【親はニートだと言うけど、僕は起業して、在宅で働いています。逃がした魚は大きい。ざまぁ】は成立しないのではないかと思って書いただけの話。
「守!大学卒業したのだから、働け!」
「僕ちゃんと働いているよ!いつも、言っているでしょう。在学中に起業をして在宅ワークしているよ」
「ああ、いつも、屁理屈を並べて、ほら、スーツと靴だ。お父さんが知り合いの会社の人事に掛け合ってあるから、その会社に面接に行け」
「僕はちゃんと、家に金を入れているよ。お母さんに聞いて」
「うるさい。さっさと、面接に行け!でなければ出て行け!」
「あ、分かったよ。出て行くよ!本当に」
・・・
「まあ、そういう理由で、守を追い出したのだ」
「お父さん・・・守は家にお金を入れていました。今の新しい働き方ですよ」
「ワシも孫の方が正しいと思う」
「ええ、進むさん。孫は正真正銘の会社経営者ですよ。最高経営責任者です。名刺を見ました」
「・・・・守を家に戻さなければ、離婚・・・します」
「そうじゃな」
「仕方ないわね」
息子を追い出したら、妻とその両親に離婚を切り出された。
「ああ、良いよ」
「「「!!!!」」」
娘は・・・
「私はお父さんの方についてきます・・」
「早苗、お兄ちゃんは会社を経営しているのよ!」
「・・・・お母さん。ごめんなさい」
このニートと思っていたら、実は働いていましたには、ワナがある。
これは、社会保険の仕組みを理解して、実体験をすれば分かるものだ。
もっとも、早苗は妻の両親に嫌気がさして、俺についていくのだろけどな。
「それじゃ、離婚届に記入して下さい」
「用意良いな。はいよ。俺出しておくから」
「今まで、お世話になりました。では、お父さん・・荷造りをして下さい」
「え、何で?!」
「こういう場合、男が出ていくものですよ」
「あのな。この土地は、俺の父親から引き継いだものだ。結婚前にな。
そして、家は俺名義でローンを組んで、所有者は俺だ」
「・・・財産分与ですよ。半分もらう権利があります。だから、家をもらいます」
「ああ、それ、だから?結婚前に土地は既に俺の固有財産だったの。財産分与に含まれないよ。それに、家なんて、一度でも住めば中古、築20年の家なんて、価値ないよ。一般的に、更地の方が価値ある」
「それじゃ、貯金を半分下さい」
「ああ、分けてやるけど、半分はやらん。お前、全然家事やっていないだろう?パートもしてないのに
早苗がやっているのは丸わかりだ。裁判所で調停をして、徹底的に争うわ」
「そ、それは」
「言い過ぎだろう」
「娘を愚弄する気?」
【いい加減にして!】
と娘は叫んだ。
「お爺ちゃんたち、いつも、お兄ちゃんが長男だからって甘やかして!お兄ちゃんがまともな会社やっているわけないじゃん!グスン、グスン、出て行ってよ!」
娘の剣幕に押され、渋々、妻と両親は出て行った。
離婚届まで用意するとは話が早い。守と連絡を取っていたのだろうな。
「お父さん。お兄ちゃん達大丈夫かな」
「いや、無理だろう。しかし、年金で暮らしていけるのじゃないか?
