第三章 三度あることは四度ある-11-
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「なんか、いやな感じするでしょ」
しかし、誰も信じようとしないため、どうすることもできないでいるのだ。
「あんた…信じる?」
奈穂があきらめたように言った。
すると、奈穂をフォローするように、沙夜花が上目遣いに言う。
「霞持君……信じる…?」
(なるほどね……)
秀一は、沙夜花の様子を見て悟った。
…彼女は、奈穂を気遣ってはいるようなのだが、不可思議な話の内容については全く信じていないのである。
(うん…これじゃストレスも溜まるよなぁ)
秀一は一人納得した。
「どうせ…信じられない話だから…。無理しなくていいよ」
奈穂は、これで話は終わり、というように、秀一に向かって追い払うように手を振った。
さすがにむっとした秀一はすかさず言い返す。
「信じるも何も、起こったのは事実なんだろ?こんなので嘘をついたって意味がないし。冗談にしちゃあ洗練されてないだろ」
「悪かったね」
奈穂はふてくされてそっぽを向いた。
(でも…やっぱり気になる…)
第一に、奈穂の説明に出てきた『センカイ』のことである。
("センカイ"……『仙界』か『泉界』のことだろうけど…)
それを支配するとは、どういう事であろうか。
『仙界』を支配しようとするなら、まず泉界人ではないはずだ。泉界は仙界の"退治"を受けているのである。よほどひどいと聞いているので、そんな余力が残されていたら、人界を侵略する方が早い。
『泉界』を支配しようというなら、すでに"退治"を進めている仙人がわざわざ支配しようとする意味がない……。
(…ということは……。)