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第26話 刀夢を許せたエメラルド / 人気が復活したエリアス侯爵

ある日、私はカビロと二人きりで話すことを決心した。このカビロの癖がどうにも気になったからだ。




「もしかしたらカビロも転生者なんじゃない? 杏という名前に聞き覚えはありますか? 刀夢という名前は?」 




「杏? 刀夢?」




「あなたの妻だった8歳年上の女性が杏よ。この世界で違和感を覚えたことはなかった? 知らないはずの料理法を知っていたり、この世界にはない道具を使っていた記憶はありますか?」




 カビロはしばらく無言で考えていたけれど、急に顔を青ざめさせてガクガクと震えだした。本当はあんなことはしたくなかったと必死で謝ってくる。愛していたのは嘘ではないと話してくれた。刀夢の後悔と懺悔の言葉に私の気持ちはすっと楽になっていく。




 今はその言葉が聞けただけで充分だと彼に言った。これは本当に本心で、恨む気持ちは微塵もない。それは前世で私なりに精一杯生きたという自負と、今がそこそこ幸せだからでもある。


 


 その後、カビロもとい刀夢は病に倒れ、眠るように亡くなった。もしかしたら、彼は私に謝りたくてこの世界に来てくれたのかもしれない。綺麗な男性に対する苦手な思いはましになったけれど、やはり理想はお父様のような男性なのだった。





☆彡 ★彡





 味噌と醤油はエリアス侯爵家で使うだけでなく、商品化し大々的に売り出すことにした。それによりエリアス侯爵家には多くの利益が入ってきた。それに伴い私の資産もますます増えていく。と言うのも権利金の30パーセントが私のものになったからだ。




 この世界では、非常に革新的で市場に大きな影響を与える食べ物の開発や特許技術には、権利が発生するのよ。味噌・醤油はエリアス侯爵家が販売をしているけれど、その製造法は保護法でしっかり守られ、30パーセントの権利金が私に入る仕組みになっていた。




 けれど、社交界の女性達はそれを理解していない者ばかりだった。つまり、私という妻がいるのに旦那様にすり寄ってくる女性がたくさん現れるようになったわ。




 そのなかには旦那様の元婚約者イレーヌ・ラッセル伯爵令嬢も含まれていた。確か彼女はエリアス侯爵家が傾いてきた途端、婚約解消を申し出たという噂だったけれど、彼女のなかではなかったことになっているようだ。

数多くの小説の中から拙作をお読みいただきありがとうございます。

少しでもおもしろかったよ、と思っていただけたら、是非ブクマや☆彡 ★彡☆彡 ★彡☆彡 ☆彡 で応援いただけると、執筆の励みになります。



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