♥ 冒険者ギルド ４ ／ ギルド長室 ２ ／ 報告の行方 ２
大瓶の中に入っているのはジャムじゃなくて、地底湖から汲んだ “ 小汚ない水 ” が入っている。
因みにだ、 “ 小汚ない水 ” をアピールする為に少しだけ態と濁らせている。
何で濁っているのか分からせる為に、腐敗している子供の指を入れている。
此の腐敗させた子供の指は、セロが〈 テフ 〉で構成した物だ。
マオ
「 ──ギルド長、此を見てみて。
オレが地底湖から汲んだ水だよ。
こんなに濁って汚ない水が “ 聖なる雫 ” なんて言わないよね？ 」
セロから受け取った大瓶をギルド長の前に差し出した。
マオ
「 腐敗した指も浮いてるし…。
…………指だけじゃないよ！
沢山の子供が氷漬けにされてたんだ！
地底湖の中に沢山沈んでたし、溶けかけてる氷もあったし、子供の死体が地底湖に浮いてたんだ！
あんなの “ 聖なる雫 ” 何て言えないよ！！ 」
ギルド長
「 …………マオ君… 」
マオ
「 氷漬けにされた子供や死体を回収してもらえないの？ 」
オレは上目遣いでギルド長に訴え掛けてみた。
オレはギルド長の娘さん──の幼い頃に似ているらしいから賭けだ。
マオ
「 セロ、大樽の中をギルド長に見てもらおうよ 」
セロフィート
「 はいはい 」
何が可笑しいのか、セロは笑いを堪えている様に見える。
だけど、ギルド長にはセロが笑っている様には見えてないんだろうな。
セロはポーチの中から丁寧に折り畳まれている白い布を出した。
白い布を広げたセロは、床に白い布を敷いた。
白い布の上には魔法陣が描かれている。
マオ
「 ──セロ、其は？ 」
セロフィート
「 持ち運びの出来る魔法陣です。
素質を持っていれば使える便利な収納魔法陣です。
試作品なので、１つしか出し入れ出来ませんけど 」
セロが白い布を足で踏むと、魔法陣が光だした。
光が消えると白い布の上に大樽が載っていた。
セロは大樽の蓋を開けると、ギルド長に中身を見る様に促した。
ギルド長は厳めしい表情をしながら、大樽の中を覗いた。
大樽の中には、セロが〈 テフ 〉で構成させた物が入っている。
眠っている状態の子供の抜け殻を氷漬けにしたのが入ってる訳だ。
然もだ、少し溶けてる状態で入っている。
オレの汲んだ水は、氷が溶けた様に見せる為に、捨てずに使われている。
オレの努力をセロはちゃんと活かしてくれたんだ。
大樽の中を覗いたギルド長は、口を手で押さえている。
そりゃ、驚くよな。
ギルド長は “ 抜け殻 ” だなんて知らないんだから。
本物の子供の死体に見えてるんだろうな。
気分の良いもんじゃないって事は、ギルド長の反応を見ても分かる。
マオ
「｛ ──セロ、孤児だとか〈 ノマ 〉だとか、睡眠魔法で眠らされて氷漬けにされた事も話した方がいいかな？ ｝」
セロフィート
「｛ マオの好きにしてください ｝」
マオ
「｛ オレに丸投げしてないよな？？ ｝」
セロフィート
「｛ してません ｝」
セロ…絶対に面白がってるよな。
オレには分かるよ！！
マオ
「 ギルド長、此の子供は──孤児なんだ。
然も、〈 ノマ 〉なんだよ！
事情は分からないけど、全員が睡眠魔法で眠らされてる間に氷漬けにされたみたいなんだ！！
酷い事するよね！
〈 大陸神ジェジロエンダ 〉に祝福された素質持ちだって偽られて──、眠らされて……氷漬けにされたまま洞窟の奥に放置されたんだよ…。
何でこんなに酷い非人道的な事が出来るんだろう？？ 」
