♥ 冒険者ギルド 3 / ギルド長室 1 / 報告の行方 1
──*──*──*── ギルド長室
ギルド長室にある立派な机で、厳ついオッサンが何かの書類を読んでいた。
ギルド長の机の横には、受付嬢のデリスさんが立っている。
若しかしなくてもギルド長が読んでいる書類は、セロが用意した報告書なんじゃないのかな?
険しい表情をしているのが此処からでも分かる。
受付嬢:デリス
「 セロフィート様,マオ君、此方のソファーにお座りください 」
セロとオレは進められたソファーに座った。
またまたまた別の受付嬢のお姉さんが、淹れ立ての紅茶と茶菓子を運んで来てくれた。
受付嬢:C
「 どうぞ。
御召し上がりください 」
マオ
「 有り難う! 」
見るからに高級茶菓子だと分かる。
マオ
「 わあぁっ!
美味しそうだね! 」
受付嬢:C
「 トトメルから取り寄せたヴヴド・ポァ・ワランと言う茶菓子なの。
{ ギルド長がマオ君の為に用意させたのよ }」
マオ
「{ オレの為に?
でも…何で?? }」
受付嬢:C
「{ マオ君はセルリーマ様の幼い頃に似ているの。
セルリーマ様はギルド長の長女よ }」
マオ
「{ 娘……。
オレ…、男なんですけど… }」
セロフィート
「{ 女装して来れば良かったですね }」
セロはクスクスと笑いながら、紅茶を飲んでいる。
マオ
「{ 女装なんてしないんだからな! }」
受付嬢:C
「{ 幼い頃のセルリーマ様は男の子もタジタジになるぐらいのオテンバだったそうですよ }」
マオ
「{ そうなんだ… }」
そんなに似てるのかな??
オレは出された紅茶と茶菓子を交互に食べる。
美味しいけど…何か……何か…う〜〜〜ん……何だろう??
何でなのか…はっきりとは分からないんだけど……味が…………変…かも??
いや、御世辞抜きに美味しいんだけども!
因みにオレは、冒険者ギルドの受付嬢のお姉さん達から、 “ マオ君 ” で通っている。
セロは “ セロフィート様 ” なのに、オレだけ……。
オレは成人してるのに、十中八九が容姿の所為だ。
紅茶も美味しいんだけどなぁ……。
何だろうな…………違和感??
セロフィート
「{ ギルド長が報告書を読み終えた様です }」
ギルド長を見てないのにセロは、そんな事を言う。
ギルド長は本当に報告書を読み終えたみたいで、椅子から重そうな腰を浮かせて立ち上がった。
ギルド長
「 デリス,モリネ、クレスターとゼリントを呼んで来てくれ。
至急だぞ! 」
受付嬢:デリス,モリネ
「「 畏まりました 」」
ギルド長に用事を言い渡されたデリスさん,モリネさんは、ギルド長に会釈をするとギルド長室から退室した。
クレスターとゼリントって誰だろう??
セロフィート
「 ギルド長、報告書を読まれて、どう思われました? 」
ギルド長
「 どう…とは?
どういう事かね? 」
セロフィート
「 権力に屈し、無かった事にします? 」
ギルド長
「 なにぃ?!
どう言う事だね! 」
セロフィート
「 揉み消されたりしないか心配なだけです 」
ギルド長
「 揉み消す──だと?!
馬鹿な事を!!
誰がそんな事を命じると言うんだ! 」
セロフィート
「 心当たりは有るのではないです? 」
ギルド長
「 何ぃっ?! 」
マオ
「 ──セ、セロ〜〜〜!
ギルド長を困らせたら駄目だろ!
御免なさい、ギルド長… 」
セロの無礼千万で、失礼極まりない発言に気分を害したギルド長に向かって、オレは上目遣いで謝った。
ギルド長
「 …………コホン(////)
貴殿の立場を弁えて発言をする様にな!
言葉も慎む様に! 」
マオ
「 有り難う、ギルド長 」
オレはもう1度、上目遣いでギルド長を見ると笑顔を向けた。
マオ
「 ──そうだ、セロ。
アレをギルド長に見てもらったらどうかな? 」
セロフィート
「 はて?
アレとは何です? 」
マオ
「 はぁ?
惚けるなよ!
オレが苦労して汲んだ地底湖の水だよ!!
証拠品として持って来ただろ! 」
セロフィート
「 此の事です? 」
マオ
「 そう、其だよ! 」
セロはポーチからジャムが入っていた大瓶を出してくれた。




