♥ クエスト 10 - 1 / トミュルを食い荒らす野生のボアを退治しろ!
「 六日目 」の始まりです。
──*──*──*── 私有地の山
マオ
「 ──此処がトミュルを収穫する山か…。
未だボアに荒らされてないみたいだな 」
セロフィート
「 マオ、ボアの巣穴を1つずつ潰して行きましょう 」
マオ
「 うん。
どうやってボアの巣穴を見付けるんだ? 」
セロフィート
「 地図があります。
此の赤印がボアの巣です。
気配を消して近付きましょう 」
マオ
「 分かったよ。
気配殺しなら自信あるからな! 」
セロフィート
「 気配は消せても足音を立てては意味がないです。
落ち葉や枝が多いですし、慎重に歩いてください 」
マオ
「 難しい事、言うなぁ…。
努力はするけどさ… 」
オレはセロと一緒にボアの巣を目指して歩き出した。
──*──*──*── 1時間後
マオ
「 ──セロの嘘吐き!!
何が野生のボアだよ!!
何処がボアの巣穴だよ!!
ミノタウロスの巣穴じゃかないかよ!! 」
セロフィート
「 はて…。
そんな筈はないですけど?
依頼主も “ 野生のボアを退治してほしい ” と言ってたでしょう。
ミノタウロスの事は一言も聞いてません 」
マオ
「 其はそうなんだけどさ……。
騙されて、裏切られた気分だよ!! 」
セロフィート
「 ボアは居ました? 」
マオ
「 居たには居たけどさ…。
ボアよりミノタウロスの数の方が多かったんだ!!
オレ、1人で何体のミノタウロスを相手にしたと思ってるんだよ!! 」
セロフィート
「 はて…。
何体でした? 」
マオ
「 27体だぞ!!
にじゅうななたいっっ!! 」
セロフィート
「 ははぁ…。
其は大変でしたね。
野生のボア退治にしては難易度が高過ぎると思ってましたけど、まさかミノタウロスが絡んでいたとは…。
此は依頼主を【 依頼内容の虚偽罪 】で冒険者ギルドへ訴えなければいけませんね。
冒険者ギルドも事情を知りながら依頼帳へ足したなら、【 依頼主に加担した罪 】と【 虚偽の偽装罪 】 で訴えなければいけません。
由々しき事態です 」
マオ
「 蓋を開けたら中身の違う依頼ばっかじゃないかよ〜〜 」
セロフィート
「 マオとワタシの毒殺を企てた一派と同様に、責任者を厳しく問い詰めた後に罰しなくてはいけませんね。
冒険者ギルドへ戻る楽しみが増えました♪
良かったですね、マオ 」
マオ
「 ちっとも良くないわっ!! 」
セロフィート
「 ドロップアイテムや死体は回収しました? 」
マオ
「 隅々迄したよ 」
セロフィート
「 宜しい。
では巣穴を埋めます。
終わったら次の巣穴へ向かいましょう。
未だ8ヵ所も巣穴がありますし 」
マオ
「 えっ……。
残りの8ヵ所の巣穴にも行くのか?
虚偽の依頼なんだろ?
此で切り上げて依頼主を締め上げようよ!
オレ、ミノタウロスの相手するの嫌だよ!! 」
セロフィート
「 マオ、例え虚偽の依頼でも引き受けた以上は、可能な限り解決させる為、誠心誠意全力で努めなければいけません。
其が依頼を請け負った冒険者の義務であり責任です。
ミノタウロスの退治が出来る程の腕を持つ冒険者は≪ 街 ≫中を探してもマオしか居ません。
但し、倒せるだけ倒したら、頂ける物は全て頂きます。
私有地の山の土中にあるトミュルは全てワタシが回収します。
イレギュラーは起きましたけど、 “ ガッポリ ” は出来ます♪ 」
マオ
「 セロの口から “ 義務 ” だの “ 責任 ” だの聞くなんて──って思ったけど、トミュルを全部回収するのは流石にやり過ぎなんじゃないかな?? 」
セロフィート
「 そうでもないです。
ボアだけでなく凶悪なミノタウロスも退治するのです。
相応の謝礼はきっちり頂きます。
依頼主に話しても謝礼は期待出来そうにないですし 」
マオ
「 そですか… 」
セロフィート
「 土中を掘り起こしたりしませんし、依頼主は収穫時迄は気付きません。
トミュルの根は残しますから、来年はトミュルの収穫も出来ます 」




