新聞を読みながら、オージンはサービスで提供された “ パンケーキ ” なるケーキを食べる事にした。
ウェイターが「 甘さ控え目で食べ易い 」と言っていたが、何処迄信じて良いのか分からない。
味覚は人によって違うのだから、「 甘くない 」と言われても当てにはならないものだ。
実際に自分の舌で味わい、味を覚えなければならない。
施設に保護された時に割りと始めに教えられた事だ。
オージンはケーキフォークを持つと少しだけパンケーキを口に入れてみる事にした。
パンケーキとやらは、柔らかくて、フワフワとしており、ケーキフォークで切り易い。
ケーキフォークで切った少量のパンケーキを口の中へ入れて咀嚼してみる。
甘い事は甘いがオージンが嫌う程の甘さではなかった。
確かにウェイターの言った通り、甘さは控え目にされており、甘いものが苦手な男性客にも食べ易いケーキではある。
パンケーキを食べた後、何気無く珈琲を飲むと、何とも言えない様な丁度良い味となり、オージンはウインナー珈琲とパンケーキの組み合わせをいたく気に入った。
ウインナー珈琲ではなく、普通の珈琲と食べても美味しいのは間違いないだろう。
ウェイターを呼び、珈琲のお代わりを頼んだ時に、パンケーキも付けてもらえないか聞いてみたが、パンケーキは最初の一杯に付けるサービスなのだと言われた。
鯔の詰まり、50M支払って珈琲をお代わりしてもパンケーキは付かず、パンケーキを食べたければ500Mdを支払い珈琲を注文しなければパンケーキは付かないという事だ。
パンケーキを諦め、珈琲だけをお代わりするか、パンケーキの為に新たに珈琲を注文するのか──、悩ましいところだ。
オージンの所属している奇蹟せき跡せき調ちょう査さ団だんの元もとへ〈 Sサムシング・Gグレート 〉の暗あん殺さつ依い頼らいが入はいって来きたのは、偶たま々たま≪ 街まちカモッポゥロ ≫の近ちかくに居いたのが、オージンの所しょ属ぞくしている奇き奇き蹟せき跡せき調ちょう査さ団だんだから──という理り由ゆうだった。
暗あん殺さつ依い頼らいを遂すい行こうする場ば合あい、依い頼らいが入はいるのは目もくター的てきゲッ地ちトの1番ばん近ちかくに居いる奇き奇き蹟せき跡せき調ちょう査さ団だんへ連れん絡らくが入はいる仕し組くみになっている。
昔むかしからそうなのだ。
そんな訳わけで、オージンの所しょ属ぞくする奇き奇き蹟せき跡せき調ちょう査さ団だんは何い時つも通どおりに依い頼らいを達たっ成せいさせる為ために行こう動どうする。
オージンに与あたえられた役やく目めは偵てい察さつだった。
ストーカー宜よろしく〈 Sサムシング・Gグレート 〉の後あとを尾び行こうし、張はり込こんで偵てい察さつするのだ。
〈 Sサムシング・Gグレート 〉は冒ぼう険けん者しゃギルドで依い頼らいを請うけ負おった後あと、《 飲いん食しょく街がい 》や《 屋や台たい公こう園えん 》へ寄より道みちはするものの≪ 街まちカモッポゥロ ≫から出でる事こともなく《 宿やど屋や街がい 》へ向むかい、宿しゅく泊はくしている宿やど屋やカシペリザ亭ていの中なかへ入はいってしまう。
宿やど屋やカシペリザ亭ていの中なかへ入はいった〈 Sサムシング・Gグレート 〉は、食しょき堂どうへ寄よる事こともあるが、大だい体たいは真まっ直すぐに宿しゅく泊はく室しつへ戻もどって行いく。
宿しゅく泊はく室しつへ入はいってしまえば其それっきりだ。
宿しゅく泊はく室しつから出でて来くる事ことはない。
中なかで一いっ体たい何なにをしているのやら。
室しつ内ないの様よう子すを探さぐろうとして鍵かぎ穴あなを覗のぞいて見みるが、何なにかで塞ふさがれているのだろうか、室しつ内ないを覗のぞく事ことは出で来きなくなっている。
奇き妙みょうな事ことに室しつ内ないの声こえは一いっ切さい聞きこえて来こない。
普ふ通つうならば廊ろう下かに居いれば、微かすかな話はなし声ごえが聞きこえて来くるは筈はずだ。
何なにかがお・か・し・い・と感かんじるものの〈 Sサムシング・Gグレート 〉は室しつ内ないに居いる事ことは間ま違ちがいないのだ。
時とき々どきは宿しゅく泊はく室しつから出でて来きては、食しょく堂どうへ下おりて行いく姿すがたを目もく撃げきする事ことから、宿しゅく泊はく室しつに居いるのは確たしかだった。