セロフィート
「 おや…。
バレてしまいました? 」
マオ
「『 バレてしまいました? 』じゃ、ないわ!
人形は嘘を吐けないんじゃなかったのかよ? 」
セロフィート
「 はて…?
そんな事、言いました? 」
マオ
「 言ってただろ〜〜。
『 人形は冗談を言うけど、嘘は吐けない 』って言ってただろ? 」
セロフィート
「 嫌ですね、人形も嘘ぐらい吐きます 」
マオ
「 そうなのか? 」
セロフィート
「 嘘の吐けない人形を作る事は出来ません。
“ 嘘も方便 ” と言う言葉がある様に、嘘を吐れた事によって救われる命もあります。
嘘は悪ではなく、嘘を悪用する者が悪です。
皆が嘘を嫌い正直者ばかりであれば、争いの絶えない世界となるでしょう。
感情を持たない人形と違い、感情を持つ人間である以上、争い事を避ける事は出来ません。
心が寛大な人間ばかりではないですし 」
マオ
「 そ…其もそうだよな…。
幾ら心の広い人だって、何時かは堪忍袋の緒が切れて、手が出ちゃうかも知れないしな… 」
セロフィート
「 包丁は凶器ですけど、料理に使う事を目的に作られてます。
包丁を使った大量殺人が起きたからと言って、国中の包丁を集めて処分させ、国中の包丁職人を捕らえ、酷い拷問を受けさせた末に処刑するのは、横暴であり、愚行の極みです。
包丁を処分させたり、包丁職人を罰して処刑するより、包丁を悪用した犯人を捕らえ、処罰すれば良いのです。
世間には物が溢れてます。
一見凶器になりそうにない物でも、工夫と使い方に依っては、どんな物も凶器に変わってしまいます。
作った者ではなく、悪用した者を処罰すれば良いのです 」
マオ
「 で…でもさ、『 包丁が有るのが悪いんだ。包丁が有ったから使ったんだ。包丁が無ければ、包丁を使いはしなかったし、人を殺したりもしなかった。包丁を作った奴等が悪いんだ。オレは包丁に魅せられた被害者なんだ。だから、オレは悪くないんだ!! 』みたいな事を犯人が言ったらどうするんだ? 」
セロフィート
「 其は唯の屁理屈と責任転嫁です。
真に受けてはいけません。
全身を包丁で切り刻んで痛みを体感させれば良いです 」
マオ
「 残酷だな… 」
セロフィート
「 何故です?
包丁を使い大量殺人を犯した犯人が、自身の罪を軽減させる為に、悪びれもせず、屁理屈を言い、言い訳をし、責任転嫁をし、被害者ぶるのです。
犯人が被害者にした事と全く同様の体験させる事の何処が残酷です?
自分の犯した犯行の卑劣さ,残忍さを自分自身の身体でリアルに体験が出来る事は、非常に幸運な事です。
自分の行いが如何に非人道的であったかを、自身の身体を通じて直々に学ぶ事が出来ます。
罪の意識が芽生えるかも知れませんし、多少は反省の念も湧くかも知れません 」
マオ
「 自分のした事を後悔して、悔やんで、殺害してしまった事や遺族に対して、 “ 申し訳ない事をした ” って思って、悔い改めたりするのか? 」
セロフィート
「 先ず、ないでしょうね 」
マオ
「 ないのかよ! 」
セロフィート
「 抑です。
良心があれば、大量殺人を起こしたりしません 」
マオ
「 そ、そうだな… 」
セロフィート
「 マオ、次は何処へ行きたいです? 」
マオ
「 そうだなぁ…。
もう直ぐ19時15分になるし……、そろそろ夕食にしたいかな 」