表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/31

第28話-2 たった2年で、捨てたはずの婚約者がまさかの大富豪? その2

 その女性は私が想像していたよりも遙かに美しかった。太陽の輝きが髪ひと筋ひと筋に織り込まれているかのような金髪。エメラルドのような澄んだ瞳と真珠のような透明感のある肌に、形の良い唇には薔薇の花びらのような紅が塗られていた。着ているドレスは『深紅絹』を使っている極上だわ。あの深みのある赤は特別に高価なものだもの。




 その美女は私に余裕の表情で「旦那様を欲しいなら、どうぞご自分の力で奪ってくださいな。それより、ランチを楽しんでいる方達の迷惑にならないようにしてくださいね」


 と窘めた。




 むかつくわ! 身分は私よりもずっと下だったくせに生意気なのよ。




 その日は仕方なく醤油と味噌を買い、帰りの馬車の中で考えた。あの美女からエリアス侯爵を奪うにはどうすれば良いかしら? そうだ、良いことを考えついたわ!




 ラッセル伯爵領にはペレリウスという有名な錬金術師がいる。彼が作る秘薬は興味深い効能を持つ物がたくさんあった。きっと、そこに行けば私の求める秘薬があるに違いない。私はペレリウスの実験室へと向かった。




「エリアス侯爵様と絶対に結婚したいのよ。だからエリアス侯爵夫妻を不仲にしたいの。どんな秘薬が良いと思う? ちなみにエリアス侯爵夫人は悔しいぐらいの美女よ」




「なるほど。でしたら、エリアス侯爵閣下は夫人の美貌に惹かれたのですかな? だとしたら、エリアス侯爵夫人が1週間だけゴリラに見えてしまう秘薬はいかがでしょうか。エリアス侯爵閣下が奥方の容姿だけを愛でているような方でしたら、すぐに恋は冷めるでしょう」




「ゴリラですって? 効き目はたった1週間? でも、それまでには嫌いになりそうね。あの光り輝く美貌のエリアス侯爵夫人がゴリラ化するなんて見てみたいわ」




 ペレリウスの『ゴリラジェネシス・ポーション』は、パートナーの真実の愛を試すために作ったのだという。希少な植物と鉱物を絶妙なバランスで組み合わせ、特殊な魔力を持った魔石で浸漬することで作ることができたそうだ。ペレリウスは、外見にとらわれず内面の真の美しさをわかりあった夫婦や恋人同士には、効果は薄いと言った。




「あり得ないわよ。あの2人は政略結婚だし、お互いの容姿の良さでしか愛し合えないと思うわ。真実の愛なんてあるわけがないじゃない。皆、美しくて綺麗な人が好きなのよ」





☆彡 ★彡






 あまり煌びやかでないワンピース姿で、エリアス侯爵家の門を堂々とくぐった。カフェレストランと調味料販売ショップがあるお陰で、客を装えば誰でも入れてしまう。




 なんという無防備でずさんな危機管理体制なのかしら! 私がエリアス侯爵の妻になったら、絶対に改善しようと思う。




 カフェレストランの横にはお客様専用の化粧室があるので、私は料理人に扮装した。貴族の屋敷で雇われた料理人は大抵似たような格好をしているので、ラッセル伯爵家の料理人の服を持参してきたのよ。難なくエリアス侯爵家の食堂に入り込むことができて、『私達のご主人様』と書かれているお皿を見つけた。大きな長いテーブルの上座にあたる席で、二人分のお皿が並べられていた。多分、夫婦でここに座るのだろう。




 悔しいわ。本当ならこの席は私のものだったのに!




 私はそこに『ゴリラジェネシス・ポーション』を素早く垂らすと、すぐにその場を後にしたのだった。



たくさんの小説の中から拙作をお読みくださりありがとうございました。

ちょっとでも楽しい、面白い、続きが読みたいよ、と思っていただいたら

ぜひ、お星様評価もよろしくお願いします。


    よろちく


  / ̄ ̄ヽ ̄ ̄\

 ∠  レ |  ⌒ヽ

  \__ノ丶  )|

   (_と__ノ⊂ニノ


お・願・い・し・ま・す♪

引き続きお読みいただけると嬉しいです!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