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転生した剣聖は現代社会を生きる  作者: ネロ偽者
スタンピード
19/47

19 信頼

この物語はフィクションです。

誤字脱字があるかもしれませんがご了承下さい。


銀翼の騎士団はお互いを信頼しているパーティーだ。思ったことはちゃんと意見して言うし、パーティーメンバーの体調をよく見ている。



俺がラグーが魔法をぶっぱなしているところに出くわしたのは、たまたまじゃない。



大地や紫苑がラグーがここ最近思い悩んでいると相談したのをたまたま聞いた。


だが俺には関係ないことだと、刀の素振りでもしようと人の気配がないところに行こうとしたら、ラグーが森に深刻そうな顔をして入っていくのを見てしまった。



これには今回、先にスタンピードで倒れたことを負い目に感じているんだろうと思い、誰か呼んでこようと思ったがふっと、感知に微弱なモンスターの気配を感じたのだ。


俺は急いでラグーを追いかけ、ラグーを後ろから仕留めようとしていたホーンラビットを倒す。



ラグーぐらいのプレイヤーでもこのくらいのモンスターの気配には気づくだろう思ったが、今ラグーに余裕がないことは魔法を無計画にぶっぱなしている姿を見てすぐ分かった。



そんな姿は前世で魔法が使えず、伸び悩んでいた俺の姿に重なった。俺がパーティーメンバーと出会った頃は気すら使えずに魔法を無防備でくらうことが多く、パーティーメンバーに迷惑をかけているんじゃないかとパーティーを抜けようと思ったことすらあった。


だが、そんな俺をパーティーメンバーは見捨てずに改善点を一緒に考えてくれて、出来上がったのは気という技術だ。



気という攻撃手段を身につけられたことはあいつらに感謝はしているが、それ以外は今までのあいつらと過ごした時間すら憎んでいる。俺たちは結局のところ信頼なんてしあってすらなかったんだと。


じゃなければ、理由もいわずに後ろから突き刺すようなことはしないから。




その点、ラグーは俺と一緒にテントに戻ってすぐにラグーがテントからいなくなっことを心配して探していた銀翼の騎士団のメンバー仲間に素直に謝っていた。



そして、ラグーは自分は弱くて邪魔になっているんじゃないかと悩みを打ち明けた際には銀翼のパーティーメンバーはなぜか笑いあっていった。



「それを言うのならあーしも力不足でよくパーティーに迷惑かけている」


「そんなことな…」


「うんうん」と首を振りギャルは否定する。



「30階層の階層主、ギガントアーマーに挑んだ時、あーしが先に攻撃受けてパーティー全滅に追い込まれた。回復役なら前に出過ぎるのはよくないのに順調に2次職になってレベルアップして浮かれて自分は強いんだと過信した」と、ギャルは顔を暗くするがラグーはそのことに何も言えず黙り込む。



「僕もだよ。数の多いモンスターの襲撃を受けたとき、ミヤやラグー側にモンスターを通してしまうときがある。盾役失格だよ」



ギャルや大地少年、紫苑が自分のいたらぬ所を順々に上げていく。



そして最後は紫苑が話をまとめるように「テレビなんかで持ち上げられているが俺たちはまだまだ、力不足でプレイヤーとしては一流になれてない。でも、これからだ。これから一緒に強くなっていこう」と言う。


それにラグーは仲間に囲まれながら泣きだす。




そんな様子を見た俺はそっとテントから抜け出し、外に出る。外は夕方になっており赤く太陽が燃えさかっていた。


「眩しいな…」俺は腕を顔の前に持ってきて目元に陰を作り、夕日を見る。






夕ご飯を食べ終わった俺は夜の森に入りる。しばらく歩くと開けたところに出てそこには、白い花が咲いていた。この白い花は月見草と言って、ダンジョンに生息している花で現実世界になかった花だが、プレイヤーやモンスターに種が付着して運ばれたのか分からないが現実世界の山などでよく見かけるようになった。



月見草の由来は月の光を吸収して淡い光の花を咲かせるから月見草と、単純な名前だ。



それにしても気づいてないとでも思ってるのか?


「隠れてないで出てきたら」そう言うと、木の陰に全く隠れ切れてなかった髪が紫色の少年が出てくる。



「か、隠れてないし。たまたま通りかかっただけだし」


動揺を隠しきれてないラグーがずかずかと俺に近づいてくる。



テントからこの場所まで後をつけていてよく言うなと思いながら呆れる。


「パーティーメンバーとの親睦は?」と、月見草に触れながら言う。



「あいつらにはライアンに謝ってくるって言ったらミヤがなぜかにやにやしながらおまえの場所教えてくれた」


「そう」




会話は長続きはしない。もともと「嫌いだ」と言われるほどだから会話らしい会話はないかと思う。だけど、ラグーは俺にぽつぽつと胸の内を吐き出す。



「僕はお前が嫌いだ」


「知っている。聞いたから」


「すました顔も、僕たちを馬鹿にしたことも、おかし食べたことも、許してない。それにあのお菓子!密林糖の個数制限があるプレミヤのやつなんだぞ!」と、頬膨らませて怒っているアピールをしてくる。



だが、夜ということであまり、相手の顔が見えずらくて表情の判別ができない。


「僕は、僕はおまえがうらやましい」

顔が見えないが声色から、心からの吐き出している言葉なんだと思う。


「僕にはない強さがお前にはある。守ってもらっている僕とは正反対だ」



しーん。



相手はこの静けさに耐えられずに、来た道を戻ろうと背中を向けて歩き出す。


「クロスボウ」


相手は俺が言葉を発したので一度足を止めて俺を見る。



「クロスボウなら力なくてもモンスターの牽制になる」


俺はゆっくり、言葉をとぎれとぎれ、句切りながら相手に伝える。


「仲間の負担も減ると思う」




その言葉が届いたか分からないがラグーは次は後ろを振り返ることはせずに歩き出す。



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