♥ 飲食街 1/ 飲食店へ行こう! 1 / 観光デート 14
──*──*──*── 飲食街
マオ
「 なぁ、セロ。
さっき、包丁の話をしてただろ?
あれって例え話なんだよな? 」
セロフィート
「 実話です 」
マオ
「 えぇっ?!
実話??
本当にあった事なのか? 」
セロフィート
「 マオと出逢う1000年程前に訪れた小国で実際に起きた事件です 」
マオ
「 へ…へぇ……。
オレが生まれる前の話なんだ?? 」
セロフィート
「 ≪ エルゼシア大陸 ≫へ転移する前に滞在していた大陸での事です 」
マオ
「 へぇ?
とんでもない国だったんだな… 」
セロフィート
「 そうでもないです。
“ 包丁事件 ” さえ起きなければ、平穏で暮らし易い良い国でした 」
マオ
「 そうなんだ? 」
セロフィート
「 聞きたいです? 」
マオ
「 彼のなぁ…。
其処迄話しといて『 聞きたいです? 』はないだろ。
続きを話せよ 」
セロフィート
「 はいはい。
其の国の国王は嘘を嫌う頭でっかちなのが偶に傷な正直者でした。
悪い王ではなかったですけど、息子の王子達を溺愛し過ぎる面もありました。
“ 子は親の鏡 ” だの “ 子は親の分身 ” だのと言われてましたけど、正に言葉を正確に具現化させた様な陸でもない王子ばかりでした。
王妃は毎日、『 国民に申し訳ない 』と嘆いてました。
“ 包丁事件 ” の犯人が判明してから、程無くして眠る様に息を引き取り亡くなりましたけど… 」
マオ
「 病気でも患ってたのか? 」
セロフィート
「 いえ、王妃は健康でした。
8人目も授かって身籠ってましたし。
精神面の問題です。
“ 包丁事件 ” は王妃の心身を蝕んでしまう程、酷く痛ましい事件だったと言う事です 」
マオ
「 ………………大量殺人だもんなぁ… 」
セロフィート
「 王子達は、女グセが悪く、金遣いも荒く、悪い友人とつるみ、王子である地位や権限をフル活用して好き勝手にやりたい放題でした。
自ら “ いけない薬 ” にも手を出し、気に入った男女,少年少女を拐っては、薬漬けにして慰み物として扱ったり、《 売春街 》へ売ったりしてました 」
マオ
「 ………………王子なのにか??
そんな酷い王子が実際に居たなんて信じられないよ… 」
セロフィート
「 性根が腐敗しきった王子等、掃いて捨てる程に居るものです。
上手く本性を隠し、良き王子を演じている策士な王子も居ますし 」
マオ
「 王子も色々だな…。
──陸でもない王子の事はいいからさ、 “ 包丁事件 ” の犯人は誰だったんだ? 」
セロフィート
「 薬物を大量に投与された者達です 」
マオ
「 へ??
薬物異常者が犯人だったのか? 」
セロフィート
「 正確には薬物依存症にさせられてしまった者達です。
彼等,彼女等は王子達の行き過ぎた “ いけない遊び ” の被害者達です。
暗示でも掛けられたのでしょう。
包丁を使い人を殺める事で、薬物を貰っていたのではないです?
薬物依存になると思考が低下して正しい判断が出来なくなります。
幻覚が見えたり、幻聴が聞こえたり、思慮分別も出来なくなります。
身体が痙攣する等の症状に襲われる様になります。
禁断症状を治めて、正気を保つ為には薬物を摂取しなければいけません。
薬物依存者は自分の事で精一杯ですから、薬物欲しさに包丁で人を刺し殺す事に躊躇いはしないでしょう 」
マオ
「 …………犯人達は正気じゃなかったんだよな?
自分達が何をしてたのか覚えてたりはしないのか? 」
セロフィート
「 ないでしょうね。
王子達は賢かったですし 」




