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愛とは。(エッセイ・新作)

愛とは不変的なものではなく、変化する。

常に変化し続け、それは丸くなったり尖ってみせたりするのだ。


愛とは常に潤うものではなく、枯渇する。

花瓶の水が減っていくように、その嵩を変えてしまうのだ。


愛とは与えてもらえるものではなく、差し出す。

何の犠牲や努力もなければ、誰からも貰えないのだ。


では、愛とは、何なんだろうか。

愛は、人間が人間として生まれたその瞬間から欲してやまないものに違いない。

もし、自分は愛など要らないなどと愚かなことを言っているのだとしたら、それは大きな間違いなのだ。


周囲の人は、空気と扱うだろうか。

誰一人として、自分の存在に気づかないだろうか。


親。

きょうだい。

親戚。

祖父母。

どこかの店員。

通りすがりの人。

電車の隣に立った人。

同じ日本に住む人。

同じ世界に住む人。


その誰かひとりにも気づかれず、空気のように過ごせる人など、いるのだろうか。

それは、生きているとは違うのではないだろうか。


人は誰しも、何かを信じて生きているのだと思う。

私がこうして恋愛小説ばかりをだらだらと書き続けているのは、私自身が愛というその不確かであやふやで、どうしようもない物を、信じて止まないからだ。


誰かが私を見てくれる。

それがどんな人であろうと、私に視線を向けてくれたその瞬間から、私という存在はそこに必ず存在している。

それは、愛じゃないだろうか。

少なくとも私という存在に、どんな形だとしても、興味を示したから見たのだろう。


興味を示してくれた、という、それだけで、それが愛というのは間違っていると言われるかもしれないが、では、どうして見たのかと問われたら興味があったから、と答えるしかないだろう。

興味があった、というそれは、その人を認識したという事だ。


それは、たった、それだけの事で、私は自分が生きているのだと実感することができる。

そして、その先を求めたくなってしまう。


もっと、もっと、私を知ってほしい。

もっと、もっと、私を見てほしい。

話を聞いて、笑って、一緒に居て。


たった、小さなそれだけの切欠だったとしても、可能性としては十分なのだと思う。



私は愛を信じている。

途方もないほどに、強く、愛を信じている。


けれど、愛はすぐに形を変え、枯渇し、求めても貰えない。


だからこそ、私は努力を惜しまない。


君に。

あなたに。


心の底から、ずっと【愛し続けて】もらうためだけに、何も惜しまない。

眠る時間も、お金も、着飾ることも、笑うことも。



けれど。


けれど。


私はあまりにも長い間、愛を、たくさんの人から受けられなかったから。



どうしても、うまく、泣くことだけが、出来ない。

愛している人達の前で、泣くことが、どうしても、難しい。

それは私の本意ではなく、それは私の努力ではどうしようも出来なく、とてつもなく悔しいのだと、わかってほしい。




いつか、あなたの前で、何も考えず、素直に。

何に遠慮することなく。

あなたの大きすぎる十分なほどの愛の前で。



精一杯泣けたらいいなと、思っている。



私は愛を信じている。

私は私にかかわったすべての人を、どんな仕打ちをされても、愛している。


陰口を言ったあの子も。

無視をしたあの子も。

画びょうを投げたあの子も。

体と顔だけが目当てだったあの人も。

長年付き合ったはずなのに他の人を好きになったあの人も。


そして、


生活費をくれずに、自分の親から守り切ってくれず、私に対して無関心を装った、あの人も。



私の人生に関わったすべての人を、私は、それでも愛している。

それは、とても不器用な生き方なのだと思う。



それでも、そんな私に


俺が絶対に幸せにするから、死なないで。


と、何度も、何度も、何度も、繰り返してくれる、あなたのために、生きていこうと思う。



愛を信じて生きていてよかったと、私は、今、ようやく思い始めたところだ。

竹野の人生は必ずしも幸せではありませんでした。

今も、誰に話しても、不幸だと言われ、現状を打破するよう勧められます。

けれど、そんな竹野を愛していると、好きだと、言い続けてくれる人がいるから。


だから、もうすこし、いきてみようかと、おもって、います。

ほんとうに、ありがとう。

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