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次元の鼓動  作者: ごまざわ
18/22

始まり

17章 始まり

2019年7月7日日曜日

8AM

真っ暗な世界に雅樹はいた。何者かの声が聞こえる。

「伊藤雅樹よ、我が器となれ」

「う、な、何だ?いや、誰だ?」

「我こそ魔王、全ての魔術の始祖だ」

「魔王?俺に何の用があるんだ」

「伊藤雅樹よ、力が欲しいか?」

「力、か」

「お前は家族を守ることができなかった。それは己の弱さが原因だ。力さえあれば全てが手に入る。もう恐れるものは何も無い。さあ、我に身を委ねよ」

「お前が俺を支配したら、お前は俺の大切な人を傷つけるかもしれないじゃないか」

「お前の大切な人を傷つけないように縛りを設けよう。これは絶対のルールだから心配はない。どうだ、我が器とならないか?」

「お前に何のメリットがある」

「我と同じクラス、同じ属性の人間にしか融合は使えない。お前が我の適合者なのだ。我は冒険者になりたくてな、この体では目立ってしまう。だから人間のお前と融合し、この世界を冒険するのだ」

「わかった。大切な人を失わないように、お前を受け入れよう」

闇のオーラが俺の中に入ってくる。凄まじい力だ。あらゆる知識が俺の頭に入ってくる。パンクしそうだ。様々な魔術の使い方、スキルを取得する。辺りが光に包まれる。


9AM

「ここは、一体」

雅樹は森の中に立っていた。別の世界に来れたのだろうか。そうだ、マキマさんはどこだ。一緒にいたはずだが。

とりあえず人がいそうな場所を目指すか。神切丸はあるか?何も無い空間に手を伸ばすと剣の鞘に触れる。どうやら神切丸はあるようだ。

朝方にしても森の中は薄暗い。この世界は今何年なんだろうか。西暦というわけでもなさそうだが。

雅樹は歩き始めた。1時間程足が棒になるくらい歩いてやっと開けた場所に着いた。100メートル先に住居のようなものが見える。村か。

10AM

畑を耕している老人を見かけた。

「すみません」

「お、見かけない顔じゃな。何か用かね」

「今何年ですか」

「今?2019年7月7日の日曜日じゃが」

「休日なのに働いてるんですか。ご苦労さまです」

「やることがこれくらいしかないからのう」

「ここは何処ですか」

「ここはワルグル王国ルビー領、コビィ村じゃ。あんたさん、旅のお方かね?」

「はい、この国を旅して回ってます。でもお金がなくて困ってるんです」

「なら冒険者ギルドに行くのがよかろう。この道を150メートル程進んで右手にあるぞい」

「ありがとうございます」

言われた通り進むと右手に体育館ほどの大きさの木造の建物が現れた。ドアを開ける。中にはテーブルと椅子、奥にカウンターがある。椅子には怖そうな人々が座って話している。俺の姿を見るなりニヤニヤとし出した。気まずいのでカウンターに向かう。カウンターには黒髪おさげの少女が立っていた。

「こんにちは。クエストの受付ですか?」

「あの、初めてなんですけど」

「初心者の冒険者さんですね。では身分証をお作りいたしますのでお名前をどうぞ」

「伊藤雅樹です」

「それではマサキさん、クエストについて説明しますね。クエストには種類があって、採集クエスト、討伐クエスト、捕獲クエストなどがあります。冒険者のランクは下からD、C、B、A、S、マスター、グランドマスターの7種類あります。マサキさんはDランクですね。ランクによって受けれない上位のクエストもあるのでまずは採集クエストをこなしていくのがいいと思います。マサキさん、お仲間はいらっしゃいますか?」

「まだいませんよ」

「討伐クエストや捕獲クエストはパーティーで挑まないと大変なことが多いので、仲間を作ることを推奨します。一人での挑戦もいいですけど、無理をして危険を冒す必要はありません。仲間と協力して、安全に冒険しましょう」

「わかりました」

「では早速、採集クエストを受注しますか?」

「はい」

「今あるのだと薬草5個採集、特産キノコ5個採集、鉄鉱石5個採集などがありますが、どれにします?」

「薬草で」

「わかりました。薬草の図鑑も必要ですか?無料でお貸ししますよ」

「お願いします」

「紛失したり破れたりした場合には銀貨一枚払ってもらうルールになっていますのでお気をつけて。では行ってらっしゃいませ」

「行ってきます」

こうして俺の初クエストが始まった。



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