうかしら…。日持ちを考えるなら焼き菓子がいいわよね~。
「あ…そろそろお弁当の準備もしないと!」
私は時計を見て慌てて厨房へ向かった。
ペンドラゴン様とお菓子を持っていくと約束している。
早めに作っておかないとお昼時に間に合わない。
今日のお昼はおかずパンとデザートは甘さ控えめのプリンにしよう。
私の空間魔法と水の精霊のすいちゃんの魔法があれば
冷たい状態で保存することが出来る。
冷やしておきたい食べ物があるときはとても便利だった。
「すいちゃんたちのおやつも作るから…結構なボリュームね!」
「今日は何を作るんすか?奥様」
「今日はおかずパンとプリンよ」
「なんすか?それ」
「うーん…おかずパンはコッペパンにチキンとかウインナーを挟んで食べるパンで、プリンは卵を使ったデザートよ」
「へぇ…!うまそうっすね。俺も作り方見てていいっすか?」
「ええいいわよ」
そっか…この国にはおかずパンとプリンの概念はないのね…。
シリウス…またびっくりした顔をするんだろうな~。ふふふ。
私がここまでお菓子作りができるのは生前の記憶があるからである。
犯人がパティシエの設定だったからお菓子作りを練習したことがあり
それ以来はすっかりお菓子作りにまってしまったのだ。
「いや~!奥様の料理作り半端ないっすね!!」
「ふふふ。ありがとうルイス」
「俺も勉強になるっす!早速真似してもいいですか?」
「ええ勿論よ。何ならレシピを書いて渡しましょうか?」
「ぜひ!お願いします」
目をキラキラ輝かせながらルイスが手を握ってきた。
ふふふ。ルイスったら…お菓子の事となるとすぐ興奮するんだから。
彼はとっても純粋な青年だった。
何事にも興味津々でどんなものにもチャレンジするとてもいい子だった。
ルイスにコツを教えながら私はおかずパンとプリンを作り上げた。
おかずパンはおかずだけ作れば後は詰めるだけなので簡単。
学校が休みの日に子供達が小さい頃によく作ってあげていたっけ…。
長女はコーンマヨネーズ。次女は照り焼きチキン。三女はトマトシーチキンが好きだった。
それを公園に持っていって一緒に外で食べていたな~。懐かしい…。
時々、前世の時の記憶を思い出して切なくなる時がある。
今はもう会えない私の可愛い娘たち…。今頃元気にしているだろうか。
孫たちはちゃんとご飯を食べているかしら。風邪は引いていないだろうか…。
色んな事を思うけど…彼女達ならきっと大丈夫。
会えないのは寂しいけれど、きちんと生活できるように育ててきたつもりだ。
きっと私がいなくてもうまくやっているに違いない。
「奥様!そろそろお城へ向かう時間ですよ」
マーサが厨房へ呼びかけに来てくれた。
色んな事を考えていたらあっという間にお昼時になっていた。
「ありがとう!じゃあ行ってくるわね」
「はい。行ってらっしゃいませ」
今は…目の前にいる人達を大切にしよう…。
みんな私にとても良くしてくれる。温かい人達だ。
私はバスケットをぎゅっと抱きしめてシリウスのいる王城へ向かった。
「ミリー!待たせて済まない」
いつものベンチで座っていると息を切らしたシリウスが掛けてきた。
あらあら。少し汗ばんで駆け寄ってくるシリウスも…なかなか素敵ね…。
「いいえ。今着たところですから」
「さっきまでリゲルに掴まっていた…君のお弁当が食べたいとごねられてな」
「まぁ!お兄様ったら…すみません。シリウス」
「問題ない。だが…また何か作ってやってくれ」
「分かりました。さぁ!お昼にしましょう。今日はおかずパンですよ」
「これは…またうまそうだな」
シリウスは美味しそうに大きな口で頬張りながら食べる。
ペンドラゴン様も気持ちがいいくらいにバクバク食べてくれている。
『うむ!今日も美味であるな。ミリー!』
『ありがとうございます。ふふふ』
私も一つおかずパンを手に取って食べた。
二人を見ていてとても微笑ましかった。
それにしても…やっぱりイケメン!いつも以上に美味しく感じるわ~。
『ミリーの料理は本当にうまいな』
『ありがとうシリウス。喜んでもらえて良かったわ!今日はねデザートもあるのよ』
『ほんとうか?』
『ええ。プリンを作ってきました。私のオリジナルです』
『ぷりん…それは聞いたことがないな』
『美味しいですよ~。あ!甘さは控えめにしてますから』
『ありがとう…楽しみだな』
シリウスが蕩けるような笑顔で答えてくれた。
ああ!写真に収めたい!!!
