♥ 冒険者ギルド 3 / ギルド長室 2 / 依頼報告 3
ギルド長の顔色が、みるみるうちに真っ青になっていく様に見えるのは、きっとオレの気の所為じゃない。
ギルド長は何かを知ってるのかも知れない…かな?
セロの話を黙ったまま一通り聞き終えたギルド長の顔は険しかった。
マオ
「 ギルド長……冒険者ギルドは依頼内容の不正を見てみぬ振りをしてたの? 」
気になるから、ズバリと聞いてみた。
オレはセロのお飾りじゃないんだからな!
セロフィート
「 マオ、例え事実であったとしても、いきなり身も蓋も無い事を言ってはいけません 」
マオ
「 はぁあ?!
何で庇う様な事を言うんだよ!
実際に内容詐欺だったじゃないか!
立派な不正、犯罪だろ!
ずっと依頼を出してた訳だし、荷担してたんだろ?
セロとオレ以外にも依頼を受けた冒険者は他にも居たよ!
皆さ、ポズンガマの討伐依頼だと思って、準備をするんだよ!
なのに…依頼に挑んだら……、蓋を開けたら依頼対象のポズンガマは全然居なくて、変わりに現れたのは大量の怪物だったんだぞ!
ポズンガマに対してなら準備万端な装備でも、怪物の大群に対しては不十分な装備だよ…。
あんな数の怪物に囲まれて、逃げ場を塞がれたら戻って来れる訳ないだろ!!
一体何れだけの被害者を出したと思ってるんだよ!
依頼書への信頼が揺らぐ大問題だろが!! 」
セロフィート
「 そう言う事です。
マオとワタシだから戻って来れました。
依頼書に関する不正を正していただけないと今迄の被害者達の魂も無念の思いも浮かばれないでしょう 」
オレは剥製にされていた冒険者達や兵士達の事が頭から離れない。
彼等だって剥製なんかにされる為に下水道の依頼を受けた訳じゃない筈だ。
沸々と怒りが込み上げて来る。
マオ
「 冒険者ギルドが、ちゃんと正しい依頼書を管理してれば、あんなに沢山の──いや、あれ以上の被害者を出さずに済んだかも知れないのに!
彼等は冒険者ギルドの怠慢の被害者だよ!!
ギルド長も見てみたらいいんだ!
冒険者達や兵士達の── 」
セロフィート
「 マオ、其の辺にしときなさい 」
マオ
「 セロ、だって── 」
セロフィート
「 マオ、お座りなさい 」
マオ
「 …………はい… 」
セロに止められたオレの気持ちはモヤモヤしてる。
不完全燃焼だよ…。
セロフィート
「 マオ、ずっと依頼を出していたからと言って、荷担していると決め付けてはいけません 」
マオ
「 何でだよ?! 」
セロフィート
「 本当に知らなかったかも知れませんし 」
マオ
「 …………だけど… 」
セロフィート
「 ギルド長、本当の所はどうです? 」
ギルド長
「 ………… 」
セロフィート
「 黙秘しますか。
其も良いでしょう。
マオとワタシは、あくまでも報告に来ただけですし 」
マオ
「 ギルド長…。
黙りを決め込むなんて狡いよ… 」
オレ…、今回だけは冷静になれない!!
ギルド長を責めるのは、お門違いなのかも知れない。
だけど、冒険者ギルドで1番偉い人はギルド長なんだ。
もっと確りししてほしい!!
だって、依頼帳も依頼書の内容も絶対に信頼が出来ないといけないものだから。
セロフィート
「 依頼した相手が何処の誰かは知りません。
下水道に巣食い、増え続ける怪物をどうにかしたいと思ったのでしょう。
正直な内容で依頼を出しても、どの冒険者パーティーにも請け負ってもらえなかった。
其処で思い付いた方法が、ポズンガマの討伐依頼でした。
以前はポズンガマも生息していたのでしょう。
大繁殖し大量発生したポズンガマの討伐の序でに下水道に巣食う怪物も倒してもらおうと考えたのでしょう 」




