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次元の鼓動  作者: ごまざわ
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修行

3章 修行

2018年6月8日金曜日AM7時

「雅樹ー、起きなさーい」

俺の母親、伊藤住子の声で目が覚めた。母さんは顔は普通くらい、髪型はショートボブだ。年齢は40代半ば。親父の伊藤明夫は仕事でいつも家を早く出て遅く帰ってくるので平日は見かけない。生活は親父のおかげで食べるのに困ることはない。二階にある自分の部屋を出て一階のリビングに行く。

「あ、お兄ちゃんおはよー」

トーストをかじっているこいつは妹の伊藤美玖。俺が高校二年生で美玖は3つ下の中学二年生だ。肩くらいまである黒髪のツーサイドアップが特徴だ。少し生意気だが明るく顔も美人だ。

「おはよう」

「お兄ちゃん、起きるの遅いよー。早起きは三文の得だし、お寝坊さんは学校でモテないぞ!」

「しょうがないだろ、夜型なんだから。別にモテなくていいし」

「あ、さてはお兄ちゃん、友達もいないな?」

「うっ」

「図星だね。友達の一人や二人いないと苦労するよー。そろそろ時間だ、いってきまーす」

俺もさっさと支度しないとな。トーストをサクッと食べて歯を磨いて制服に着替える。

「いってきます」

俺は都内の青空高校に通っている。学校までは電車で三十分くらいだ。美玖は青空高校の隣の青空中学に通っている。どちらも男女共学で制服はブレザー。中学は八時から朝のホームルームが始まり読書を行う。高校は読書がないので八時半から授業が始まる。もっとも、俺は放課後に読書をするのだが。午前の授業が終わり、昼休みになった。俺は学食で毎日きつねうどんを食べる。390円と格安だ。午後の授業が終わる。これからは読書は控えめにして、天使探しと稲垣米のリサーチに集中するか。自慢ではないが、学校のテストは勉強せずとも常に学年トップだから問題ない。

PM5時

3時半に学校が終わり、結局読書をしてしまった。帰る途中に天使を探す。神切丸は何も無い空間にしまってある。マキマさんから教えてもらった。いろいろ便利だが、神切丸を持っているところは誰かに見られないよう注意した方がいいな。人通りの少ない小さな路地を歩いていると女性の悲鳴が聞こえた。曲がり角を右に曲がる。そこには地面に座った若い女性とそれを見下ろす白い化け物がいた。昨日現れた奴に似ている。低級の1次元の天使か。俺は神切丸を出すとそいつに向かって走り出し、背中を突き刺した。

「グオォォォ!!!」

天使は倒れた。光の粒となって消えていく。

「大丈夫ですか?お嬢さん」

「ええ、大丈夫。ありがとう」

「仕事ですので、では」

PM6時

帰ったらスマホでツイッター、YouTubeを確認する。米は睡眠音声を出しているらしい。ここ何日かずっと幸せだ。米米ママ抱っこー!と赤ちゃんに戻りたくなる。壺男というゲームをやっていてそこでも叫ぶ。クソコラ、複数の画像を切り貼りして作成した画像を作るのをやめろ、というツイートがあった。そこで俺は

「クソコラ作られてファンが怒るからしかたないけど、クソコラでしか表現できないことだってあるんだよ 文字にするより絵のほうが伝わるとかグッズ買うとか行動で表したり、直接伝えるのは恥ずかしいけどクソコラという形なら伝えられるんだよ 作ってる人は感情移入してるし嗤いものにしてないむしろ敬」

と早口になってしまった。これがいわゆるガチ恋勢というものか。

「陰に咲いた 一輪の花

それでも誰かに気づいてほしくて

上手に伝えられずに 枯れた」

という歌詞がふいに頭をよぎった。孤独な人間に刺さる歌詞だ。

PM8時

母さんの作った夕飯を食べる。今夜はカレーだ。「やったぁ!あたしお母さんのカレー大好き!」美玖が子供っぽくはしゃいでいる。

「俺も好きか嫌いかで言ったら好きな方だな」

「たくさん作ったからどんどん食べてね」

「「「いただきます!」」」

ちなみに皿洗いは母さんと美玖がやっている。俺もやろうかと言ってみたが、あんたは前にお皿割ったからダメと言われ、二人を眺めている。

PM9時

風呂に入る。

PM10時

明日は休みなので天使探しと米のリサーチが捗るぞ。順調にいきそうでよかった。雅樹は安心して眠りについた。



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