第9話 弟妹弟子
一緒に学ぶ友人がいると楽しいですよね
オークとの戦いから一週間は休みだった。その間は俺も魔法も魔術も使わずに休養していた。
そして今日、久しぶりの座学なのだが
「なんで、お前らもいるんだよ」
そこには幼馴染達の姿があった。
「なんだよいちゃ悪いのかよ」
「ごめんね、嫌だったらもう帰るから」
「…」
「嫌、そういうわけじゃなくて」
「何でここにいるのかなってね」
慌てて答える
「俺だって魔法を使ってみてーんだよ」
「それに友達は守れるようになりたいし」
「私も魔法を使ってみたくて」
「普段からハンスは魔法の話してたから興味があったの」
「…」
「そうだったのか」
「アリナは何でなんだ?」
何やらブツブツ言っているが聞こえない。
「もっ、もう、何でもいいでしょ!!」
突然の大声に驚いてしまう。
「あっ、ご、ごめん」
「まあまあ、ハンス何でもいいじゃない」
母がニマニマしながら窘めてくる。
そこから俺は普段通りの授業を受け、アルバート達は俺が当の昔に終わらせた範囲からスタートしていた。
そして魔法の訓練の時間になった。
「それじゃあ、魔法の適正を計ってみましょうか」
「はいっ!はいっ!はいっ!」
「それじゃあ、アルバート君から」
母が笑いながらアルバートを指名する。
「まずは水からね」
「うしっ!やってやる!」
「はぁあ~~っ!!」
すごい気合いだが適正が無いようでなかなか発動しなかった上に発動しても一秒程度だった。
続く他の属性も似たような感じで、全ての属性において適正がなかった。
落ち込んでいるアルバートにたまたま帰ってきた父が何やら話している。
「アルバートは適正がなかったみたいだな」
「ハンスの父ちゃん、俺ダメだったみたいだよ」
「そうだな、魔法の才能はなかったみたいだ」
「それに魔力量も少ないみたいで魔術も満足に使えんだろうな」
「うぐっ!」
「だが、筋肉がしっかりとついている」
「簡単な剣術なら教えられるがどうする」
「いいのか?」
「いいぞ、だが、剣の修行は魔法とは違う方向でキツイぞ」
「大丈夫だ!俺も強くなってハンスみたいに友達を守れるようになりたい!」
どうやら、魔法ではなく剣について学ぶようだ。
俺も今回のオーク戦で実力不足を痛感した。
「お父さん、俺も剣の修行をつけてもらってもいい?」
「いいが魔法はいいのか?」
「魔法もするけど、剣も習いたい」
「本気か?」
「本気だよ」
「…分かった、頑張れよ」
「ハンスもこれからなのか!よろしくな!」
こつんと拳を合わせる。この動作は世界共通のようだ。
そうこうしているうちに女子達の適性検査も終わったようだ。
アリナは、適性有りが風と雷で、並みが土だったようだ。
エレーナは俺と同じく水が適正有りだったようだがその他の属性は適正がなかったようだ。
適正を計り終わった後俺は最近している修行をする。
「うーん、まだ氷が生成できない」
「ハンス、いつも言ってるでしょう」
「氷は生成することそれ自体が難しいんだから、別の修行をした方が効率がいいのよ」
母がいつも通りの助言をくれる。
だが、感覚的にはあと一歩の気がしていたのだ。
誤って生成された水は普段より冷えていることから温度は弄れると思うのだ。
そう言えば、試していなかったことを思い出す。
水を想像してさらにその中の水の粒、水分子を想像する。その水分子が停止していく、イメージをする。
出来た。発動する前に直感する。そして目の前に生成された氷は小さかったが確かに生成出来たのだ。
母がその場面を見ておりあんぐりと口を開けている。
「ハ、ハンス~あなたは天才よ!!」
母が頭をなでながら俺を褒める。後から聞いたがどうやら、氷の生成はかなりの修行をした魔法使いくらいしか使えないようでこれ一つで入学できる快挙らしい。
その直後に、沸騰もさせられるのか試してみたがこちらはより簡単にさせることができた。
こうして俺たち4人は勉強と魔法、剣の修行をつけてもらった。
アリナとエレーナは剣の修行はしなかったがその分を座学と魔法、魔術の訓練に回していた。
アルバートは、勉強が全くダメだったようで、日曜日もよく補修していた。だがその甲斐なく、俺とアリナとはかなりの差が開いてしまった。だが、剣の才能はあり、俺は初めて打ち合った日から一度も勝てなかった。
エレーナは、一つ年が下であることから、俺たちよりも少しだけゆっくりとしたペースで進めていたが、それでも過去の俺のペースよりも圧倒的に早かった。魔法の才能もそれなりにあり、氷の生成は出来なかったが水をある程度自在に操れるようになってきていた。
アリナは、なぜか一番気合が入っており魔法も勉強も一年ほどで俺に追いついてきた。
対して俺は剣の修行が増えたくらいで普段と大して変わらなかった。現在は魔法の技の種類を増やすように頑張っている。
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