指輪を外したら
禁断の恋って、その関係に酔ってるだけな人もいるんじゃないか。と本気な人に失礼な事考えて書きました。微妙な表現があるので、その辺はご想像におまかせします。
近親相姦とか不倫とか、同性愛。そんな言葉に一生無縁だと思ってた。
正確には、かすった程度の浅い傷なんだけどね。
「白河。」
「内原先生結婚おめでと!指輪みせて?」
「おっと。それより先に宿題提出しろ。」
軽く肩を掴まれた。けどすぐにその手を払った。先生の長い指、背伸びしないと届かない茶色いふんわりヘアー。もう、触んないって決めたから。
1週間前。
一人暮らしの先生の部屋のベッドで、ごろごろ裸で抱き合ってた。
「白河の髪ってサラサラして綺麗だな。」
「んー。それくらいがチャームポイントだからね!」
婚約指輪が丸テーブルに置いてる。セックスする時はさりげなく外してくれるんだ。
「せーんせ。」
「ぐわ!いきなり乗るなって!」
「女子高生に乗られると嬉しいでしょ?ほら、もうこんなにおっきいよ。」
私は繋ぎとめたかった。
「白河…何泣いてんだ?」
温かくて大きな手が私の頭を優しく撫でた。
「結婚するんでしょ?」
「…あぁ。聞いたのか。」
最初から、先生が結婚するまでの関係。よく彼女に見つからなかったと思う。
「ギリギリまで迷って迷って、決めた。白河は『教師の俺』しか見えてない。」
「…ちがっ!」
「と思い込んだ。これ以上お前に溺れる自分が怖い。だから」
『今日で終わりにしよう』
あなたの全てにキスをした。耳の裏にキスマークをつけて、薬指の付け根にわざと噛み付いた。私の愛撫をただ見つめていた先生。
「今日は、ゆっくり話そうか。」
「やだ!先生と繋がりたい!」
「俺の体が白河を忘れられなくなるだろ?」
それから、あっと言う間に1週間が過ぎた。先生の指の付け根のうっ血の痕は、もう消えそう。
「せーんせ!」
「ん?」
「大好きでした!」
廊下で大声で言った。先生は慌てて私の口をふさいだ。
「おい。どういうつもりだ?」
「何慌ててんの?私は先生として大好きって言ったんだよ。」
宿題を渡して、教室に戻った。
もう振り向かない。私の痕が消えたら、私の気持ちも消えるから。
「今日一緒に帰らねぇ?」
後ろの席のシュウヤが髪を引っ張って来た。ほーんとガキなんだから。弟みたいだけどね。振り向くと、黒いツンツンヘアー。に人懐っこい笑顔が待ってた。
「いいけど、あんまり寄り道しないでよ?」
「えー!なんでだよ。」
更に髪をグイグイ引っ張られる。
「もー分かったから、引っ張んないで。」
「んじゃ、手繋ごうな!」
「小学生じゃないんだから、ムリだって。」
その後、授業中ずっとちょっかい出された。なぜか私ばかり当てられたし。
どうにか放課後。
「大変だね。あんなのに好かれて。」
「慣れれば可愛いよ?」
「ま、男は狼って事忘れないでね?ばいばーい。」
ユキミが彼氏を見つけて走って行った。
「待った?」
「んーん。シュウヤ帰ろっか!」
「手!」
「はいはい。」
しかも、絡めて来た。めっちゃ嬉しそうだし。ま、いっか。
「こら、樋川見せつけるな。」
「先生も結婚したんだろ?いーじゃん。」
やだ。何で話しかけんの?早くどっか行ってよ。
「気をつけて帰れよ?」
ポンっと私の頭を叩いて通りすぎた先生。ギュッとシュウヤの手を握ってしまった。
「夏、何かされた?」
シュウヤに覗き込まれて、目が泳いでしまう。
「へ?何もないよ。」
「オレんち来ない?」
話かなりズレたよね。顔を上げ、シュウヤは隣に並んで歩いた。
…学校から近すぎ。
「オレ一人暮らしだから。」
「まさか…。」
部屋に入って、ブレザーを脱いで壁にかけるシュウヤ。
「玄関に立ち止まって、まさかオレんち臭い?」
「臭くはないよ。…私帰るね。」
「ぷ。…くくく。」
シュウヤが笑ってる。
「何が可笑しいの?」
「あーおかしい。オレも男だって気付いてたんだ?」
私は必死に学校の先生の元に走っていた。
外の窓から教室にいる先生が見えた。
「っ先生!」
先生の胸に飛び込んだ。
「夏が来るの待ってた。」
「これはギリギリ先生と生徒だよ!」
「ばーか。先生と生徒は抱き合わねぇよ。」
先生から離れられないのは、私の方みたい。
指輪を外したら
私と先生は、恋人同士になれる。
だけど、教室の教卓の上にある指輪に監視されてるみたいで、それが私の身体を熱くさせる。
私が好きなのは…
先生だから?既婚者だから?
確かなのは私の身体が疼いてるという事実だけ。
高校生と教師の恋を書いてみました。二人ともフッと現実に戻る瞬間があるんですよね。でも、また燃えちゃうんです。ちょっと息抜きしてみました。読んで下さってありがとうございました!