──*──*──*── 宿屋・カシペリザ亭
──*──*──*── 宿泊室
高級レストランから宿泊室へ秒で帰って来たセロとオレ。
オレは両手に持っていたリカーのボトルをテーブルの上に置いた。
マオ
「 ──セロ、今日のデート、楽しかったな!
嫌な事もあったけどさ…… 」
セロフィート
「 ワタシも楽しかったです♪ 」
マオ
「 今日はセロに沢山お金を使わせちゃったな… 」
セロフィート
「 ふふふ。
気にしなくて良いです。
無くなれば欲しいだけ〈 テフの源みなもと 〉で構こう成せい出で来きますし 」
マオ
「 そだな…… 」
セロフィート
「 マオ、明あ日すに備そなえてもう寝ねます? 」
マオ
「 えっ?
う〜ん……。
未まだ21時じ半はん前まえだろ。
もう一寸ちょっと起おきてたいよ。
セロとイチャイチャしたいんだ 」
セロフィート
「 はいはい。
マオの甘あまえん坊ぼうさん♪ 」
セロが両りょう手てを広ひろげて「 おいで 」をしてくれる。
オレはセロに向むかって抱だき付ついた。
オレが甘あまえられるのは、セロしか居いない。
義ぎ理りの兄あにで育そだての親おやでもあるマーフィに甘あまえなくなったのは何い時つからだっただろう。
おねしょ…した後あとからだったかなぁ……。
いや、ラオインダに剣けん術じゅつを習ならう様ようになってからかな……。
剣けん術じゅつの師し匠しょうのラオインダに甘あまえるなんて、先まず出で来きない。
母かあさんの実じっに兄けいいさんの伯お父じアルソリュンドさんにも甘あえれない。
マーフィと暮くらす前まえは、母かあさんの実じっ家かで伯お父じアルソリュンドさんと暮くらしてたみたいだけど、幼おさな過すぎて伯お父じアルソリュンドさんと暮くらしてた事ことは何なにも覚おぼえてないし……。
誰だれにも甘あまえられないオレは……いや、違ちがうな。
誰だれかに甘あまえるのが恥はずずかしいんだ。
弱よわいオレを見みせたくないって言いうか……、見みられたくないって言いうか……、知しられたくないっていうか……。
セロは人にんセロ形ぎょうフィートだから、安あん心しんして甘あまえられるのかな??
セロは甘あまえるオレを見みても、弱よわ音ねを吐はくオレを見みても、呆あきれたり、軽けい蔑べつしたりしない。
優やさしくオレを包つつみ込こんで、オレの汚きたない部ぶ分ぶんも全ぜん部ぶ丸まるごと受うけ入いれてくれる。
オレには──、オレを甘あまえさせてくれるセロが必ひつ要ようなんだ。
セロフィート
「 マオ、どうしました?
不ふ安あんな事ことでもあります? 」
マオ
「 …………セロの羽は振ぶりがあまりにも良よかったから…、オレの前まえから居いなくなったりしないかな……って…思おもったりして…… 」
セロフィート
「 はぁ?
ワタシの羽は振ぶりが良よいのは何い時つもの事ことです。
“ 羽は振ぶりが良よ過すぎる ” と思おもうのは、君きみマオが倹けん約やくし過すぎているからです 」
マオ
「 そ、そうかな?
オレってそんなに倹けん約やくしてるかな? 」
セロフィート
「 気き付づかないだけでしてます。
其それにワタシはマオから離はなれたりしません。
例たとえマオがワタシから離はなれたがっても、ワタシは君きみマオを手て離ばなしはしません。
決けっして… 」
マオ
「 セロ…(////)」
セロフィート
「 未まだ不ふ安あんあります? 」
マオ
「 …………朝あさ迄までオレの隣となりに居いてくれる? 」
セロフィート
「 はいはい。
ワタシのマオ、君きみが望のぞむなら朝あさ迄まで傍そばに居います 」
セロはオレを軽かる々がると抱だき上あげて、お姫ひめ様さま抱だっこするとベッドの上うえに下おろした。
何い時つの間まにかオレの着きていた衣い服ふくはバスローブに変かわっている。
ブーツも靴くつ下したソックスも脱ぬがされていて裸はだ足しになっていた。
セロが魔ま法ほうマジックを使つかってくれたんだろう。
セロもバスローブ姿すがたになってるしな。
マオ
「 魔ま法ほうマジックって便べん利りだな 」
セロフィート
「 元げん素そエレメント魔ま法ほうマジックでは出で来きませんよ 」
ベッドの上うえでセロに抱だき付つくと、セロはオレに微ほほ笑えんでくれる。
此このまま寝ねちゃおうかな!
セロの胸むな元もとを枕まくらにして寝ねる事ことにした。
セロがオレの身しん体たいからだを支さえてくれてるからなのか、寝ね易やすい体たい勢せいになっているのが幸さいわいして、直すぐに眠ねむりに就つけた。
セロの手てがオレの髪かみを撫なでてくれている。
気き持もちいい……(////)
セロフィート
「 ふふふ。
眠ねむってしまいましたか。
朝あさ迄までぐっすりお眠ねむりなさい… 」
気き持もち良よさそうに寝ね息いきを立たてているマオを抱だいたまま、セロフィートは古こ代だいエンシェント魔ま法ほうマジックを発はつ動どうさせる。
明あ日すの仕し込こみをする為ためにだ。
一いっ体たい何なんの仕し込こみをするのか──、其それはセロフィートにしか分わからない。
マオにとっては迷めい惑わく千せん万ばんな出で来き事ごとでも、セロフィートにとって面おも白しろい事ことが起おこるかも知しれない。