表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/18

第15話 罪の理由

 少年、【白炎獣のバーナット】は言葉を続ける。

 

「我もこの世の叡知を集める魔法使いの端くれ。なれどいささか長い間この穴倉に閉じ込められたが故、我の常識と今の世情には乖離かいりがあるであろう」


 バーナットの顎に触れた指が、ひげを撫でる仕草をするが、当然そこには髭が無い。

 見た目は白皙はくせきの美しい少年だが、仕草のひとつひとつに、年を経た魔法使いの貫禄が滲み出ている。

 

 その外見と内面の齟齬そごかもす違和感に、ナオは頭の疲れと、軽い眩暈めまいを覚えた。


「確か、百年も閉じ込められていたって話だよね」


 途中で魔法使いの少年から聞いた、バーナットが此処に封じられたあらましを思い出す。

 

「あなたは禁忌を犯したとも聞いた。それは何?」

「ああ、それか」


 ナオの問いに、バーナットはパチンと指を鳴らした。

 魔力が部屋の中を走り、そして、ナオの横の床が上へとり上がる。

 

「これは……」


 円柱となったその中央に、ガラスの箱の中に封じられた、一つのさかずきがあった。

 大きさはナオの掌ほどであり、黄金の輝きを放っている。

 

「我が封印されるきっかけになった、聖杯のレプリカたる『模造神器』だ。人の持つ魔力と世界に満ちる魔力、この性質の異なる二つの魔力を用い、理論上あらゆる魔法の行使を可能とする。これを用いれば、例えば『欠損した両目』を再生させることも容易たやすかろう」


 他の床も迫り上がってくる。

 その中にも同じようなガラスの箱があり、様々な物が納められていた。


「故に『聖霊の奇跡』と称した、できそこないの『模造神器』を使う教会より疎まれた。それを使って政治的影響力を拡大し、信者共から財物を巻き上げる奴等にしてみれば、より強力な『模造神器』を作れる我は、邪魔以外の何者でもなかっただろう。当時の魔法教会の上層部をけしかけて、王国と一緒になって襲い掛かってきおったわ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