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次元の鼓動  作者: ごまざわ
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あの日

5章 あの日

あれから9ヶ月が経った。俺は真実を求めた。だから今こうしてオーディションを受けている。稲垣米のマネージャーになるために。リサーチをするにもマネージャーになるのが手っ取り早いからだ。より深い情報を知れる。マネージャーなんてやったことないから緊張するが、本人と話ができる機会を逃すわけにはいかない。神々に近付くためにも、真実を知るためにも必要なことだ。


2019年3月13日水曜日

米、俺は好きだぞ。

その一言で面接に合格した。ストレートな気持ちがCEOに伝わったようだ。二週間後の3月27日からアルバイトが始まるらしい。内容はというと、配信のやり方なんかは米は既に知っているだろうから、どんな企画をやるかなどを考えるものだ。

ついに米と会うことができる。どんな人なのだろうか。この界隈ではタブーとされているが、それでも俺は諦めきれない。切り忘れ配信で現れた謎の男は一体何者なのか。今どうしているのだろうか。決着をつけよう。

天使に関しては1次元を30体ほどこの9ヶ月で倒した。強い天使が現れないのは幸運なことだ。マキマさんからもらった水晶玉で自分の次元を確認してみる。3Aと浮かび上がった。イニシャルはなかなか変わらないようだ。


2019年3月24日日曜日

アルバイトまであと3日。今日は近所で有名な心霊スポットに行ってみることにする。そろそろ強そうな天使とも戦ってみたい。

PM7時

荒れ果てた病院についた。五階建てくらいか。かなり古そうだ。マキマさんからもらった灯火と呼ばれるライトのおかげでだいぶ明るい。入ってすぐに受付がある。左右に通路が続いている。右に進む。103号室から窓ガラスを爪でひっかくような耳障りな物音がする。そっと部屋の中を覗く。中にいたのは緑色の丸い大きな顔に手と足がついた化け物だった。窓の方を向いている。

「こいつ、天使じゃない?一体なんなんだ」

一歩後ずさる。不幸にも缶に足が当たりカランと音を立てる。化け物が振り向いた。驚くことに怪物には目が顔の真ん中に一つしかなく、縦についている。昔漫画で見たオチョナンさんのようだ。目が合った瞬間急に負の感情が押し寄せてきた。

「死にたい死にたい死にたい!!!」

化け物が近づいてくる。涙が溢れて止まらない。化け物が口を開ける。食べられる。動くことができない。

もう終わりだ、ごめん、米。そう思ったその時

「日輪の光、照らされる大地、希望の兆し、汝を照らし給え」

夜になって暗い病院内を閃光が包む。

「ゲロゲログァァァァ!!!」

化け物は塵になって消えていた。その代わりに立っていたのが忍者のような服を着たポニーテールの少女だった。

「あんた、こんな所にいて危ないわよ!さっさと帰りなさい」

「君は一体」

「あたしは呪術師のカグヤ。人に危害を与える呪霊って存在を祓う仕事をしてるの。今回の呪霊は邪視ね。二級くらいかしら。あんた名前は?」

「伊藤雅樹です。カグヤさんはなんでこんな所に来たんですか」

「近所に住む人から呪霊の目撃情報がこの辺であってね、日本の平和を守るためよ」

「呪霊って天使とは違うんですか」

「天使は神様が作った存在だけど、呪霊は人から生まれた存在よ。マサキはなんでここに?肝試しじゃないでしょうね」

「俺はもうすぐエンジェルハンターになるんです。今までは弱い天使としか戦ってなくて、強い天使と戦いたいから来ました」

「それにしても邪視は次元で言えば40くらいもあるのよ。あたしがいなかったらあんた今頃食われてたわね。感謝しなさいよ」

「ありがとうございます」

「ここで会ったのも何かの縁、あたしの携帯電話番号、危なくなったら電話して」

「わかりました」

「エンジェルハンターってことはあんた、多少は戦えるのよね?なら手伝ってほしいんだけど」

「何を手伝うんですか?」

「低級呪霊がまだわんさかいるから」

カグヤは通路の向こう側を指さした。呪霊がたくさん近づいてくる。

「手伝います」

9PM

呪霊を何十体も倒した。次元で言えば2から5の間くらいか。カグヤさんのおかげで倒せるようになった。カグヤさんは白く光る剣でサクサク呪霊を祓っていく。

「あの、呪霊って祓ったら給料出るんですか?」

「低級呪霊をあたしが165体、マサキが23体。一体100円くらい。邪視は10万円くらいね。」

「カグヤさんって次元どのくらいなんです?」

「2級だから50から60くらいかしら。ロイヤルクラスの光属性」

「強いですね。カグヤさんって何歳ですか?」

「16よ」

「年下!」

「じゃあ今日はこれで。またね」

「さよなら」

少し疲れたが刺激的な1日が終わった。


「あの力、欲しいねぇ。あの剣も素晴らしい」

廃病院の屋上に座る一人の袈裟姿の男。彼はぽつりと呟き、不敵に笑っていた。



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