♥ 冒険者ギルド 2 / ギルド長室 1 / 依頼報告 2
──*──*──*── ギルド長室
ギルド長室に入ると厳ついギルド長が、セロのでっち上げた報告書を真剣な顔をして読んでいた。
セロが報告書にどんな事を書いたのか知らないオレは、何故だか妙にハラハラしてしまう。
受付嬢のお姉さんがソファーに座る様に促してくれた。
セロと一緒にソファーに腰を下ろして座る。
今回は紅茶も茶菓子も用意されていないみたいだ。
前回は毒入りの紅茶と茶菓子を出されたもんなぁ…。
結局、誰が毒を仕込んだんだろう?
犯人は見付かったのかな??
昨日の今日だし、無理かも??
抑だ、セロとオレに毒を盛られる様な心当たりなんて未だ無い筈だ。
多分……。
仮に犯人が見付かったら…どうなるんだろうな?
セロの玩具にされたら不憫過ぎる。
ちゃんと人間として罪を償ってから、死ねたら良いんだけど……。
マオ
「{ なぁ、セロ…。
紅茶と茶菓子に毒を盛った犯人は見付かったのかな? }」
セロフィート
「{ さぁ?
抑、犯人を捜しをしてるのかすら怪しいです。
『 ギルド長が用意させた紅茶と茶菓子に毒が盛られていた 』なんてスキャンダルです。
マオもワタシも何ともないですし、騒ぎになってないのを見ると “ 何事も無かった ” として昨日の事は揉み消されてるかも知れません }」
マオ
「{ …………何か嫌だ… }」
セロフィート
「{ はい?
どうしました? }」
マオ
「{ 確かにセロとオレは毒を盛られたって効かないからピンピンしてるよ。
だけどさ、依頼の報告に来た無防備な冒険者に毒を盛って殺そうとしたんだぞ!
セロとオレだったから良かったけどさ、此が他の冒険者だったら完全に殺人だよ!
無かった事にするなんて駄目だよ!
犯人がギルド長じゃなくても、ギルド長の立場が危くなったって、犯人を捜して終わらせないと!! }」
セロフィート
「{ マオ…… }」
マオ
「{ 揉み消すとか、犯人捜しをしないなんて駄目だ! }」
セロフィート
「{ ギルド長に聞いてみてはどうです?
仮に冒険者ギルドが動かないなら、ワタシが直々に犯人を捜しましょう。
冒険者ギルドの前に全裸で逆さ吊りにして見世物にしてあげます }」
マオ
「{ ──ぜ、全裸で逆さ吊りは流石にやり過ぎなんじゃないかな? }」
セロフィート
「{ ワタシのマオに毒を盛ったのです。
見せしめにするぐらいなんです }」
マオ
「{ ………………セロの気持ちは嬉しいけど…(////) }」
全裸に剥いて冒険者ギルドの前に逆さ吊りするのは流石になぁ……。
セロなら本気でやりかねないから、褌ぐらいはさせてあげたいと思う。
セロフィート
「{ マオ、ギルド長が来ます }」
マオ
「 うん… 」
セロの報告書を読み終えたギルド長が、セロとオレの前にあるソファーに腰を下ろして座った。
セロがギルド長にポズンガマ討伐について詳しく話し始めた。
【 大繁殖して大量発生しているポズンガマを討伐する 】と言う内容の依頼だったのに、肝心の下水道には討伐対象のポズンガマは居なくて──、大繁殖も大量発生もしていなかった事。
下水道の中へ入ると、下水道の中間地点迄は怪物は出て来ずに、獲物を下水道の奥へ奥へと誘き寄せてから、大量の怪物が獲物を取り囲んで、帰り道を塞いで、戻れなくしてから獲物をに襲い掛かって来た事。
下水道の奥には怪物を支配する知能の高いボス的な “ 何か ” が居たかも知れない事。
下水道では多くの被害者が出て居たのではかいか───とういう事。
実際の下水道の奥には、ポズンガマの巣らしき物は何も無かった事。
──等々をギルド長に報告をしていた。
気の所為か、ギルド長の顔色が悪い様に見える。




