♥ ボート池 / ボート乗り場 / 池の水を××× / 観光デート 7
──*──*──*── ボート池
──*──*──*── ボート乗り場
恋人達のデートの定番と言えば、公園にある大きくて綺麗な池の上をローボートに乗って、2人だけの時間をのんびりと楽しみながら愛を育むものだと知られているけど、目の前のボート池を見てもそう思えない。
何で思えないのかって??
池の水が思ったよりも濁っていて汚かったからだと思う?
乗る予定のローボートが小汚なくて乗るのを躊躇ってしまうからだと思う??
先週、浮いていた死体が発見された池だからだと思う??
実は何れも当てはまらなかったりする。
恋人達や家族連れが利用するローボートだからなのか、ちゃんと綺麗に手入れがされているから、乗るのを躊躇ったりはしない。
ボート乗り場で働く人達のボート愛と努力って凄いと思うよ。
池の水が綺麗だったのか濁っていて汚かったのかは残念だけど分からない。
何でかって?
其は──、ボート池の水が全部、抜かれてしまっているから、だ・よ!!
何で池の水が抜かれてるのかと言うと、池から死体が発見された事で、他にも死体が沈んでいる可能性があるかも知れないと言う理由から、池の水を全部抜かれてしまったんだとか。
──で、池の水を抜いてみたら、水草に絡まっている死体が7体も見付かったらしい。
ゾッとするぅ〜〜〜。
池にプカプカと浮いていた死体は2体だったらしい。
だから、池から回収された死体の合計は、9体だった訳で──。
9体の死体の身元は冒険者だったらしくて、やっぱりと言うべきなのか……、上半身は着ていたのに、何故だか下半身には何も身に着けていなかったらしい。
鯔の詰まり、9人の冒険者達は下半身を丸出しにした状態で死んでいた訳だ。
大の大人が9人も揃って、ボート池で下半身を丸出しにした状態で何をしてたんだろうな??
当分の間── 多分、事件が解決する迄なんじゃないかな ──池の水は抜かれたままなんだとか。
デートでボートに乗る事が出来ないのは残念だと思う。
1番の被害者は、ボート乗り場で働く人達なのかも知れない。
此処のボート池は年中、家族連れや恋人達で賑わっていて、ローボート待ちするぐらい人気らしい。
結構な稼ぎになるみたいだけど、先週の事があってから池の水を抜かれてしまった所為で、客足はパッタリ無くなってしまったらしい。
閑古鳥が鳴いている状態で、多大な被害を被っているんだとか。
とんだとばっちりを受けてしまっているボート乗り場の人達が不憫過ぎる…。
マオ
「 …………はぁ…。
セロ、此じゃボートは諦めるしかないな 」
セロフィート
「 そうですね。
奇妙な死に方をしている死体が発見されたのは、先週以前はないみたいです 」
マオ
「 ふぅん…。
どんな形であれ、行方知れずだった冒険者の12人が見付かった訳だろ。
良かったんじゃないか? 」
セロフィート
「 そうですね。
見付からないままよりは幸運です。
取り敢えず弔ってもらえますし、〈 久遠実成 〉へ冥福を祈ってもらえるでしょうし 」
マオ
「 取り敢えずって……。
ま、まぁ…弔ってもらえないよりはマシだよな? 」
セロフィート
「 マオ、次は何処へ行きます? 」
マオ
「 次って? 」
セロフィート
「 デートです。
行きたい所あります? 」
マオ
「 そうだなぁ…。
楽器屋があったよな?
行ってみたい 」
セロフィート
「 マオは楽器に興味あります? 」
マオ
「 ない訳じゃないよ。
どんな楽器が売られてるのか見てみたいんだ。
使わないから買わないけどさ 」
セロフィート
「 欲しい楽器が見付かると良いですね 」
マオ
「 オレが出来るのは、カスタネットかトライアングルぐらいじゃないかな? 」
セロフィート
「 マラカスもあります 」
マオ
「 マラカスはいいや… 」
オレはセロと一緒に楽器屋がある《 商店街 》へ行く事にした。




