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10.龍の逆鱗に触れる

休憩室へ着いてすぐに私はシリウスに休憩室で休むことを伝えた。

シリウスはすぐに来てくれると言って通信を切った。


「ふぅ…やれやれ~」


やっぱり久しぶりに社交界へ出ると疲れるわ~。

愛想笑いの連続、お世辞の応酬で私はソファでぐったりしていた。

すると部屋のドアが開きシリウスかと思って振り向いたら国王陛下が入ってきた。

え…。うそでしょ!!


「まったく…シリウスが愛妻家になったという噂は本当だったようだな。ガードが固くて苦労したよ」


「陛下…本日はお日柄もよく」


「ミリアーティ。堅苦しい挨拶は無しだ…やっと君に会えて嬉しいよ」


「恐悦至極に存じます…国王陛下」


「ミリアーティ…そう硬くならなくていい。楽にしてくれ」


「はい陛下…」


私はおずおずと顔を上げて国王陛下の顔を見た。

この…異世界にはイケメンしか住んではいけないルールでもあるのかしら…。

そう思うくらいオルキス国王陛下は綺麗な顔立ちをしていた。


「シリウスが夢中になるはずだ…こんな可憐な女性がいたとは…」


「恐れ入ります…陛下」


「どうだ?シリウスと別れて余のものにならぬか?ミリアーティ」


「えっ…」


オルキス国王陛下はわたしの両手をいきなり握ってきて口説き始めた。

凄いな~。こんなにナチュラルに女性を口説くのね…。勉強になるわ!

オルキス国王陛下は近くで見るとキラキラしててオーラも凄いわね~。


「…陛下。何を…」


「そなたの欲しがるものなら何でも与えられるぞ。どうだ?悪い話ではないだろう?」


「恐れながら陛下…。私はシリウスを愛しております…どうかご容赦くださいませ」


「ハハハ!余の誘いを断るか…いいなミリアーティ…ますます欲しくなったぞ!どうしたら君は余のものになる?」


「私は誰のものでもありません…。私は私の意思でシリウスの傍に居るのです陛下…」


「ほう…ここまで余が歩み寄っても拒むか…。良いな頑なな女好きだ…」


じりじりと陛下がにじり寄ってきて壁際に追い詰められる。

あらあら。これは何を言っても引かないタイプの子ね~。

でも何とかして…私とシリウスの仲を認めてもらわないとね!

