──*──*──*── 宿屋・カシペリザ亭
──*──*──*── 宿泊室
冒険者ギルドのドアを開けると、宿泊室に繋がっている。
仮にオレの前に誰かがドアを出ても、宿泊室には出ない。
セロの古代魔法の力で、セロとオレだけが宿泊室に戻れる様になってるんだ。
ドアとドアを繋ぐ為のゲート魔法だっけ??
また改良したらしい。
何で宿泊室へ戻ったのかと言うと、次の依頼主が居る≪ 村落 ≫へ転移する為だ。
人前で堂々と転移魔法を使えないからな。
マオ
「 ──セロ、4つの布袋には幾ら入ってるんだ? 」
セロフィート
「 見てみます? 」
ポーチバッグの蓋を開けたセロは、4つの布袋をテーブルの上に出してくれた。
オレは布袋を縛っている紐を解いて、中を見てみた。
3つの布袋の中には白金貨がギッシリと入っていて、4つ目の布袋の中には金貨が入っている。
マオ
「 …………銀貨が無いみたいだけど?? 」
セロフィート
「 其だけの価値があったと言う事です。
布袋は冒険者ギルドへ寄った時に返しましょう 」
マオ
「 うん。
布袋を返却するとスタンプを押してもらえるもんな! 」
布袋の返却率が低くて困っていたギルド長に、オレが提案した事だ。
冒険者に “ 返却スタンプ帳 ” ってのを渡して、布袋を返却してくれた冒険者の返却帳に布袋の枚数分の小スタンプを押す。
小スタンプが貯まったら実用的な景品を贈呈する事になっている。
受付嬢のお姉さんに依ってスタンプの絵柄を変えて、集めるのを楽しめる様にしてみた。
小スタンプを10個集める毎に景品を贈呈する。
景品を受け取ったら大スタンプを1つ押して貰えて、大スタンプを10個集めたら、賽子の出た色に合わせて豪華景品を贈呈する。
6面の賽子を使って出た色で渡すのは、セロが大量生産している生命薬,気付け薬,解毒薬,回復薬,幻の卵,紅茶とクッキーとミニドーナツセットだ。
緑色が出たら生命薬,紫色が出たら解毒薬,黄色が出たら気付け薬,青色が出たら回復薬,白色が出たら幻の玉子,赤色が出たら紅茶とクッキーとミニドーナツセットを渡す事になっている。
返却スタンプ帳も景品も豪華景品も《 セロッタ商会 》が負担している。
冒険者達は豪華景品が欲しくて、きちんと布袋を返却しているみたいだ。
提案した事が成功して、ギルド長にも褒めてもらえた!
因みに景品は、セロカ君のロゴ入りの便利な実用品で、特に女性の冒険者達に好評みたいだ。
≪ ジェジロエンダ大陸 ≫に到着してから、セロは《 セロッタ商会 》を弘めた。
《 セロッタ商会 》は後継者問題で悩む職人さん達に手を差し伸べて、人員を派遣して、伝統技術の継承,後継者問題を解決させる条件で、《 セロッタ商会 》の傘下に入る契約を次々に交わしていった。
将来に大きな不安を抱いていた大勢の孤独な職人さん達を味方に付けた《 セロッタ商会 》は、一気に急成長して、今では無くてはならない地位を手に入れていて、王族御用達に迄なっている。
傘下契約をした職人さんの作った商品が、幾つも王族御用達になっているから驚きだ。