勝家
弘治2年正月
吉乃「御方様、本年も宜しくお願い致します」
帰蝶「吉野も、息災のようですね、ご主人を亡くされて手書きは頂いてましたが、会う機会を作れず
案じていたのよ」
吉野「主人には隠せませんでした、三七が成長するほどに殿そっくりになってしまって問い詰められ話さざる得ませんでした、ただこのままでは殿に近いものに見られたらと、生駒の生家へ今は連れ帰ってます」
帰蝶「三七は元気にしてるそうですね変わった子だと書いてありましたが?」
吉野「三七は手のかからないというか、もう立って歩くし、厠へも一人で行こうとするし危険だからと手伝うのも嫌がるし、まだ歯もないと言うのに同じものを食べたがる、言葉になってないが何かをいつも言ってるように声を出してるのですよ、筆を持っては見たことのない文字らしきもんを書いたり、どうしたものかと千と悩んでます」
ドスン、ドスン、ドスンーーーバシーん
「帰蝶、しばし休む、ぬ、娘何者か」
「殿、妹の吉乃です、お産の時手伝いに来ていたのですがその後義理母方の実家に戻ってました、今日は年始の挨拶に来てましたのです」
「殿、姉上では失礼致します」
早春のある日
柴田「ごめん、生駒殿居られるか」
吉乃「ご家老様、どうしたのですか?」
柴田「信長殿の臣下となったのでな、焼香させてくれぬか、竹馬の友であったそなたの主人を
打ったのは俺だ恨まれることは覚悟しておる、最後の言葉だけは伝えたくてな」
「お上りください……お千茶の用意を…こちらです、………」
「友から、七之助の事頼まれてな、誓ったのだ、この命かけて守ると、ただ秘密があると
七之助に合えばわかると言ってはいたが、勝家友との約束は必ず守る合わせてくれぬか」
吉野に対し勝家は頭を下げた
数刻後黙したまま吉乃は部屋から出て、七之助をつれ戻ってくる
「柴田様、七之助です、ご挨拶なさい」
「しばたさま、しちのしゅけです〜」
七之助を唖然と見つめる勝家
「これはどう言うことか、 奇妙丸様にそっくりいや違う、昔から知ってる、幼少の信勝様?いや信長様そっくりではないか、そんなバカな、、、、」
「これは一体どう言うことだ、何故」
「柴田様、この子を守るため、真実をお話しします、この事は殿も知りません
姉の帰蝶様と私だけの秘事後は死んだ夫のみだけです、この子名は三七と言います
奇妙丸様の双子の兄です。殺す事はできぬと、死んだ息子と入れ替えました
ですが成長するほどに殿に似てくることから外に出せなくなっています
この子には話しましたがどこまで理解したかはでも取り乱しもせず、しっかりしています
生来利発なようで吸収が早いです
この子をお守り頂けますか、今度こそ信勝様のようにお家騒動とならないように育てたいのです、お願いできるのは、柴田様だけです」
「信勝様の様には……三七様不肖勝家命をかけ貴方を守りましょう、ここでは殿に近い、自由に暮らせる場所を探します暫しお待ちあれ」