但し、旅行とかは出来なくなるだろうな」
「お兄ちゃん。一応、会社経営者で少しはお金入ってきているんじゃない?」
「守がまともな収入がないのは、丸わかりだよ。だって、税控除と健康保険は俺の会社の扶養にはいったままだもの」
☆一方、守は
・・・僕はその足で不動産屋に行き。物件を探した。
親父以外、僕を頼って来るから、広い方がいいかな。
家賃は~お、この11万円でお高いけど、これにしよう。
「では、身分証をお見せ下さい」
「健康保険証でいいですか?」
「・・・????少々お待ち下さい」
店の裏・・・
「主任、あのお客様、25歳で親の扶養に入っています。なのに、月11万円の家を借りようとしていますわ」
「親が借りるのなら、いいよ」
・・・
「何で!親父は関係ないじゃない!」
「申訳ございません。またのご利用をお願いします」
(親の扶養に入っていて、親は関係ないって・・・プ)
・・・・・・
「お父さん。なるほど、もし、お兄ちゃんが個人事業主で、例えばウエブデザイナーやゲームのプログラマーだったら・・・」
「ああ、それはないな。もし、そうだったら分かる。少なくても、守は、去年まで無収入だ。ニートを扶養する場合、所得証明書を会社の経理に提出しなければならない。親は委任状無しで、市役所でとれる。守の所得証明書に書かれた数字は収入0だ。
収入があったとしても、確定申告していないな。まともな収入ではない」
「でも、会社はあるのでしょう?」
「いや、守の頭の中に存在している会社だ。会社法上の会社ではないな。
会社を作るには、本店を登記しなければならない。いわば、自分の城だ。
いくら、リモート、在宅と言っても本店は必要だ」
「あ、そうか。お兄ちゃんの自称仕事場は、自分の部屋、しかもお父さん名義の家」
「普通、本店をつくって、株主総会、取締役会をやるものさ。ワザワザ、レンタルオフィスを借りて、やる意味ないだろう?この家でそれらしきことをやってないだろう。
もし、この家を本店にしたら、非常識だ。俺は許さないね。本店も用意できない会社だったら、まだ、やらない方がいい。
つまり、会社じゃないよ」
不動産屋
守は、次々に不動産を回るが、つれない返事が来る。
「あの部屋を貸して下さい!」
「ほお、法人名義で借りると、守商事・・・ですか?
まあ、初めての取引なので、登記簿謄本を見せて下さい」
「え、何それ、不動産はまだ、もっていないよ」
「商業登記ですよ・・お帰り下さい」
・・・
「所得証明書を用意して下さい」
「え、いや、所得証明書はちょっと・・」
しかし、やっと、うるさいことを言わない不動産を見つけ部屋を借りることが出来た。築50年の木造アパート、
風呂無しで4畳半と6畳・・・家賃月3万円
「だめだ。年寄りに部屋を貸したがらない差別だ!」
「ええ、パートに行かなければならないの。守、いつも月3万だけど、もっと・・・」
元妻はやっと気が付いた。
息子が家に入れるお金は、父親の収入があってこそ。小遣いとして意味がある。
もっと、入れてもらわなければ・・・
しかし、
「今、僕は家賃と光熱費を入れているよ。母さんパートに行ってよ」
TVCMが流れる。
ピロピロ♪♪~
「お待たせしました~ゲームステーション5!増産決定!予約券無しでお買い上げ出来ます」
「な、何だって!僕の借りている倉庫に100台はある・・・商事部門は大赤字だよ!」
「「守!」」
「大丈夫!まだ、動画配信事業があるから、まだ、スーパーサンキュウついてないけど、もうすぐ芽がでるから!」
4人は一月ももたずに、
根をあげ
元いた家に行った。
そこは、変わり果てた姿になっていた。
「「「駐車場!」」」
「電話、通じないわ!」
「早苗ちゃんもよ」
☆県内某所
「フウ、転勤させてもらったぜ。
妻と元妻は、自分の信じたいことだけを信じるタイプだ。
会社経営者とかの華やかな言葉に弱い。
これで、貯金が出来る。
妻とその両親は浪費家。
バブルのせいで凋落、市営住宅に住んでいたから、同居を許したが、
全く、いつまで、バブルを引っ張っているのだよ。
今はリーマンショックだろう?
だが、財産分与で、500万だけ、弁護士を通じて送ってやるかな。
まあ、1年も持たないだろうけどな」
☆一年後
「イエイ!何でもペロリンでーす。今日はナメクジをペロリンします!ヨイネと登録、お願いペロリンちょ!」
・・・
「キャー、この動画の人、ナメクジをなめている。気持ち悪いーーー早苗ちゃん見て見て」
「え、あまり気持ちの悪いのは嫌だよ・・・おにい・・ヒィ」
早苗は一目見て、顔を背けた。
「あれ、まだ、この何でもペロリン、ナメクジなめてないよ。この馬鹿面だけでも見てよ」
【絶対に嫌】
「・・・ごめんなさい」
この「何でもペロリン」は、早苗の知り合いかもしれないと、友人は思った。
最後までお読み頂き有難うございました。
尚、会社や健康保険組合により、若干、添付書類に違いがあるようです。
ニート?じゃあ、事由書だけでいいよ。所得証明書はいらないよ。
とかあると聞いたことがあります。