お姉ちゃん後ろのおばあちゃん誰?
*主要人物紹介*
◯晴夏・・・田舎の高校に通う学生。最近、肩が重い。
「はぁ…。なんで学校までこんなに遠いのよ。また今日も遅刻じゃない。まったく!」
走りながら私はそうつぶやいた。
私の家から学校まで片道30分ほどある。普段は自転車通勤なのだが最近、自転車がよくパンクする。
パンクするたびに自転車屋さんに持って行って直してもらうのだが今日は乗ろうとしたらパンクしていた。
誰かが私の自転車にイタズラしてるのだろうか?
「停める位置変えようかな…。本当にもう!」
私はイライラしながら学校への道のりを急いだ。
それにしても最近もう一つ気になることがある。
自転車がパンクするようになってから、なんだか肩が重いのだ。まるでカバンの中に石でも入れているようだ。でも不思議なことに肩が重くなるのはこの通学路を走っている時だけなのだ。
「あぁ~。しんどい。来週から期末テストだし。はぁ…」
何回もため息をつきながら私は走るスピードを早めた。
「あ~また今日もパンクって…。毎日朝からついてない。もしかして私って呪われてるの??」
私は自虐的にそうつぶやいた。
2日連続で自転車がパンクって呪われてるとしか思えない。いったい私の自転車に何がおきているというのだろうか?
「新しい自転車買おうかな…」
私は走りながらそんなことを考えた。
さすがに2日連続で遅刻はまずい。
いや、恥ずかしい。
「よし!スピードをもっとあげよう!」
そう思ったまさにその時だった。
「お姉ちゃ~ん!いつも大変だね」
私は声がした方向を振り向いた。
そこには小学校低学年くらいの男の子が立っていた。
「そうよ。お姉さん毎日遅刻しそうなの。ボク何歳?」
私は足を止めて男の子に話しかけた。
「ボクは小学校1年生だよ。お姉ちゃん大変そうだね。アメあげるから頑張って!」
そう言った後、男の子は私にアメ玉を差し出した。
「ボクありがとう。お姉さん頑張るよ。でもなんでアメ玉2つくれるの?お姉さん1人だよ」
私は男の子の手のひらを見ながらそう言った。
「後ろのおばあちゃんにあげて!バイバイ~!」
そう言うと男の子は走って行った。
「う・し・ろ??おばあちゃん??」
私は急に後ろからヒヤリとするものを感じて恐る恐る振り返った。
誰もいない。
「な~んてね。誰もいないよね。あの小学生、年上のお姉さんをからかうものじゃないぞ!ったく」
そうつぶやくと私は先ほどもらった2つのアメ玉をブレザーのポケットに入れて勢いよく走りだした。
その時、私には聞こえなかった。
背中から「ウ…。ウ…。イツモセヲッテクレテアリガトウ。アメモラウヨ…」というガラガラ声が聞こえたのを…。
学校についてホームルームが終わった後、私はもらったアメ玉を食べようと思ってポケットに手を入れた。
なぜかアメ玉は1つしかなかった。
後でお父さんから聞いた話によるとこの町には「おぶり婆さん」という伝説があるそうだ。
昔、とても仲の良い老夫婦がいた。
いつも仲良く散歩をしていたそうだ。
でもある日、おじいさんの方が心筋梗塞で死んでしまった。
おばあさんはすごく悲しんだ。
すごくすごく…。
おじいさんがお墓に埋められた日を境にして毎日の墓参りがおばあさんの日課になった。
暑い日も寒い日も…。毎日欠かさずお墓で眠っているおじいさんに会いに行った。
でもそんな毎日は突然終わりをつげた。
その日もおばあさんは花を持ってお寺への道を歩いていた。
曲がり道を曲がろうとしたまさに時だ。
出会い頭に自転車に乗っていた男子高生とぶつかってしまったのだ。
すぐに救急車でおばあさんは運ばれたのだが四日後、おばあさんは息をひきとった。
警察の調べによると、事故をおこした男子高生はその日、寝坊してしまい急いで自転車をこぎながら学校へ向かっていたそうだ。
あともう少しでおじいさんが眠るお墓につけたのに…。おばあさんはさぞ無念だっただろう。
でも不思議なことにおじいさんが眠るお墓には花がたえることがない。
いったい誰が花を供えているのだろうか?
もしかしたらおばあさんは自分が死んでいることに気付いてないのかもしれない。
でもどうやって?
ダレカノセナカニオンブサレテ?