♥ クエスト 1‐2 / 森を抜け、山を越え、地底湖から “ 聖なる雫 ”を汲んで来い!
マオ
「 どゆこと?? 」
セロフィート
「 此の依頼を受けている人物は、マオとワタシ以外にも居ます。
マオとワタシが依頼を受ける随分前の誰かの指でしょう 」
マオ
「 …………じゃあ…地底湖の何処かに誰かの死体が……沈んでるかも知れない──って事か??
で、でもさ……、 “ 聖なる雫 ” なんだろ?
死体が沈んでるかも知れないなら、地底湖の水は…… “ 聖なる雫 ” じゃなくなるじゃんか!!
唯のバッチい水だよっ!! 」
セロフィート
「 そうなりますね 」
マオ
「 もう、 “ 聖なる雫 ” じゃないんだろ?
大樽に頑張って入れたのに無駄になっちゃったな……。
オレが汗を流した努力の1時間が… 」
セロフィート
「 初めから “ 聖なる雫 ” ではなかっただけです 」
マオ
「 そうなっちゃうよなぁ……。
──って言うか、身も蓋もない事を言わないでくれよ……。
なぁ、セロ。
此ってさ、冒険者ギルドに報告するのか? 」
セロフィート
「 しなければいけませんね。
依頼を受けた者として報告する事も立派な義務です。
例えば其が不利益になる事であったとしても──です。
悪事は大々的に公表しなければなりません 」
マオ
「 大々的に公表って……。
“ 聖なる雫 ” で作られた聖水を買ったり、使ったり、飲んだ人達は……ショックを受けるんじゃないのか? 」
セロフィート
「 そうかも知れませんね。
其は其で面白くなります 」
マオ
「 面白がったら駄目だろ…。
…………だけどさ、どうやって報告するんだ?
報告するにも手ぶらだと信じてもらえないんじゃないのか? 」
セロフィート
「 勿論、手ぶらで報告はしません。
確固たる証拠は必要です 」
マオ
「 …………此の落ちてる指を証拠に報告するのか? 」
セロフィート
「 指を証拠にしても処分されてしまいます。
地底湖の底に沈んでいる死体を引き上げます。
全身の水死体を証拠として報告すれば、直ぐに処分はされないでしょう。
多分… 」
マオ
「 た…多分?!
処分される確率が高いって事か? 」
セロフィート
「 都合の悪い不祥事は内密に無かった事にされますし 」
マオ
「 酷いな…… 」
セロフィート
「 予定が変わりましたね。
マオ、下がってください。
地底湖から死体を引き上げます 」
マオ
「 う、うん 」
セロから布に包まれた指を手渡されたオレは、セロから離れる事にした。
指なんて持っていたくないんだけどなぁ……。
地底湖の前に立ったセロは、古代魔法を発動させた。
地底湖の水面の上に魔法陣が現れた。
魔法陣に吸い寄せられるみたいに何かが地底湖から上がって来ている。
何処かの誰かの水死体かな??
セロの後ろで黙って見守っていたオレは、言葉を失った。
地底湖の下から引き上げられるのは、何処かの誰かの水死体だと思っていたからだ。
魔法陣に引き寄せられる様に引き上げられるのは、水死体なんてグロい物じゃなくて────。
マオ
「 ──セ、セロ!
此は何なんだよっ!! 」
地底湖の中から現れたのは、氷だった。
其も唯の氷じゃなくて、大きな氷がゴロゴロと幾つもある。
然も、何の氷の中には────。
マオ
「 セロ……。
此は何なんだよ!! 」
セロフィート
「 水死体が出て来るとばかり思ってましたけど…。
氷漬けにされている子供ですね。
はてさて…。
此は面白い展開になりました♪ 」
マオ
「 セロッ!!
面白がってる場合じゃないだろ!
何でこんなに大勢の子供が氷漬けになってるんだ? 」
セロフィート
「 どうやら裏がありそうです。
依頼主の背後は、真っ黒黒かも知れません 」
マオ
「 真っ黒黒??
どういう事だよ? 」
セロフィート
「 氷漬けの子供達を調べてみる必要があります 」
マオ
「 調べる?? 」




