セロフィート
「 此処の秘密を維持させる為に決まってます 」
マオ
「 維持させる??
詐欺でボロ儲けし続ける為に? 」
セロフィート
「 そうですね。
〈 ノマ 〉の孤児を集め、〈 大陸りく仰こう神しん神しんジェジロエンダ 〉から祝しゅく福ふくを与あたえられた子こ供どもと偽いつわり、睡すい眠みんスリープ魔ま法ほうマジックで眠ねむらせ、氷こおり漬づけにして、洞どう窟くつの中なかに作つくった巨きょ大だいな穴あなへ捨すて置おき、溶とけて地ち底てい湖ことなる迄まで放ほう置ちした様ようです。
〈 大たい信しん陸りく仰こう神しん神しんジェジロエンダ 〉から祝しゅく福ふくを与あたえられた子こ供どもと偽いつわっている為ため、地ち底てい湖この水みずは全すべて “ 聖せいなる雫しずく ” と名な付づけ、稀き少しょう価か値ちを上あげる為ために虚きょ偽ぎを広ひろめ、 “ 聖せいなる雫しずく ” もとい唯ただの冷れい水すいを聖せい水すいと偽いつわり、好すき者ものに高たか値ねで売うり付つけたり、寄き付ふ金きんを集あつめたりしてます 」
マオ
「 ゲスが極きわまってるな…。
氷こおり漬づけにされた孤こ児じニターン達たちはどうするんだ?
此このまま放ほう置ちする──って訳わけじゃないよな?? 」
セロフィート
「 しても良よいです 」
マオ
「 だ…駄だ目めだろ!
ちゃんと弔とむらってあげようよ!
子こ供どもなのにこんな酷ひどい目めに遭あわされて…… 」
セロフィート
「 幼おさないながら此この様ような目めに遭あうのは、彼かれ等らが前ぜん世せで相そう応おうの悪あく業ごを積つんだ報むくいです。
前ぜん世せで己おのれが増ふやし、抱かかえた負ふ債さいを来らい今こん世せ世せへ持もち越こし、返へん済さいしている最さい中ちゅうです。
功く徳どくを積つみ、孕はらんだ悪あく因いん縁ねんを減へらせる人にん間げんへ生うまれ変かわれた事ことは幸こう運うんです。
だからと言いって必かならずしも与あたえられた天てん寿じゅを全まっとう出で来きる保ほ証しょうはないです。
彼かれ等らの生うまれが孤こ児じニターンである事ことは宿しゅく命めいでした。
宿しゅく命めいを変かえる事ことは出で来きませんけど、孤こ児じニターンとして生うまれた彼かれ等らにも、自じ身しんの運うん命めいを変かえ、違ちがう未み来らいを歩あゆむ事ことを出で来きる筈はずでした。
然しかし、彼かれ等らは其その道みちも権けん利りも私し欲よくにまみれた卑いやしい金かねの亡もう者じゃ達たちに奪うばわれ、絶たたれてしまいました 」
マオ
「 …………因いん果が応おう報ほうだから、態わざ々わざ弔とむらう必ひつ要ようはないって事ことか? 」
セロフィート
「 そんな事ことは言いってません。
弔とむらうのは善よい行おこないです。
マオが『 弔とむらいたい 』と思おもうなら、 “ 弔とむらわせていただく ” と言いう謙けん虚きょな心こころ掛がけですると良よいです。
間ま違ちがっても “ してやる ” と言いう様ような上うえから目め線せんで見み下くだした心こころ掛がけでするものではないです。
〈 久遠実成大陸神/信仰神 〉へ心こころを供そなえ、死し先せん者しゃ祖ぞの冥めい福ふくを祈いのってください 」
マオ
「 弔とむらうにしても場ば所しょは?
≪ 街まちカモッポゥロ ≫に弔とむらう場ば所しょがあれば良いいんだけど…… 」
セロフィート
「 孤こ児じニターン,世よフ捨すてーゾ人びとク,浮ふル浪ろうーロ者しゃニ,物ものモ乞ごいゴイの死し体たいは1ヵ所しょへ集あつめられた後あと、供く養ようもされず処しょ分ぶんされます。
教きょう会かいに頼たのんでも墓ぼ地ちの一いっ角かくを提てい供きょうしてはくれないでしょうね 」
マオ
「 じゃあ、どうするんだよ? 」
セロフィート
「 何ど処こかの≪ 集しゅう落らく ≫の墓ぼ地ちを整せい地ちして石せき碑ひでも立たてましょう。
彼かれ等らの遺い体たいはワタシが魔ま法ほうマジカル陣じんサークルの中なかで保ほ管かんします。
此こ処こには〈 テ原げん質しつフの源みなもと 〉で構こう成せいした偽にせ物ものを置おいて行いきます。
冒ぼう険けん者しゃギルドには依い頼らい通どおり、大おお樽だるを持もって行いきます 」
マオ
「 オレが苦く労ろうして汲くんだ “ 聖せいなる雫しずく ” を持もって行いくんだな? 」
セロフィート
「 大おお樽だるの中なかに入いれるのは氷こおり漬づけです。
子こ供どもの抜ぬけ殻がらを氷こおり漬づけにして、大おお樽だるの中なかへ入いれます。
マオ、中なかに入はいってる水みずを地ち底てい湖こへ戻もどしてください 」
マオ
「 ──は??
地ち底てい湖こへ戻もどす──って事ことはだぞ、オレが1時じ間かんも費ついやして、汗あせ水みず流ながしながら頑がん張ばって汲くんだ水みずを “ 捨すてる ” って事ことじゃないか!! 」