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始まり
チャイムが鳴り響き、いつも通りの放課後が始まる。
「一緒に帰ろうや」
「新しいケーキ屋に行かへんか」
仲のいい友達が私のところにやって来た。
運の悪いことにクラス替えでクラスはバラバラに。
「ごめん。今日は用事があんねん」
特に用事はなかった。
「ノリ、悪いな」
「せやな…でも、ええ子やで」
明るい。
優しい。
話しやすい。
本当はそんな単純じゃない。
誰だって秘密にしたいこと。
あるでしょ…?
―2013年4月12日午後5時頃―
人ごみの流れを逆らうように
私は家へ帰ろうとしていた。
「ママー!!これ、買って!!」
「大切にするん?」
「うん!!」
親子の会話があちこちから聞こえた。
「…はあ」
家に帰ってもつまらない。
一人のほうが好き。
暴力。虐待。
そんなんじゃない。
「あの…ちょっといいですか?」
背後に少し背の小さめの可愛らしい男子がいた。
「探してるお店があるんですけど」
小さいメモ用紙を持って
ここ、と指で一生懸命説明する男子。
「この商店街を抜けた所にありますよ」
「すいません、案内してくれます?」
「いいですよ」
案内しようと歩き始めると
私の意識は途切れたのだった。