♥ クエスト 4 - 2 / ポズンガマを討伐しろ!
マオ
「 若しかして、セロの所為…とか? 」
セロフィート
「 失礼ですね。
ワタシは何もしてません 」
マオ
「 だってさ、セロは畏れ多い存在だろ?
だからさ、怪物はセロを恐がって出て来れないのかも! 」
セロフィート
「 そんな訳ありますか。
ワタシに寄り付かないだけで、ワタシを恐れる訳ではないです 」
マオ
「 そうなのか? 」
セロフィート
「 ワタシに攻撃する事自体が罰当たりな行為である事を怪物は本能的に学んでます。
ワタシには一切の攻撃をせず、マオを攻撃します 」
マオ
「 ……何でオレだけ…。
オレばっか損してる!! 」
セロフィート
「 ワタシを相手に剣術の稽古をしているマオなら大丈夫です。
此の下水道に巣食う怪物なら一降りで倒せます。
戦闘には中刀を使うと良いです 」
マオ
「 何時もの刀と剣だと少し長いもんな。
此処に巣食う怪物って弱いのか? 」
セロフィート
「 マオにとっては物足りないでしょうけど、冒険者には脅威でしょうね 」
マオ
「 何れぐらい脅威なんだ? 」
セロフィート
「 そうですね…。
仮に怪物に囲まれたとしましょう。
逃げきれず、怪物の餌になります 」
マオ
「 怪物と遭遇したら直ぐに逃げないとだな 」
セロフィート
「 気付いた時には手遅れです。
此処に巣食う怪物は、並の怪物よりも賢い様ですし 」
マオ
「 賢い??
どゆことだ? 」
セロフィート
「 直に分かります。
マオ、次は右に曲がってください 」
マオ
「 うん。
──今って何処等辺なんだ?
もうそろそろ、ポズンガマの巣に着くかな? 」
セロフィート
「 本当にポズンガマの巣なら良いですけど 」
マオ
「 どゆことだよ〜〜。
ポズンガマを討伐する依頼なんだから、ポズンガマの巣だろ? 」
セロフィート
「 依頼内容はそうでも、中身が異なる場合もあります 」
マオ
「 はぁあ?
何だよ其ぇ 」
セロフィート
「 討伐対象のポズンガマだけでなく、本来ならば遭遇すべき怪物も姿を見せません。
妙だと思いません? 」
マオ
「 妙??
並の怪物よりも賢いからじゃないのか?
さっきセロが言ったじゃないか 」
セロフィート
「 そうですね 」
マオ
「 ……やっぱりさ、セロが恐くて死角に隠れてビビってるんじゃないのか? 」
セロフィート
「 マオ… 」
セロは困った様な顔をしてオレを見詰めている。
まるで、阿呆の子を微笑ましそうに見守っている感じというか……。
オレは阿呆の子じゃないけどな!
セロフィート
「 ──マオ、足下に気を付けてください。
滑り易くなってます 」
マオ
「 うん… 」
セロが態々教えてくれたから、足下を十二分に気を付けて歩く事にした。
セロの前で派手に滑って転んだらカッコ悪いもんな!
──*──*──*── 30分後
討伐する予定のポズンガマとも下水道に巣食ってる怪物とも出会う事なく、セロと共に半分以上の距離を歩いていた。
ふいに空気が変わった気がした。
気の所為じゃないよな??
マオ
「 ──セロ、空気だけどさ、変わったよな? 」
セロフィート
「 ふふふ。
良く気付けました。
偉いです 」
マオ
「 ──もうっ、頭を撫でるなってば!(////)」
セロフィート
「 はいはい。
──マオ、来ました。
構えてください 」
マオ
「 来たって何が? 」
セロフィート
「 今迄見なかった怪物です。
どうやらマオとワタシは怪物達に誘い込まれた様です 」
マオ
「 誘い込まれたって? 」
セロフィート
「 下水道へ入った獲物を逃がさない様、意図的に安心させ、油断させ、下水道の奥へ誘導します。
引き返し難い場所へ誘導し、獲物を取り囲み、挟み撃ちにして逃げ場を完全に塞ぎます。
後は抵抗する獲物を狩るだけです 」
マオ
「 意図的に??
計画的な犯行って事かよ?
賢い怪物って厄介だな… 」




