別れ道
正月明け初評定という事で前線などからも主だった者全てが揃う
残るは清洲のみ武衛様を我が元にすればほぼ尾張を掌中に収めたと言って良い、
年内に落としてみせようぞ、そして美濃への備えを万全とし、将軍家より継承を認めて頂いた
親父の三河守護職を今年より公にし、まずは安祥を取り戻す。
この今後の方策だが、今川は今あの宰相が死んだ昨年は攻めてこなかったが攻め手を変え調略に励んでいたとはな、義元も策士よ三七の申す通りであったわ、このまま今川に備える事伝えていたら全て筒抜け勝てる戦も負けていたわ、流石街道一の弓取りとは言うがわしも甘かった、三七の言う情報は確か、物や人の流れ、言葉をしっかり捉えておけば、無限に情報は得られる、義元の考えがここまで見えるとは
わしも昨日までは大人しかったが今年は動くはずだとは考えていたが
三七が言う情報分析?吟味した話しは、確認させたが確かだった、驚愕ではあったが頼もしい、はっきりした、物の流れを見るに4月には準備が整う間違いなく5月には出てくる、昨年家督も継がせ、後顧の憂も無くした義元だ、身を軽くし自身が出て三河の完全平定に乗り出すのは間違いない、だが万全の備えがバレれば、尾張にまで手を出す危険を冒すまい、
何としても奴を油断させ奴を討ち逆に三河を取る道を拡げる好機としなくてはな、
恐らく家臣どもは奴の軍勢に恐れをなし、籠城か打って出るかに分かれよう、それを利用し話もまとめられず、多くが寝返ると思わせる
今川は最大で3万だが隠居した今、率いるのは精鋭軍と侍大将級が国人どもを率いるだけだ
奴の手足は五千その事実、中心は先方に三河国衆督戦に遠江国人衆を分散して配置個々には
多くとも2人か3人足らずであろう。言葉も通じにくい他国同士、信頼などあるまい従面腹背寝首などいつでも獲れようぞ、我が息子ながら怖いことを考えつくものよ。
しかし我が家臣どもは七割方が農兵だその事実を知らずに、今川が攻めるとなれば好機とは思わず、
危機と捉えるだろうな、視野の狭いことだが、我と同じぐらいには先の見える
家臣いや友が欲しいわ、ふふふ、我が息子ながらワシより視野の広い奴よ、子供と思えなくなる
会った時はワシに本当によく似ておった、がそれ以上に驚いたのがあの目よ、広く物事を見る如き
強さを感じ、話すほど引き込む話術、商人どもを丸め込める訳が伺える。
それに商人どもがこれほど情報を持ち、役立つとは知らなんだわ、それに商人の共通語
堺言葉の存在 武家、京の言葉などの武家の手習いなど比べるべくもない庶民に浸透しておったとは
5歳にして既に堪能に話しよる (たまにカンサイ弁?とか言っておるが)
我が息子ながら、頼もしいものじゃ、奇妙にも旅をさせるかな、家臣をいくら付けても此奴ほど世間を知ること出来まい過保護すぎたな儂も此奴ほど世間を知るもの家臣にどれだけいるのやら、儂も世間から遠くなったものよ、視野が狭くなってた、しかしワシの目も覚めた無駄に美濃に拘り
兵を無為に擦り減らすとこであった、
「皆集まったな、今までは一奉行の立場であり控えてきたが今年からはその体裁を改める、斯波義銀には京に入ってもらう、尾張守護の地位を渡す事は無いであろうからな、尾張から追放する、
これで遠江、越前、尾張の守護職の実権全てを失った残るは管領職のみであれば京に住まうしかなかろう」
これで上のものは全て消える、これで今川が攻める口実を作ってやった、そこに気づくやつ入るか?
「お待ちください殿、そのようにしては他国から攻められる口実を与えるようなもの、」
「どこが攻めると?斎藤か?やつに攻める力は無い、今川はまだあの宰相の死からまだ立ち直っておらぬ今の内に西の脅威を打ち払う、奪い返した蟹江城の防備をさらにあげ国境沿いに砦を増設する良いな」
「ははは」
「これよりその増設にあたり移動を命ずる、鳴海大高の各包囲守備部隊を撤収蟹江に入れる拡張、攻撃に備える、代わりに各砦に今は動かない今川には新兵どもの訓練に人数だけは入れ備えさせる、問題あるまいよ、教官は勝家お前に任す、前線が見たいというんでな此のお勝を連れて行けいい勉強になるだろう」
本当によろしいのですね、我らは命に従いますが、
移動する各将は別室に集まってくれ詳細を伝える、
「内政についてだが……………以上の方針だ良いな、今年は内政に力を入れる極力先頭は避けていく」
「皆集まってるな、皆の不安はわかっておる(でしたら何故此のような無防備な)まあ待て話を聞け
これは擬態よ、今川に隙を見せる、攻めさせるためにな、今のままではいつ来るかとただ漫然と待つだけ戦意も落ち勝てるものも勝てぬ、こちらの思う時に誘い込むそして打勝つ、今川は5月には攻め込んでくる三河併呑と隙があれば此の尾張の下半国は取るつもりだろう、だからこそ敵の戦線を内に誘い込む
伸びきった側面を分断各個に殲滅する
国内であるからこそできる全面攻勢を仕掛ける罠を作る、したがって織田家は分裂の危機的状況であり籠城しかできないと思わせるお前達にその仕掛けを頼みたい、事は情報の秘匿が大事、お前達は俺にとって掛け替えのない命預けられる友だ、頼むぞ、それと西の伊勢、九鬼家は味方だくれぐれも本気で戦うなよ
それと義龍とだけは今手を結んだ、やつは今越前に向かっているこっちには手を出さない」




