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死んだので天国目指します  作者: ラプラス
3/3

地獄に堕ちる

悪魔が「じゃあ、地獄に逝きましょうか」と囁く。

 その囁きにすかさずちょっと待ってほしいと手で制止する。

 「じ、地獄に逝くつもりはないんですけど……」

 そう言うと悪魔は落ち着いた口調だがどこかこちらをバカにした様な口調で聞いてくる。

 「天国には行けず地獄にも逝かないと?では、どうすると?」

 そんなの決まっている。

 「ここに残りますよ。当然じゃないですか」

 地獄に落ちるかこのまま留まって平和に生きるか。

 先ほどは咄嗟の事に躊躇してしまったが本来何も悩む必要などないのだ。

 ぼやけてはっきりしない顔を傾けて疑問を投げかけてくる。

 「はて?それは後悔しますよの言葉であなたは逃げるのをやめた。なのにここに残ると?」

 そもそも相手は悪魔なのだと思うと1つの考えが浮かんだ。

 「それだってあなたが何かしてそうなる様に仕向けたんでしょ」

 悪魔なのだから人間を惑わすのはお手の物だ。悩む余地がないのに躊躇してしまった。

 つまり悪魔が何かしてきたのだろうと。

 悪魔は呆れたように返してくる。

 「なら、なぜ貴方は今地獄に逝くの拒否出来てるんですか…… これ以上の問答は無駄な様ですのでこれで最後にしますがここに残るのですね?」

 引き下がる様子の悪魔を不審に思いながらもその問いに対しての答えは決まっている。

 「もちろん」

 その瞬間、聞き覚えのある声が聞こえる。

 声の方を振り向くと先ほどの男性である。

 「た、助けてくれ……お前がすんなり付いてきてればこんな事には」

 良く見ると体が少しずつ崩れているようだった。

 驚きの光景である。

 この男性は確かに先ほどここに残れば不老不死と言っていた。

 それなのに今、目の前の人物は確かに体が消えかかっているのだ。

 思わず言葉が出る。

 「え、なんで……」

 少なくとも不老不死というのが嘘だったのは明らかである。

 そもそもなぜそんな確証もない事を信じてしまったのか。

 正体の分からない不安が一気にこみ上げる。

 いや、正確にはその事実を認めたくなくて自分をごまかしてるだけ。

 この場に残る事が本当に安全なのかという確認のしようがない疑問を。

 気付くと悪魔がその場を離れようとしているのが分かった。

 ここに残るのが安全じゃないのなら話も変わってくる。

 「ちょ、ちょっと待って」

 急いで悪魔を引き留める様に言葉を発するが悪魔はそれを聞き流しているようだった。

 そうこうしている内に崩れ去り跡形もなくなってしまう男性の体。

 「地獄に逝く。逝くから連れて行って」

 懇願にも似た言葉である。

 そうすると再び悪魔がこちらを振り向き言う。

 「やれやれ。さきほどご自分でここに残ると言ったばかりなのに。まあ、私の仕事はもともとあなたを地獄に連れて逝く事でしたからそれを望むのなら拒否する理由もありませんが」

 そう言うとどこから出てきたのか死神が持っていそうな大きな鎌を振り上げている悪魔。

 「え、まさか……」

 そう言った瞬間その鎌を振りかざし両断される体。

 そこで再び意識がなくなってしまう。

 死後だからなのか痛みはなかった。



 そこにあるのは悪意だけ

起承転結で言うとこの起になります。

あと、2話程で承にうつる予定です

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