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近未来に超能力で暗部エンジョイライフ  作者: 神萄 零弩
第一章 騒乱の火種 【Premonition_of_a_battle】
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第三話 訓練-Entrenando-

文章力がほしいww

-四月九日 AM10:24-


昨日は色々あったが、榊原はとりあえず学校に行くことにした。それで今は、午前中の授業の真っ最中である。尤も、教師からさえ無視されている存在である榊原としては、学校なんて来ても来なくても大差なかったりするのだが、沙紀が心配する(おそらく)ので一応来ている。


(しかし、暗部ねぇ・・・・・)


昨日の出来事の通り、暗部なんていう得体の知れないものに介入する事になってしまった。一般人はおろか、国家にさえその存在を知られていない『アビリティ』としては、一般人の榊原がその存在・拠点を知ってしまったことは相当イレギュラーな事らしい。四百苅(しおかり)からは、『情報漏洩なんてしたら消すわよ?』とまで言われている。

ついでに変なオーラみたいなのも出ていて、背筋が凍るかと思った。今すぐ日本刀で切り殺されるかと思った。


(まぁ、生憎とそんな事話す奴なんていねぇし、話したとしても信じられないだろうから話す気なんざさらさら無かったけどな)


ニュースで報道もされず、政府さえもその存在を知らない組織を、一介の高校生が知っているなんて逆に誰が信じるのだと榊原が問いたい感じだった。


(ともあれ、どーでもいい事か・・・アイツは信じるかもだけどな)


そんな事を考えつつも、窓際の席で春の陽気に毒された榊原は、授業中にも拘らず眠りへと誘われていった―――――






-四月九日 PM12:31-


昼休みである。我先にと昼飯を求める高校生達が売店へと集まっているその様子は、さもあれば売店のセールスに集るオバハン達のようだ。そんな春のポカポカ陽気を熱気へと変えている高校生達が(たか)っている売店を、朝のうちに売店で買っておくという秘儀を二年生時に習得した榊原は素通りしていく。

あの厳しい環境下で勝ち取ってこそ価値があるだとか意味不明なことを言っている奴もいるらしいが、榊原はそんなことは気にしない。プライドどうこう以前に勝敗が問題なのだ。


「あ、恭也~」


この女性の声から察するに・・・というより察する必要もない。女子高生で榊原に話しかけてくる人間なんて一人しかいない。佐々布沙紀だ。


「おぅ、沙紀。メシ何処で食うよ?」


ほかの奴とは食わないのか、なんてデリカシーの無い事は言わない。こいつが、沙紀が好きでやっているのだからそれに口出しする権利は俺には無い、と榊原は考える。それに、榊原とつるんでいるせいで沙紀も一緒に昼食を食べるような友人はいないだろう。榊原もつまらない一言で唯一無二の親友を失ったりなんてしたくないのだ。


「ん~・・・屋上でいいんじゃない?」


屋上か・・・・・屋上で昼メシとか食ったことないし、この時期だから暖かくていいかもなぁ。誰か居るかもしんねぇけど。






-四月九日 PM12:38-


屋上なう。予想に反して屋上にいる人間は誰も居なかった。それで今は昼飯を食べている真っ最中である。


「あの後さ・・・どうだった?」


と、沙紀が聞いてくる。おそらく昨日のことだろう。


「あの後って?」


「だから・・・爆発の後だよ。被害者とかはいなかったの?」


爆発の規模は結構大きかったが、被害者とかの情報は入ってきていない。というか、よくよく考えたら爆破事件の翌日に普通に学校とかおかしくない?校長馬鹿なの?


「被害者が出たってのは聞いてねぇな」


事実だが、安心させたいという気持ちも若干混じりながらも榊原は返す。


「ふぅ~ん。良かった・・・」


本当に安心したような表情をする沙紀。沙紀よりも早く食い終わったので、とりあえず屋上からの風景でも見てみる。高校生にもなってグラウンドではしゃいでいる奴らがいる。もっと胃腸のことを敬いなさい。


ふと、沙紀の方を見る。俺はもう『日常』には戻れなくなってしまうんじゃないかという気がした。尤も、俺の日常なんて大したものでもなかったが、暗部なんていう危険な組織に入ったと知ったら、沙紀はどう思うだろうか。悲しむだろうか、心配するだろうか。俺は精神感応(テレパシー)ではないから、そんなものは分からない。それでも、これだけはハッキリと言える。



例えどんなことがこれから起ころうと、沙紀は俺が守る――――――






-四月九日 PM5:27-


とりあえず授業も終わったので帰宅する。今はかばんに適当に教材を放り込むという作業を終えて昇降口に居る。例に漏れず沙紀と帰る予定だ。

靴箱から赤色と黒色で構成された靴を引き出した瞬間、一枚の手紙のようなものが一緒に落ちてくる。出した人間の名前を見た瞬間、俺の顔が自分自身でも真面目なものとなることが分かった。


