♥ 宿屋街 6 / 宿屋 6 / 宿泊室 4
セロフィート
「 こんな依頼、未だ序ノ口です。
残りの7件も見てみます? 」
マオ
「 …………止めとく〜〜〜 」
セロフィート
「 そうです?
断崖絶壁に生えてるコサグリッペ苔を採取する依頼に、8本の首を生やした大蛇退治と眼球の回収の依頼── 」
マオ
「 聞きたくない!
聞きたくない!!
聞きたくな〜〜〜いっ!! 」
セロフィート
「 何れも面白そうな依頼だと思いますけど? 」
マオ
「 依頼を選ぶ基準が間違ってるだろ!!
『 面白そう 』で決めるなよ!! 」
セロフィート
「 マオは詰まらない依頼を受けたいです? 」
マオ
「 …………も、いいです… 」
全面的にセロに任せてるオレが言う事じゃないよな……。
セロに〈 S・G 〉のリーダーを任せてる訳だし……。
…………本当ならオレがリーダーをすべき所なのか??
いやでも……オレにパーティーのリーダーなんて出来るのかな??
自信がない…。
オレ、セロを守らないといけない立場なのに、セロに甘え過ぎてるよな……。
セロフィート
「 マオ?
どうしました? 」
マオ
「 うん……。
オレ… “ セロに甘え過ぎてるんじゃないか ” って思って…… 」
セロフィート
「 はぁ?
今更なんです? 」
マオ
「 そ…そうだよ!
今更だよっ!!
パーティーのリーダーだってセロに任せっきりだし…… 」
セロフィート
「 マオ…。
存分に甘えてください。
マオだけの特権です 」
マオ
「 セロ…… 」
セロフィート
「 ワタシ以外に甘えるのは許しません 」
マオ
「 セロぉ…(////)」
セロフィート
「 騙したり、疑ったり出来ない良い子ちゃんなマオにはパーティーのリーダーは不向きです。
何処のリーダー集会も毎回ドロドロしていてカオスですし 」
マオ
「 そ、そうなの?? 」
セロフィート
「 ワタシの付き添いで見学してみます?
2度と参会したくないと思いますよ? 」
マオ
「 …………セロは思わないのか? 」
セロフィート
「 ワタシです?
思うと思います?
聞いてるだけでも面白いのに 」
マオ
「 …………セロには向いてるのか? 」
セロフィート
「 仲裁役としてなら適任者はニュイリでしょうね。
リーダー達を喰べてしまう恐れがあるので任せられませんけど 」
マオ
「 そだな…。
セロは仲裁するのか? 」
セロフィート
「 はぁ?
ワタシが仲裁すると思います? 」
マオ
「 …………ですよね…。
若しかして、ずっと傍観してるとか? 」
セロフィート
「 当然です。
人間達の醜い言い争いを聞く為に態々時間を開けて参会してるのに… 」
マオ
「 …………不謹慎な参会理由だな… 」
セロフィート
「 ワタシの参会理由は兎も角、一際面白いリーダーは居ます 」
マオ
「 面白いリーダー?? 」
セロフィート
「 はい♪
確か、〈 輝導の勇者 〉と名乗るパーティーのリーダーです。
中々の常識人です 」
マオ
「 マトモな人って事だよな?
醜い言い争いをしてるリーダー達の仲裁してるのか? 」
セロフィート
「 1人で頑張ってますね。
見てると面白いです 」
マオ
「 ………… 」
なんか…見学に行くのが怖いな…。
セロフィート
「 話過ぎましたね。
マオ、温泉に入ります? 」
マオ
「 うん。
セロ、一緒に入ろうよ! 」
セロフィート
「 はいはい 」
壁に掛けられている時計を見たら、22時を過ぎていた。
温泉に入ってからだから、ベッドに入るのは23時頃になるかな?
セロと一緒に座っているベッドから腰を浮かせて立ち上がる。
オレはセロの腰に抱き付いた。
セロフィート
「 どうしました? 」
マオ
「 甘えるのはオレだけの特権なんだろ?
だから、セロに甘えようと思ってさ! 」
セロフィート
「 ふふふ。
ベッドの中でも甘えてください 」
マオ
「 ──う、うん(////)
今夜は程々に…な? 」
セロフィート
「 はいはい♪ 」
オレはセロの腰に抱き付いたまま、セロが用意してくれた洗面脱衣室へ入った。
セロはどうかは知らないけど、オレのお楽しみは此から始まるんだっ!!