それにしてもこの子は…本当に見境がないのね。この国は大丈夫かしら…。

そんな事を心配していたら急に部屋の中の空気が重くなり扉の方で物凄い音がした。


「な…なんだ!?」


「ミリー!!大丈夫か?」


「シリウス!」


扉が破壊されそこから勢いよくシリウスが入ってきた。

その後ろにはペンドラゴン様も一緒だった。


『小僧!さっきから聞いていれば…よくもぬけぬけと』


『ペンドラゴン様!!』


『ほぉ…伝説の魔獣もお出ましか…面白い』


『陛下…ミリーは私の妻です。手出ししないでいただきたい…』


今にも切り掛かりそうな怒り心頭のシリウスと、物凄く殺気だっているペンドラゴン様…。

二人とも…噴火しそうな…火山のような炎を纏っている。

部屋の中の温度は一気に熱くなり物々しい空気になった。


『シリウス…。ミリアーティは君の手には余る。余に与えた方がお互い幸せだと思うがな…』


『お戯れも大概に…いくら国王でもそれだけは許容できません!』


『へぇ?あの女嫌いのシリウスがここまで執着するか…余ほど魅力的なんだろうね…ミリアーティは』


『陛下…ミリーから離れてください』


シリウスが私の傍に駆け寄って陛下から引き離そうとした瞬間だった。


『小僧…調子のに乗るのも大概にせよ』


ペンドラゴン様が大声で怒鳴り、部屋中の窓ガラスを割った。

幸い私はシリウスが庇ってくれたおかげで怪我していない。

シリウスは少し頬に切り傷が出来てしまっていた。


『ミリーはシリウスの妻だ。故に我の妻であり子でもある…その子に手を出していいと思っているのか?』


『あなたがそこまで人間に興味を示すなど珍しいですね…ペンドラゴン様』


『ふん。我が何を気に入ろうと我の自由だ』


『だったらなおさら…ミリアーティに興味が湧いてきましたよ』


『ほう?そなたはよほどこの国を滅ぼしたいと思っているようだな…』


『ご冗談を…伝説の魔獣を敵に回すほど私は馬鹿ではありませんよ』


『良い心掛けだ。よく覚えておけ小僧。我がこの国にいるのはシリウスがいるからだ。シリウスがこの国を守るから我も手を貸す…そう言う契約だからな』


『はい。存じております』


いつもの明るい声とは違ってペンドラゴン様の話し方は重々しく威圧的だった。

傍で聞いている私も倒れてしまいそうなくらいのプレッシャーだった。


『シリウスの大切なものに手を出して見ろ…こんな国一瞬で灰にしてくれるわ』


『かしこまりました。ペンドラゴン様…もう()()出しません』


そう言って国王陛下は私から一歩下がった。すごい…。国王陛下を退かせるなんて…。

パワーバランス的にはペンドラゴン様様の方が強いのね…。


『分かればよい。小僧…くれぐれもシリウスと我を怒らせない事だ』


『はい。肝に銘じておきます…ペンドラゴン様』


そうれだけ言うとペンドラゴン様はシリウスの影へと消えていった。

するとあっという間に部屋の空気は元に戻り暑さも消えてなくなっていた。

窓ガラスが割れてしまったせいで、風がビュービュー吹き込んでくる。


「いや~。凄かったね!伝説の魔獣は」


「陛下…」


「ごめんごめん!そんなに怒らないでよ~シリウス。ちょっと試してみたかっただけなんだからさ♪」


「試すだと‥‥?」


「うん。ちょっとどんな感じなのか試してみたくてね…まさか出てくるとは思わなかったけど…」


「冗談は止めてください。ペンドラゴンは怒ると俺でも止めれませんよ」


「ハハハ…でも君がこの国にいる限り力を貸してくれるって言ってくれたよ」


「陛下…一体何を」


「それに…ペンドラゴン様はミリアーティを物凄く気に入っているという事も分かった。これは大きな収穫だよ♪」


どうやらシリウスと国王陛下の会話を聞いている限り

わざと煽ってどの程度の信頼関係なのか試そうとしていたらしい…。

大胆な人だな~。一歩間違えればペンドラゴン様の逆鱗に触れて

本当にこの国が無くなるかもしれないなのに…。


「今日は会えてよかったよ♪ミリアーティ。また今度ゆっくり話をしよう」


それだけ言うと国王陛下は私の手の甲にキスをして、意気揚々とその場を立ち去った。

駄目だ全然凝りていない…。それにしてもなんとまぁ…自由な人だな。

さすがはこの国のトップといったところか…。

でも国王陛下はシリウスから聞いていた女好きのだらしのない人…。だけではないようだった。

こうして国王陛下との謁見は国王陛下に振り回される形で終わった。


「ミリー…大丈夫か?あいつに変な事されていないか?」


「大丈夫よシリウス…私は何もされていないわ」


「すまない…君を守ると言っておきながら…危険な目に合わせてしまった」


「平気です。陛下も私に何かする気なんてなかったでしょうし…」


それだけ言うとシリウスがぎゅっと私を抱きしめた。

こんな事は初めてだった。どうしたのかしら?


「シリウス?」


「‥‥」


呼び掛けても彼は何も言わずにただただ私を力いっぱい抱きしめていた。

疲れちゃったのかな…。

私はシリウスの背中をさすりながら頭を撫でた。

まだまだ若いもんね~。色々思う所はあるわよね。よしよし。


「ミリー…それはどういうつもりだ?」


「どうって…いい子いい子みたいな?」


「はぁ…。君には危機感が足りてないみたいだな…」


「え…?」


そう言うとシリウスは私の顎をクイっと持ちあげて顔を近づけてきた。

これが…巷で噂の顎クイ!!

変なところで興奮していたら、扉の方からリゲルお兄様が入ってきた。


「ミリー!!無事かい!!」


「お兄様…」


「チッ…」


シリウスは軽く舌打ちすると私からさっと離れてしまった。

この子でもイラっとすることあるのね~。


「私は何もないです」


「ああ…良かった。凄い音がしたから何が起きたかと…シリウス何をそんなに怒ってるんだい?」


「別に…怒ってなどいない」


「怒っているじゃないか?どうしたんだい一体…」


「お兄様…ちょっと…」


私はまずいと思ってシリウスと兄を引き離した。

こんな時の兄は大概空気が読めていない…。

私は小声で兄と話をした。


「シリウスはちょっと体調が良くないみたいです…」


「ああ…それであんなに不機嫌なのか」


「ええ。だからちょっと早いですけど私達はこれでお暇致します」


「えええ!!もう帰ってしまうのかい。ミリー」


「はい。お兄様にはまた今度ゆっくり時間を作りますから…ね?」


「ううう…分かったよ。ミリーがそこまで言うなら我慢するよ…」


「ありがとう!お兄様大好き!後はよろしくね♪」


「ミリー僕も愛しているよ!任せておいて!皆には僕からうまく話をするよ」


何とか兄のご機嫌をとって私はシリウスと一緒にお城を後にした。

帰りの馬車の中ではシリウスはずっと無言だった。

私が話しかけても何も聞こえていないのか返事がなかった。

それに彼の纏う空気は物凄くピリピリしていた。


きっと…さっき国王陛下と話していたことを考えているんだわ。

ここはそっとしておきましょう…。

私はそう考え直して、シリウスに話しかけることをやめた。

それいしても…国王陛下は中々の曲者だったわね~。

あんなにニコニコしながら人を試すような事をするんですもの…。


ああ…でもでも!!

とってもいい勉強になったわ~。怒っているシリウスとペンドラゴン様もカッコ良かったし。

あんなに声を出しただけで窓ガラスを割れるなんてすごいな~。

これは今夜は徹夜でまとめないとね!!

今日は参加して良かったわ~。

私は無言のシリウスを尻目にホクホクとした気持ちで家に帰るのだった。




最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

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