「沙紀、俺用事ができたから、沙紀に帰ってくれないか?」


手紙の差出人の名前は、四百苅(しおかり)(あい)。つまり、暗部関連である可能性がほぼ100%だ。

この件に関して、沙紀を巻き込むわけにはいかない。そんないつもと違う俺の様子を知ってか知らずか、沙紀は特には言及せずに、『うん』とだけ言った。


手紙の内容は次のとおりだった。

『学校の裏門に、アビリティに行くための車を着けてあります。それに乗ってください。アビリティの下部組織の構成員である貴方に通達があります。詳細は本部にて。』


最高機密を人の下駄箱になんて入れて大丈夫なのかと思わないでもなかったが、俺の下駄箱を除く人間はいないから大丈夫だろうと適当に結論付け、裏門に停められている黒いワゴン車へと向かった。






-四月九日 PM5:49-


榊原は今、暗部組織の一室にいる。それは榊原が最初に連れてこさせられた、モニターが設置してあり、尚且つ武器が大量に置いてある、『総司令部』と呼ばれる一室である。現在は、四百苅が外に出ているらしく、つまり、俺はPCのキーボードを高速で叩いている『博士』と二人きりの状況である。


(何だよこの沈黙・・・!!耐えられない・・・!!)


基本的に俺は人と接することが無かったので、沈黙にはそれなりに耐えられる。しかし、あまり親密ではない人間と密室で、しかも二人きりともなると気まずくないと言う方がおかしいだろう。


(も・・・もう無理だ・・・発狂してしまう・・・・・ッッ!!)


榊原が沈黙のストレスによって発狂する寸前だった正にその時、不意に自動の無機質なドアが開いた。


「博士~。戻ったよ~」


「あぁ」


PCに向き合っている『博士』に興味なさそうに返されると、四百苅がorzポーズを決め込む。まさかコイツは博士にそんな感情を抱いているとは・・・・・ってそんな事はどうでもいいんだ。


「四百苅テメェ!!自分から呼んどいて耐え切れない程の沈黙空間へ放り込むとはどーゆー了見だコラァ!!」


ここまで強く言うつもりは無かったが、沈黙のストレスが溜まっていた事もあってか、肺の空気をすべて吐き出し言いたいだけの事を言う。


帰還早々自分に怒声がくるとは思わなかったのか、四百苅は若干驚いたような表情をしたが、すぐに「悪い悪い」と、悪びれるような調子もなく返してくる。尤も、言った後に言い過ぎてしまったか、と心の底で後悔してしまった榊原としては、四百苅が傷ついたような様子も無さそうで少し安心したのだが――――――


四百苅に続いて、一人の大男が入ってくる。身長は日本人にしては高身長な榊原よりも高く、頭は丸刈りにした、筋骨隆々という言葉をそのまま絵に描いたような大男だ。


「恭也。こちらは―――――」


「私は向垣内(むかいがいど)嵯駆真(さくま)だ」


大男は四百苅が説明しようとしたのを遮って自己紹介をする。にしても、四百苅(しおかり)向垣内(むかいがいど)って、珍しい苗字多いな。


そんなどうでもいい事を思い浮かべた直後、向垣内と名乗った大男から嫌な一言が発せられる。


「私は暗部組織『アビリティ』の下部組織の隊長だ。故に、下部組織に入隊したお前の上司ということになる」


(えぇ!?こんな筋骨隆々の男が上司!?この世界は神も仏も無いのか!ここは美人でナイスバディのオトナな女性で決まりだろうが!!)


榊原の心の中で本心が爆発した瞬間だった―――――が、それに四百苅が追い討ちをかける。


「あんた、純粋な戦闘力だけなら能力で世界最高峰級(トップクラス)だけど、任務中の判断とか、高位能力者との戦闘方法とかは分からないでしょ?だから、これからはしばらくこの隊長さんと二人きりで訓練をしてもらうわ」


えぇ~・・・筋骨隆々な男としばらく二人きりかよ・・・・・誰得だよ・・・・ここの訓練のトコの描写なくてもいいよね!?俺はそっちの気は無いから!百合(ゆり)はまだ許すけど。


「よろしく、榊原」


「え?あぁ、よろしく」


色々心の中で絶叫した榊原だったが、上司にありがちな嫌味な態度が向垣内には無いらしい。それならばまだ大丈夫かと思った榊原だった。

作者こと私、神萄零弩ですが、一件だけですが感想をいただきました。

一件だけでも意外に支えになりましたねw

とても嬉しかったです。この応援を糧にしつつ、さらに精進していきたいと思います。

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