うううスマホがない事がこんなに悔やまれるなんて…。
精霊にお願いしたら…写真っぽい物が出来ないかしら…。
私は真剣に写真が撮れないか考えた。
メモで書くのも限界があるのよね~。面倒な時もあるし…。
その時の情景をそのまま収めることが出来たらどんなに素敵か…。
後でシリに相談してみよう!
『この…ぷりんはほんとうにうまいな!』
『我も初めて食すが…何とも不思議な食べ物だな』
『そうでしょう?卵を使ったお菓子で小さい子供にも人気ですよ』
『そうだろうな…。それに冷たくてちょうどいい』
『それは水の精霊にお願いして冷やしてもらったんです』
『そんな…こともできるのか?』
目を見開いて驚いた表情をしたシリウス。
そんなに…びっくりするような事なのかしら?
『ええ。水を凍らしてもらってそれで空間魔法で固定して料理を保存するんです。そうすると冷たいまま持ち運びができます』
『それは…すごい魔法だな。熱い夏には重宝しそうだ』
『そうですね!夏用のお菓子もありますよ』
『それはぜひ食べてみたい』
『はい。また暑くなってきたら作りますね』
『我も楽しみにしているぞミリーよ』
『ありがとうございます。ペンドラゴン様』
二人ともプリンをえらく気に入ってくれた様子だった。
持ってきていたおかずパンもプリンも今回も綺麗に残さず食べてくれた。
二人とも凄い食欲よね…。
シリウスはあれだけ食べて何で太らないのかしら…。若いからかしら。
彼は本当にスタイルがいい。
長い手足にすらりとした身長。モデルのような体系だが筋肉はきちんとついてる。
戦闘に特化した騎士団にいるのだから当然なんだろうけど…。
「どうした?ミリー俺の顔に何かついているか?」
「いえ…ただ…」
「ただ?」
「今日もカッコいいなと思ってました!」
「‥‥」
また驚いた顔でシリウスが固まってしまった。
もしかして…カッコいいって言われるの嫌いなのしら。
「あの…シリウス?」
「ミリーは…本当に…かなわないな」
そう言ってまたあの蕩けるような笑顔でわたしの手を握った。
そのままそっと手の甲に口づけを落としてきた。
あらー!!どうしちゃったのシリウス!今日は何だかプレイボーイみたいよ!
「シリウス。どうしたんですか?」
「どうしたとは?」
「あの…こんなふうにされるのは初めてなので…」
「ああ…。仲のいい夫婦の練習をした方が良いと思ってな…嫌か?」
「い…いえ嫌ではないですけど…」
「なら…これからもっと上手くできるよう実践していくよ」
「わかりました」
何だか…シリウスの雰囲気がいつもよりも甘い感じがするのは気のせい?
ここまで熱心に仲良し夫婦の演技をしてくれるなんて…。
私も頑張らなくては!!
ふふふ。でも…こんなに若くてカッコいい男の子にしてもらえるだなんて…。
小説のネタに物凄くなるわ!!ありがとう!シリウス。
後できちんとメモしておこう。
ラブロマンスの小説を書くなら今のシーンは欠かせないわね!!
シリウスがどういう気持ちでそんな事をしているのか私は知りもせず
小説のアイディアを膨らませるのだった。
最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)
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