♥ 宿屋街 4 / 宿屋 4 / 宿泊室 2
セロフィート
「 気になる依頼でもありました? 」
マオ
「 わあ゛っ?!
──セ…セロっ!?
急に声を掛けるなよぉ!
──吃驚した〜〜〜! 」
セロフィート
「 ふふふ♪
驚いたマオ、面白いです♪ 」
マオ
「 セロ! 」
セロフィート
「 はいはい 」
セロは声を漏らさず上品に笑っている。
何時の間に宿泊室に入って来たのか分からないけど、オレの左横に腰を下ろしたセロはベッドに座った。
マオ
「 オレ、ちゃんと気配殺し出来てたかな? 」
セロフィート
「 出来てました。
未々荒いですけど 」
マオ
「 そですか…… 」
セロフィート
「 彼等に気付かれなかったのは偉いです 」
マオ
「 じゃあ! 」
セロフィート
「 マオが階段を上がった事は誰も気付いてません 」
マオ
「 良かった〜〜。
だけどさ、何で気配殺し迄しないといけないんだよ? 」
セロフィート
「 絡まれたり、巻き込まれると厄介でしょう? 」
マオ
「 セロ……。
何か変わったよな… 」
セロフィート
「 はて?
そうです?? 」
マオ
「 だってさ、セロは厄介事や面倒事に態と首を突っ込んで掻き回すのが好きだろ?
其なのに今回は敢えて自分から関わらない様にしてるじゃないか。
どういう心境の変化なのかと思って…… 」
セロフィート
「 気に入りません?
マオは彼等と関わり合いになりたいです? 」
マオ
「 とんでもないです!
なりたくないです!!
セロと2人きりが良いです!! 」
オレが本気で真剣に否定すると、セロは嬉しそうに微笑んでくれた。
うきゅきゅ〜〜〜〜〜〜んっ(////)
ドキがムネムネするぅ〜〜〜(////)
心臓ないけど!
マオ
「 ……セロも…さ、オレと “ 2人きりで居たい ” って思ってくれてる──って事でいいのかな?? 」
セロフィート
「 マオ… 」
セロはオレの頭を優しく撫でてくれる。
子供扱い〜〜〜〜。
マオ
「 ──セロ、依頼を受けるのはいいんだけどさ、いきなり10件は多いんじゃないか? 」
セロフィート
「 そうです?
前の≪ 市都 ≫では14件受けましたけど? 」
マオ
「 えっ…そんなに??
初耳なんですけど?? 」
セロフィート
「 教えてませんし 」
マオ
「 あ゛〜〜……そう言えば、そうだった!!
セロに任せっきりだったよな。
──なぁ、セロ…。
此の “ 聖なる雫の回収 ” って言う依頼なんだけどさ、森を抜けて、山越えしないといけないんだよな? 」
セロフィート
「 転移魔法を使いますし、直ぐです 」
マオ
「 だよな。
…… “ 聖なる雫 ” って何だろうな? 」
セロフィート
「 大方、聖水とでも偽り、高値で売り付けるのでしょう 」
マオ
「 聖水ってさ、高値でも欲しがる人が居るのか? 」
セロフィート
「 居ます。
聖水を売り付ける程、ボロい商売もないでしょう。
入手困難で危険な場所から態々持ち帰る──ともなれば、幾らでも上乗せ出来ます。
何せ森には凶暴で凶悪な怪物がウヨウヨ出る様ですし、天候が変化し易い山は断崖絶壁の険しい山道を越えなければ辿り着けない様です。
聖水の稀少価値を上げる為の嘘でしょうけど 」
マオ
「 嘘なのかよ… 」
セロフィート
「 怪物がウヨウヨ出ると噂されている森には誰も近付きませんし、態々森の中へ入ろうとする勇猛果敢な冒険者も居ません。
虚偽なら幾らでも作れます 」
マオ
「 山越えした先に洞窟があって──、洞窟の中に入ると……、地底湖があるみたいだな。
地底湖の水を汲めばいいみたいだ。
…………えと……依頼書に書かれてるのを読むとさ、地底湖の水は全部 “ 聖なる雫 ” になるんじゃないのか? 」
セロフィート
「 気になります? 」
マオ
「 う、うん。
そりゃ、気になるよ。
地底湖の水が全部 “ 聖なる雫 ” なんて興味有りまくるよ!
誰が見付けたのか──とかさ 」
セロフィート
「 では明日は、此の依頼を1番に解決させしょう。
ガッカリしないでください 」