──*──*──*── 宿泊室
オレは何とか気配殺しを発動したまま、宿泊室の中に入る事が出来た。
──ふぅ…。
何んな汚れも弾くセロとお揃いの真っ白いブーツを脱いで、5本指の黒い靴下も脱いだ。
ルームシューズを履いて、ベッドの上に腰を下ろして座った。
一息吐いた後、テーブルの上に置いてある依頼書を見る事にした。
冒険者ギルドで、セロと一緒に選んで請け負った依頼書の控えだ。
宿屋でチェックインをした後あと、宿しゅく泊はく室しつに入はいってから、セロがテーブルの上うえに置おいたままになっている。
ベッドから腰こしを浮うかせて立たち上あがったオレは、テーブルに移い動どうした。
依い頼らい書しょの控ひかえは10枚まいある。
依い頼らい書しょの控ひかえの1番ばん下したには、スタンプが押おされていて、スタンプの色いろで依い頼らいの難なん易い度どが分わかる様ようになっている。
因ちなみにスタンプの押おされている数かずが多おおい程ほど、危き険けん度どが高たかくて報ほう酬しゅう額がくも篦べら棒ぼうに高たかいんだ。
大だい大だい大だいベテランの冒ぼう険けん者しゃ達たちがパーティーを組くんでも受うけるのを拒こばんでしまうレベルらしい。
大だい大だい大だいベテランの冒ぼう険けん者しゃ達たちから避さけられている依い頼らいは、放ほう置ちされている状じょう態たいで、何ど処この冒ぼう険けん者しゃギルドも誰だれも受うけてくれない依い頼らいの扱あつかいに困こまっているらしい。
そんな事こともあって、セロとオレは大だい大だい大だいベテランの冒ぼう険けん者しゃ達たちが拒こばんで手てを付つけない依い頼らいを敢あえて選えらんで請うけ負おっている訳わけだ。
未まだ冒ぼう険けん者しゃギルドには知しれ渡わたってないみたいだ。
彼あち此こちの冒ぼう険けん者しゃギルドで、難なん易い度ど,危き険けん度ど,報ほう酬しゅう額がくの高たかい依い頼らいだけを選えらんで請うけ負おって、全ぜん部ぶ解かい決けつさせて来きたんだけどな……。
セロの転てん移い魔ま法ほうがあるから、此こ処こ宿泊室から現げん場ば迄まで一いっ瞬しゅんで行いけるし、帰かえって来くるのも一いっ瞬しゅんだ。
依い頼らい内ない容ように依よっては、現げん場ばを梯はし子ごする場ば合あいもある。
複ふく数すうの依い頼らいを1日にちで解かい決けつさせる事ことも結けっ構こうある。
ちゃんと依い頼らいを解かい決けつさせてるんだから、報ほう酬しゅう泥どろ棒ぼうにはなってないよな?
≪ ジェジロエンダ大たい陸りく ≫に上じょう陸りくしてからは、冒ぼう険けん者しゃギルドで受うけた依い頼らいを解かい決けつさせて “ ガッポリ ” しまくってる訳わけで──。
にゅい賢者の石,フィンフィンフィレイナと一いっ緒しょに旅たびをしているトイチ八賢悳壹は元げん気きかな??
危あぶない目めに遭あってなければいいんだけど…。
離はなれていてもトイチ八賢悳壹に渡わたしてる硬こう貨か用ようの布ぬの袋ぶくろは、セロの持もってる硬こう貨か用ようの布ぬの袋ぶくろと繋つながっている。
正せい確かくには≪ ジェジロエンダ大たい陸りく ≫で使つかえる硬こう貨かだけを入いれてる魔ま法ほうマジカル陣じんサークルと繋つながっている。
だから、トイチ八賢悳壹は金きん銭せんに関かんしては一いっ切さいの心しん配ぱいをしなくてもいいんだ。
楽らくに旅たびをしようと思おもえば、幾いくらでも出で来きる訳わけで──。
まぁ、トイチ八賢悳壹の事ことはいっか。
にゅい賢者の石とフィンフィンフィレイナが一いっ緒しょに居いてくれてるんだから!!
セロと一いっ緒しょに旅たびをしてるオレよりも断だん然ぜん安あん全ぜんなのは間ま違ちがいないしな!!
──っと、依い頼らいを見みるんだった!
オレは漸ようやく依い頼らい書しょの控ひかえの束たばに手てを伸のばした。
依い頼らい書しょの束たばを持もったオレは再ふたたびベッドの上うえに座すわった。
う〜〜〜ん……。
何どの依い頼らい書しょの控ひかえも黒くろ色いろブラックのスタンプがビッシリと押おされている。
かなりヤバそうな依い頼らい内ない容ようばかりだと思おもう。
うん?
何なんでオレが≪ ジェジロエンダ大たい陸りく ≫の文も字じを読よめるのかって??
そんなの決きまってる!
オレが右みぎ目めに掛かけてる翻ほん訳やくルーぺのお蔭かげだ!
片かた眼め鏡がね式しきで、紛ふん失しつ防ぼう止しの紐ひもが付ついている。
セロが作つくってくれた翻ほん訳やくルーぺを入いれる専せん用ようのポケットに入いれれば、何ど処こかに起おき忘わすれる事こともない。
深ふかいポケットだから、翻ほん訳やくルーペが飛とび出でる心しん配ぱいもないんだ!
セロは何どの依い頼らいから受うけるのかな??